クロノザクロン

ジャック・アーズ

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 2章 誕生の海賊

   23話「海賊達との出会い」

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 ホワードのおっさんと離れて何時間かが過ぎたのかな?
もう私達の暮らした島は見えず
アステラルと一緒に海のど真ん中に居た
 「南に進んではいるけど、まだ見えないなー」
 「非常食の木の実や縄で作った釣竿などは持ってきてますから…しばらくは問題ありません」
 「おっさん、何をしてるかなー」
 「あの人なら一人でも生きていけますよ」
 「だな!んで、地図には南以外は何があるんだろうな!?」
ようやく、自由になれたんだ
海賊にも会えるよな!
 「うーん…見た限り、森のようですね…。ホワードさん、何処まで進んでいたのですか…」
 「ふわぁ……どうすっかなー…」
しばらくはやることなさそうだし、寝てようかなぁ…
と思っていたら…
 「あれ?…ら、ラグナ!あれを見てください!?」
 「んぁ?どうした?アステラル?」
立ち上がって
私はアステラルが見ていた方向を見てみると……
 「な、なんだあれ!?」
そこには、でぇぇぇぇぇぇぇかい!
船があったんだぜ!
 「あんなに大きな船……窓からしか見たことなかった!」
 「船の周辺を見てください…陸が見え、村らしきものが見えますよ!」
 「おぉ!行ってみようぜ!アステラル!」
 「はい!」
私達はその村へと船を動かした!





数分後……




船は港っていう場所について、新たな地上へと足を踏んだ!
 「ふぁぁぁー!着いたな!アステラル!」
 「少し疲れましたね…」
 「まだ今日は試練が終わった後だからなー何処かで休むか?」
 「いえ、大丈夫ですよ。村を見てから休みましょう」
 「わかったぜ!あ、なら船を見てみよう!」
あの船は……まだあるな!
よし!近くに行ってみよう!
 「旅のお方、あの船に行くのですか?やめた方がよろしいですよ…」
話してたら、村の人が話を掛けてきた!
 「村の人ですか?あの船に何かあるのです?」
そういえば、こうやって沢山の人を見たのは何時ぶりなんだろうな…
部屋に居た頃……窓からの景色で歩く人を見たことあるけど…
話を掛けられのは…宮殿の騎士やアステラル……
親父に話を掛けられたほとんどなかった…
 「あの船………あれは…」
 「…あ、すみません………ラグナ?どうしたのですか?」
 「ん?あ、いや…久しぶり沢山の人を見たからな……」
 「ですね。ラグナは初めてですから、緊張してるので?」
 「そうだな……すぅー………よっし!んで、あの船がなんだ!?」
思いきって息を吸って…村の人に話してみた!
 「え、えぇ…あの船、実は………この辺りにうろつく海賊の船なんですよ…」
 「…今なんて!?」
 「だ、だから海賊の…」
海賊…………海賊……………


 「海賊かああああああっ!!!」
 「ら、ラグナ…?」
 「た、旅のお方?お連れさんが…」
 「アステラル!ちょっくら行ってくるわ!」
 「え、えええええっ!?」
私は船の方へと走って向かう!
 「ら、ラグナぁぁ!?」
 「…か、海賊に近寄る物好きな人も居るんだなー……」








 船へと近づくにつれて…近くで見ると
さらに大きく見えた!
 「これが海賊の乗っている船なんだなぁー!」
 「はぁ…はぁ……も、もう…急に行かないでくださいよ…」
後からアステラルも来た
 「あ、悪い悪い!つい興奮してな!」
 「…それで、これが海賊の船だったのですね………通りで大きいはずです…」
 「中に入るか!?」
 「流石にダメですよ!勝手に入って見られたら…」
 「ん?あんたらは旅の人か?」
また村の人が私達に話を掛けてきた!
 「おう!」
 「へぇ…珍しいもんだ……見るからに海賊に興味ある顔だな。けど、残念。船の中に人は居ないよ」
どういうこった!?
 「え?なぜですか?」
 「海賊の連中なら酒場に行って女将の酒を飲んでるよ。ここら辺りじゃ結構有名なんだ」
 「酒って…アステラル、ワインとかビールのことか?」
 「えぇ、そうですけど…」
 「あーやっぱりか!小さい頃にこっそり飲んだことあるなー!」
 「な、何をしていたのですか!?」
まだアステラルから逃げていた時に
たまたま、酒樽とかを置いてる部屋に逃げちまってな
その時に飲んだら、意外と美味しくて
飲んでた記憶があるな!
 「はっははは、面白い人達だな。会いたければ会ってみなよ、あいつらは外側は怖いから近寄らない人が多いけど、話してみたら中身は普通のおっさん連中さ」
 「その酒場は何処にあるので?」
 「この道を道なりに進んでいけば見えるだろ?ほら、あのデカくて赤い屋根が女将の酒場だからさ」
 「あそこだなぁ!ありがとうな!おっさん!」
 「お、おっさん……まだこれでも30代なんだが…」
 「ありがとうございます。では、行ってみましょう」
 「おう!」
アステラルと私は、赤い屋根の酒場へと向けて歩いた!
もうすぐ…会えるんだな!本物の海賊に!
 「楽しんで行けよー!」








 酒場の前へと到着ー!
こういう木とかの素材で出来た建物…
宮殿に居頃では見たことなかったなぁ…
新しい発見もあって嬉しいぜ!
 「既に入る前から騒がしい声が聞こえますね…」
 「だな!入ってみようぜ!」
しかも、扉って……
何か上と下は空いてて、真ん中だけ扉の形したのがあるんだな
その扉を触っ……


キィィ…!


 「うおっ!?横から開くんじゃなくて真ん中から開くのか!?」
 「海上にこういう造りの建物はなかったですね」
そのまま進んで行くと…
 「あ、いらっしゃいー。旅の人ですか?」
そこには、背の高い女の人が立っていた
周りに居たのは………
 「はい、この店に海賊が居ると聞いたので来てみたのですが…」
 「ほぉ…あんたら、俺達がご所望かい?」
黒い髭の生えたおっさんや…
頭に髑髏の印が入ってる三角帽子を被ったおっさん…
他にも、たぁぁぁぁぁぁくさんの!
おっさん達が座っていたぜ!
 「あ、貴方は……?」
 「何を言ってるのですか!ビレスート船長!旅の方に失礼でしょ!」
 「女将…こんな世の中の世界に髭を生やして酒を飲んでるジジイ達が居るのは此所だけだぁ…」
 「ちゃんと若い方や他のお客さんも居るんですからね!?」
 「船長……船長?ひょっとして……貴方は……」
 「あ、ごめんなさい。この店の中に居る人達は海賊、ラセアテゾーロ海賊の方達です!」
 「おおおおおおおおおおおおおっ!!!本物の海賊だああああっ!!」
私は興奮していた!
だって、夢に見ていた海賊が
私達の目の前に居るんだぜ!?
 「お、おい……お嬢ちゃん…確かに俺らは…海賊だが…そんなに叫ぶことか?…悲鳴をあげる連中なら何時も目にしてるが…このお嬢ちゃんは嬉しそうに叫んでやがる…」
 「すみません…あ、私はアステラル。隣の叫んでいるのがラグナです…ってラグナ!そろそろ迷惑ですから静かにしてください!?」
 「おおおおおおおおおおおおっ!!!!」
 「元気のいいお嬢ちゃんだな…ん?ラグナ……?何処かで聞いたことのある名前だな……」
 「あっ……え、えっと……」
 「きっと空耳ですよ。あ、私はこの店を経営してるシャースです。皆からは女将とか言われてますけど…そこまで女将ではないですからね!?この人はラセアテゾーロ海賊の船長、ビレスートさんです!その席に座ってる人達もラセアテゾーロの船団の人達ですよ!」
 「そう言って女将は力自慢だろぉ!」
 「だな…この前も腕相撲とかで俺らを投げ飛ばすぐらいなんだからよ……」
 「ち、ちょっとぉ!?」
 「てめぇら…それ以上にしとけ、女将が泣いてしまうぞ」
 「また泣かれて飛ばされちまうのも勘弁だしな!」
 「み、皆さぁぁん!」
…ふぅ……ようやく収まったぜ…
あ、この目の前に居る人が船長か…!
 「んで…ラグナとアステラルか……俺達に何の用があるんだ?っと……まぁ酒でも飲みながら話そうや…こっちの奢りだぁ…女将、ビール三つと焼き鳥を頼むわぁ……」
 「わかりました!」
シャースっていう女将は酒場の奥へと行ったけど…
何をしに行ったんだろう?
 「お!サンキューなビレスートのおっさん!」
 「ラグナ…誰にもおっさんって言うのですね…」
私とアステラルは被っていたローブを外して椅子に座った
 「おぉ!赤髪に白髪…どっちも美人だ!しかも、赤髪の方は胸がある…」
 「何見てるんだお前……まぁ…こんなむさ苦しい男達だからそう見えるが…って…胸も見てたのか…」
 「男なら見るもんだろ!お前も見てみろよ!そっちの白髪の貧乳の方とかよ!」
 「ひ、貧………乳…………」
 「アステラル?どうしたんだ!?」
突然、アステラルの顔がおかしくなっちまった!?
 「い、いえ……何でもありません……」
 「俺様はそんな変態的な趣味はない…あるのは酒と宝ぐらいなんでな…それよりも、二人で旅をしているのか…?」
 「だーな…ってあんたら、女二人で旅をしてきたってのか!?」
赤髪は私で…白髪はアステラルかな!?
……美人とか言われるのは…苦手だな…
部屋に居た頃、よく周りから可愛いとかお嬢様とか言われてたから
そういうのが苦手になってるんだよなぁ…
 「まだ旅をしたばかりなんですけどね。ラグナと二人で旅をしています」
 「おう!っても、私達は海賊を探していたんだけどな!」
 「こんなジジイ共に何の用があるんだ…?まさか……金を出せとか言うわけないわなぁ…?」
 「は、ははは…お金なんてないのですけどね……」
 「…今回は奢ってはやるが……その後は知らねぇぞ…」
 「はーい!ビール三つと焼き鳥をお持ちしましたー!」
さっきの女将って人が
ビールと……焼き鳥って物を持ってきた!
……焼き鳥ってなんだ?焼いた鳥かな!?
でも、臭いとか違うような…?でもうまそぉう!
 「あんがとうよ、女将…ゴク…ゴク……ゴク……」
ビレスートのおっさんはビールの入ったコップ……?
んー…?コップってあんなに大きいのもあるんだなぁ…
んで、ビレスートのおっさんは一気にビールを飲んじまった!
 「げふぅー…お前らも飲んでみろ…」
 「凄い飲みっぷりだな!よーし!アステラル!私達も飲もうぜ!」
 「わ、私……飲んだことないのですが…い、いただきます…」


ゴク……ゴク………ゴクッ………


 「ぷはぁー!苦いけど飲めるな!」
 「……………………おぇ……」
 「どうやらアステラルのお嬢ちゃんは合わなかったそうだな…」
 「やっぱり、私にお酒は合いませんね…」
 「酒って好き嫌いとか多いのか?」
 「ま、酒のアルコールが嫌いな野郎も居れば、酔いたくてアルコールを飲み尽くす野郎も居るわけだ」
 「へーアステラルは飲めない方なのか?」
 「ですね…アルコールは苦手です……」
 「私は結構好きだぞー!」
ビールの入ったコップを持ち上げて、またビールを飲む!
 「ゴク……ゴク………ぷはぁー!」
 「ら、ラグナ?大丈夫ですか?顔が少し赤いですよ?」
 「大丈夫だって!」
 「……こいつは、入っちまうタイプだな…」
 「あんまり海賊の皆さんも、飲み過ぎはダメですからね!」
 「へいへい…女将………」
 「この焼き鳥もこの黒い液体が肉と絡まってて美味いぞー!」
やっぱり、宮殿の料理より
こういう場所の店の料理の方が凄く美味い!
 「あ、うちの自慢の特製ダレですよ!作り方は企業秘密ですけどね!」
 「ビールと合うな!」
 「女将は子持ちだから料理も美味いんだ…父親はあれだがな…」
 「4ヶ月前に赤ちゃんが生まれたんだぞ!」
 「女将の髪と同じく青い髪の子……だったか?」
子持ちって…要するに
子供を持った人ってことか?
 「それはおめでとうございます、シャースさん」
 「ありがとうございます!アステラルさん!」
 「新たな生命の誕生ってかー…おめでとうな!」
 「ラグナさんもありがとうございます!」
 「さんは付けなくてよいって!ラグナで良いぜ」
にしても、子育てとか大変なんだろうなぁ……
その…店の支えもあるんだろうし……
……そうや、私の母親…
一体、どんな人だったんだろう…
親父からは私を生んで亡くなったとか…
…………親父は私を育てようとしてたのかな?
…もうそういうことはわかんないか…
 「その父親さんはどちらに?」
 「リトバルなら俺らと同じ海賊さ」
 「えぇ。リトバルさんは普段は海賊で出稼ぎに出てて、私がこの店で子と一緒に支えながら暮らしてます!」
 「まだ若いのに、大変だろうが……リトバルもシャースも頑張れや…」
 「ビレスート船長まで…ありがとうございます……」
 「リトバルさんは同じ海賊ではないのですか?」
 「同じ海賊の仲間だが、奴は俺らの活動してる島で他の奴らと運び物をしてるはずさ」
 「後で赤ちゃんを見せてもらっても良いかー!?」
 「大丈夫ですよ!今は寝てますけど…」
そう言って、女将は奥の部屋に入って
何かを抱えて戻ってきた
 「はい!」
女将が抱えていたのは………
薄い青い髪が生えて小さい赤ちゃんだった
 「可愛いですね…性別はどちらなのですか?」
 「女の子です!」
 「この子は女将のような怪力な若い女将になるんだろうな…はっははは!おい、酒を持ってこい!」
 「ビレスート船長!!!」


………母親…か…
 「ラグナ?」
 「……ん?どうした?アステラル?」
 「…いえ、なぜか…寂しそうな顔をしていたので…」
 「そうか?」
 「もう…何時ものラグナではありませんよ?さっきからどうしたのですか?」
 「……わりぃ、少し考え事をしててな…」
アステラルには…見透かされてる…
ま、長い付き合いだし友達だもんな…!
 「なぁ…アステラル……私の母親って…どんな人だったんだろうな」
 「ラグナのお母さん…ですか……確か、ラグナを産んだ後に亡くなったと聞きましたが…」
 「私、母親のこと…全く知らないからさ……女将のことを見てて、気になっちまって…」
 「自分のお母さんの事ですからね…仕方ないですよ」
 「アステラルの父親と母親はどんな人なんだ?」
 「…父上は…私と兄様を何時も厳しく育ててくれました……修行をしましたが…剣技の事で冬桜の面汚しなど言われました…。母上は…優しい人でしたけど…私と五年の間に暮らして亡くなってしまいました……体が生まれつき弱く、本当はメイドにも向いてなかった人と言われてましたね…」
……アステラルも、抱えてたのかな?
家庭のこと……どうなんだろう?
 「ラグナはどうなのですか?レナウトさんのこと」
 「……親父、今は何をしてるんだろうな…。私とアステラルが出て行って…もう長い時間が経つけど…」
 「ですね。やっぱり、気になりますか?」
 「いくら苦手な人でも、親父は親父だかんな…そりゃ気になる…気になるけど…私は後悔なんてしてないぜ!」
私は海賊になる!それが夢だ!
父親と母親のことが気になるけど…
私は私だ!自分なんだ!
 「何時ものラグナに戻りましたね!」
 「はっはははは!!ありがとうな!アステラル!気が晴れたよ」
 「私にもしてくれたように、何かあれば相談に乗りますよ」
 「お前ら…何の話をしてんだ?…」
ビレスートのおっさんが首を斜めにしてこっちを見ていた
 「気にすんな!ただの昔話さ!んで、そろそろ話をしても良いか!?」
 「…はぁ……お前、かなりの自分勝手だろ…まぁいい……俺らを探していたのはなんだぁ…?」
 「私達があんたら海賊を探していたのは………………」












海賊になりたいんだ!




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