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Ⅴ 雨に濡れた日
夢への手掛かり
しおりを挟む街道の端にある森の入口にはモンスター注意の看板が立て掛けられており、危険レベルが星の数で表示されている。
「星一つか。
ま、これなら楽勝だな」
「おーい、待ってくれよ」
大きなリュックを背負ったラトが、後ろから追い付いてきた。
森に入る前から既に息を切らしている。
「体力のない男だな。
そんなひ弱で武器職人が務まるのか?」
二人は生い茂る木立のトンネルに足を踏み入れた。
木陰に入った事で涼気に包まれ、火照った体に風が心地好い。
「それで、まさかこの広大な森の中を闇雲に探すつもりか?」
「探すつもりかにゃ、だろ?」
「やっぱり一発殴っておくか」
ネムネムが拳を振り上げる。
「嘘っ、嘘です、ごめんなさい。
魔鉱石を探す手掛かりならちゃんとあるぜ」
「それは、昨夜の欠片か?」
ラトの首には革紐で結ばれた魔鉱石のネックレスが掛かっていた。
「おう。
古老の話だと、魔鉱石同士を近付けると石が紫色に発光するらしいんだ。
つまり、こいつが光る場所に俺達の目指すものはあるって事さ!」
自信満々のその顔を、穴が空くほど見詰めるネムネム。
「……おい。
つまり私達はこの広い森の中で、ローラー作戦をすると言う事か?
それも、たったの二人で」
「まぁ、そうなるな」
ラトが能天気に相槌を打った。
「ふ、ざ、け、る、なっ。
この暑いのに一日中そんな事してたら、いくら私でも熱中症で倒れてしまうぞ」
猫族は暑さに比較的強いとは言え、真夏に歩き回るのは体に堪える。
「うーん、弱った。
せめて月光蝶でも見つかればな」
「月光蝶?」
そう言えば弟が以前、領主から珍しい蝶の話を聞かされたと話していた。
「人の心を理解すると言う幻の蝶、だったか。
その蝶に案内役を頼もうと言うのか?」
「でも、人前には滅多に姿を見せないって言うし、無理だろうなぁ」
背中のリュックをどさりと下ろし、手で風を送る。
武器職人の体力のなさを再確認し、ネムネムもその隣に腰を下ろした。
「なぁ、ラト。
その大量の荷物、中身はいったい何なんだ?」
「商売道具」
「それ全部、武器だったのか。
動けなくなるのも納得だな」
青年はリュックの上から自作の武器を撫でた。
「ネム。
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「にゃっ?!」
唐突に聞かれて慌てふためき、少し考えてから首を振る。
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