1人の男と2人の女

ペン太郎

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1人目の女

出会いと告白

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1人目は今お付き合いしている彼女で、名前は長田 彩美。付き合って2年で、インフォメーションの仕事をしており、年は20歳である。
彩美との出会いはバイト先だった。
(1人称が私だと、ちょっとややこしいから俺に変えるけど主人公は変わらないから安心しておくれ)
(それでは、仕切り直していこう!)
最初に話しかけて来たのは彩美だった。
彩美は俺より前にそのバイト先で働いており、俺の制服を見るなり「〇〇高校だよね?」とかなり高めのテンションで言われた。
(何だこの人‥‥)
そう思いながらもしっかり受け答えをし、同じバイト先で同じ高校だと言うことで連絡先を交換することになった。
自己紹介でもしておこうと思い、送ろうとしたタイミングで送られて来て思わず「ふっ」と笑ってしまった。
次の日、学校に行きロッカーから荷物をカバンに詰めている時に隣に誰か来たなーって思ってロッカーを閉めて横目で見てみたら、彩美だった。
俺が驚いていると彩美と目が合い彩美も驚いていた。
ロッカーが隣だったのにバイト先で会うまでお互いに1度も鉢合わせしていないから、2人で「奇跡だね」って笑い合った。
その当時、彩美には彼氏がいたので俺はあまり連絡するべきではないと思い、徐々に彩美と連絡を取らなくなっていった‥
それから、何ヶ月か経って俺は彩美のことが気になっていることに気づいた。
授業では、彩美は俺の斜め前の席だったので真面目に授業を受けてる姿を見て、バイト中は笑顔で接客しているギャップにさらに惹かれていってしまった。
俺は、彼氏さんには悪いと思ったが意を決して彩美を映画に誘ってみた。
「彩美が良かったら、今度2人で映画見に行かない?」(断られるんだろうな‥)
「いいよ、行こ行こ」
俺の考えとは裏腹に2つ返事で快諾された。
初めて、2人で出かけられるそれだけで俺は胸が一杯だった。
待ち合わせに遅れたくなかったので、早めに着いたんだが、彩美も俺とほとんど同じタイミングで来ていた。
(やばい‥可愛い)
思わず言葉に出そうになったけど、何とか飲み込んだ。
そして、2人で映画を見たんだがこれがまぁーつまらなかった。
終わったと同時に「つまらなかったね」と言われて、同じ様に感じてたんだと思い嬉しく、可笑しくなり笑ってしまった。
その後は、つまらなかったトークで盛り上がった。
近くに遊園地があり、2人で何か乗ろうと話しになったので「観覧車とかどう?」
と提案してみた。
俺はインターネットでこの遊園地のジンクスを調べていて、紫色のゴンドラに乗った男女は必ず結ばれると言うのが存在した。
例えジンクスでも藁にでもすがる気持ちで、紫色のゴンドラに乗ってもらおうと思っていた。
だが、彩美が「紫色のゴンドラに乗った男女は必ず結ばれるんだよね、素敵だよね」とキラキラした目で言われた。
(まさか‥俺のこと‥‥でも、な訳ないか‥)と心の中で喜んだり、落ち込んだりしていた。
もしかしたら、この流れで2人で乗れるかもと思ったので「乗ろっか」と誘い「乗るー」と満面の笑顔で言われた。
(あーもう抱きしめたい、可愛すぎだろ)
いざ乗ろうとした時、俺は思わず(はぁ⁉︎)と思った。
どうやら、紫色のゴンドラは身体が不自由な人専用だったのだ。
仕方がなかったので、普通のゴンドラに乗ることに。
(ここだけの話し、頂上で告白するつもりだったけどこの関係が壊れてしまうんではないかと怖くなり出来なかったよね‥)
次の日、電話だったら言えるかもと思ったので彩美に電話した。
「もしもし、彩美?」
「んーそうだよ、どうしたの?」
「今から、俺が彩美に対してどう思ってるか言うから聞いてくれるかな?」
「もしかして告白?」
(普通そう思っても言わないだろ)
雰囲気ないなーと思ったけど、面白いからいっかと思い言葉を飲み込み気持ちを仕切り直した。
「そうだよ、俺は彩美のことが好きだよ」
「え?本当に冗談でしょ?」
(自分で告白って聞いて来ただろ‥)
まぁ、気にしてもしょうがないと思い続けた。
「俺は本気で彩美が好きなので、俺と付き合ってください」
数分の沈黙
「少し考えさせてくれない?」
(これはいい方向なのか?それともこのまま先延ばしされてあやふやにされるのか?)
「うん‥ゆっくり考えて」
(あれ?なんか泣きそう、嬉し泣きか悲しくて泣きそうなのかは、分からないけどこのまま話してたら泣きそうだったのでやばいな)
もしかしたら、若干鼻声だったかもしれないが声を振り絞って
「明日も学校だし、もう寝ようか」
「そうだね、お休み」
「おやすみー」
と何とか泣く前に電話を切った。
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