10 / 15
1日目
山編4 楽しい魚釣り(後)
しおりを挟む
それからしばらくして…。
もう魚は充分なくらい釣れていた。
「よく釣れるな」
実がウキウキしながらそう言った。
拍子抜けするくらいあっさりと魚が釣れる。
それに対して、星成は不思議に思いながら返事をした。
「本当に。餌も何も付けてないのに」
本当に何も付けていない釣竿なのに、よく魚がかかってくる。
最初は釣りが出来るうれしさに餌を付けるのを忘れていたのだが、途中でふと気付いた。
『あれ?そういえば餌付けてなかったよな。
なのに何で釣れるんだろう?」
全くの謎だが、とにかく釣れるから2人は釣り続け今に至るのです。
「あ、また魚が寄ってきた」
川の水がきれいなため魚の動きがはっきりわかり、それもまた楽しい2人だった。
「釣れた」
星成が竿を引き上げた。
ドボン
釣った魚をバケツに入れて、バケツの中の魚を確認しながら、星成は実に言った。
「もう大分魚釣れたし、そろそろ止めるか?」
実はうなずいた。
「そうだな。じゃあ明里先輩のところに戻るか」
実は竿を引き上げて星成のところまで来た。
「釣りできてよかったよな」
実が笑顔で言うと、星成も笑って言った。
「そうだな。なんかちょっと簡単すぎた気もするけど、楽しかったよな」
明里は、マッチを持って待っていた。そして足元には小枝の山。
「お帰り-」
2人の姿が見えると大きく手を振った。
「ただいま」
2人はうれしそうに、明里にバケツの中を見せた。
「うわあ。よく釣れたね-」
明里は魚を見て歓声をあげた。
「はい。楽しいくらいに釣れちゃって」
そう星成は言って、心の中でこう付け加えた。
まあ、釣れなくても釣り自体楽しいけどな。
そして明里の持っている物に気付いた。
「あれ?明里先輩、そのマッチは-?」
「ああ、これはね-」
それに応えて、明里は自分が星成達と分かれた後のことを話し始めた。
「あたしが何かいい物はないかと林の中を歩いていると-。
『何か他に食べられそうなものないかな-?』
突然この電話があたしの手に飛んできて…。すっごいびっくりしちゃった。
それで見てみると、銀じいさんに電話するときの丸いボタンが光ってたの。
そのボタンを押したら、銀じいさんの声が聞こえてきたんだ。
『明里さん、今いるあたりには食べられるものは生えていないよ』
『あ、そうなんだ』
あたしがちょっとがっかりすると、銀じいさんが教えてくれたんだ。
『ただ、実くん、星成くんが釣ってきた魚は焼いて食べないとだめじゃろう?
だから燃えるものが必要じゃな。2人が帰ってくる前に落ちている枝を集めるといい』
『うん、そうするね』
あたしがうなずくと、銀じいさんが、
『あと火を付けるマッチは、絵を描くときに座っていた丸太の上に置いておくからのう』
だからマッチもあるってわけ。
どう?魚を焼けるくらい枝集まったでしょ?」
明里はそう言って枝の山を指差した。
実と星成は、明里の話を聞いて納得した。
それにしても、電話が飛んでくるなんて驚きだ。
星成はそう思ったが、さっきの電話で透達がそういう思いをしたことに気付いていない。
「じゃっ、魚焼いて食べよう。2人ともおなかすいてるでしょ?」
明里が実と星成に聞くと、2人ともしっかりうなずいた。
「はい。とっても」
もし現実の世界にいたら、夕飯の時間を過ぎているくらいの時間が経っていた。
明里は2人の答えを聞くと、マッチをシュッとすって、枝の山に火をつけた。
あれ?
星成はふと疑問に思った。
「明里先輩、どうやって魚焼くんですか?網もないし」
その星成の言葉に実も気付いた。
「このまま火に入れるとか?」
そんな2人に首を振って明里は教えた。
「ああ。それは魚に枝を刺して、火のまわりに立てるといいんだよ」
2人が知らないことも、明里は家族とのキャンプでいろいろ学んでいるのだった。
そして明里が教えながら、3人は魚を立てた。
星成も実も、そんな明里に改めて感心した。
明里先輩、すごいな-。やっぱりいろいろな経験をするって大事なんだな-。
星成はそう思った。
しばらくすると、こげ色がついていい匂いがしてきた。
「あ、焼けたかな」
明里がそう言うと、実は張り切って言った。
「じゃあ食べましょう、食べましょう」
3人はそれぞれ魚を手に取った。
「では、いただきます」
3人は魚を食べはじめた。
実と星成は、こういう食べ方は初めてだったけれど…。
「おいしい!」
「おなかすいてたからとっても幸せ」
3人とも、とてもうれしく魚を味わった。
そしておなかがいっぱいになると、バケツの中に残った魚を、感謝しながら川に戻したのでした。
もう魚は充分なくらい釣れていた。
「よく釣れるな」
実がウキウキしながらそう言った。
拍子抜けするくらいあっさりと魚が釣れる。
それに対して、星成は不思議に思いながら返事をした。
「本当に。餌も何も付けてないのに」
本当に何も付けていない釣竿なのに、よく魚がかかってくる。
最初は釣りが出来るうれしさに餌を付けるのを忘れていたのだが、途中でふと気付いた。
『あれ?そういえば餌付けてなかったよな。
なのに何で釣れるんだろう?」
全くの謎だが、とにかく釣れるから2人は釣り続け今に至るのです。
「あ、また魚が寄ってきた」
川の水がきれいなため魚の動きがはっきりわかり、それもまた楽しい2人だった。
「釣れた」
星成が竿を引き上げた。
ドボン
釣った魚をバケツに入れて、バケツの中の魚を確認しながら、星成は実に言った。
「もう大分魚釣れたし、そろそろ止めるか?」
実はうなずいた。
「そうだな。じゃあ明里先輩のところに戻るか」
実は竿を引き上げて星成のところまで来た。
「釣りできてよかったよな」
実が笑顔で言うと、星成も笑って言った。
「そうだな。なんかちょっと簡単すぎた気もするけど、楽しかったよな」
明里は、マッチを持って待っていた。そして足元には小枝の山。
「お帰り-」
2人の姿が見えると大きく手を振った。
「ただいま」
2人はうれしそうに、明里にバケツの中を見せた。
「うわあ。よく釣れたね-」
明里は魚を見て歓声をあげた。
「はい。楽しいくらいに釣れちゃって」
そう星成は言って、心の中でこう付け加えた。
まあ、釣れなくても釣り自体楽しいけどな。
そして明里の持っている物に気付いた。
「あれ?明里先輩、そのマッチは-?」
「ああ、これはね-」
それに応えて、明里は自分が星成達と分かれた後のことを話し始めた。
「あたしが何かいい物はないかと林の中を歩いていると-。
『何か他に食べられそうなものないかな-?』
突然この電話があたしの手に飛んできて…。すっごいびっくりしちゃった。
それで見てみると、銀じいさんに電話するときの丸いボタンが光ってたの。
そのボタンを押したら、銀じいさんの声が聞こえてきたんだ。
『明里さん、今いるあたりには食べられるものは生えていないよ』
『あ、そうなんだ』
あたしがちょっとがっかりすると、銀じいさんが教えてくれたんだ。
『ただ、実くん、星成くんが釣ってきた魚は焼いて食べないとだめじゃろう?
だから燃えるものが必要じゃな。2人が帰ってくる前に落ちている枝を集めるといい』
『うん、そうするね』
あたしがうなずくと、銀じいさんが、
『あと火を付けるマッチは、絵を描くときに座っていた丸太の上に置いておくからのう』
だからマッチもあるってわけ。
どう?魚を焼けるくらい枝集まったでしょ?」
明里はそう言って枝の山を指差した。
実と星成は、明里の話を聞いて納得した。
それにしても、電話が飛んでくるなんて驚きだ。
星成はそう思ったが、さっきの電話で透達がそういう思いをしたことに気付いていない。
「じゃっ、魚焼いて食べよう。2人ともおなかすいてるでしょ?」
明里が実と星成に聞くと、2人ともしっかりうなずいた。
「はい。とっても」
もし現実の世界にいたら、夕飯の時間を過ぎているくらいの時間が経っていた。
明里は2人の答えを聞くと、マッチをシュッとすって、枝の山に火をつけた。
あれ?
星成はふと疑問に思った。
「明里先輩、どうやって魚焼くんですか?網もないし」
その星成の言葉に実も気付いた。
「このまま火に入れるとか?」
そんな2人に首を振って明里は教えた。
「ああ。それは魚に枝を刺して、火のまわりに立てるといいんだよ」
2人が知らないことも、明里は家族とのキャンプでいろいろ学んでいるのだった。
そして明里が教えながら、3人は魚を立てた。
星成も実も、そんな明里に改めて感心した。
明里先輩、すごいな-。やっぱりいろいろな経験をするって大事なんだな-。
星成はそう思った。
しばらくすると、こげ色がついていい匂いがしてきた。
「あ、焼けたかな」
明里がそう言うと、実は張り切って言った。
「じゃあ食べましょう、食べましょう」
3人はそれぞれ魚を手に取った。
「では、いただきます」
3人は魚を食べはじめた。
実と星成は、こういう食べ方は初めてだったけれど…。
「おいしい!」
「おなかすいてたからとっても幸せ」
3人とも、とてもうれしく魚を味わった。
そしておなかがいっぱいになると、バケツの中に残った魚を、感謝しながら川に戻したのでした。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
GREATEST BOONS+
丹斗大巴
児童書・童話
幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。
異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)を生みだし、規格外のインベントリ&ものづくりスキルを使いこなす! ユニークスキルのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅する、ほのぼの異世界珍道中。
便利な「しおり」機能、「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です!
みかんちゃんの魔法日和〜平和な世界で暮らす、魔法使いの日常
香橙ぽぷり
児童書・童話
この世界と似ているけれど、神様の存在も知られていて、
神の使いである魔法使いも、普通の人を助けながら一緒に暮らす、平和な世界。
普通の人と同じ学校に通っている
10歳の魔法使い、みかんちゃんの日常物語です。
時系列で並べているため、番外編を先にしています。
☆ふしぎな夜のおひなさま
(ひな祭り)
朝に見ると、毎日のように、ひな人形が動いた跡があると、
同じ学校の1年生から相談されます。
一体何が起きているのか、みかんちゃんは泊まり込みで調査します。
14歳の時から、個人的に書いている作品。
特に起点もなく、主人公さえいれば成り立つ話なこともあり、最長です。
学校用の作品は当時の年齢や、伝わりやすさを意識して書いていましたが、
これは私がわかれば…、思いっきり好きなように!と考えて書いていたため、
他の作品よりも設定に凝りまくっていたり、クラスメートなどのキャラクター数が多かったりと、わかりにくいところがあります。
私の代表作なので載せておきます。
ファンタジー要素の他に、友情とか、親子愛とか、物を大切に思う気持ちとか、
いろんな愛情を盛り込みたいと考えているので、タグにも入れました。
恋愛要素も少しはありますが、恋に限定してはいないので、タグで誤解を与えたらすみません。
猫のお菓子屋さん
水玉猫
絵本
クマのパン屋さんのおとなりに、猫のお菓子屋さんができました。
毎日、いろんな猫さんが、代わる代わるに、お店番。
お店番の猫さんが、それぞれ自慢のお菓子を用意します。
だから、毎日お菓子が変わります。
今日は、どんなお菓子があるのかな?
猫さんたちの美味しい掌編集。
ちょっぴり、シュールなお菓子が並ぶことも、ありますよ。
顔見知りの猫さんがお当番の日は、是非是非、のぞいてみてください!
亀さんののんびりお散歩旅
しんしん
児童書・童話
これは亀のようにゆっくりでも着々と進んでいく。そんな姿をみて、自分も頑張ろう!ゆっくりでも時間をかけていこう。
そんな気持ちになってほしいです。
あとはほのぼの見てあげてください笑笑
目的 カミール海岸へ行くこと
出発地 サミール海岸
両親大好きっ子平民聖女様は、モフモフ聖獣様と一緒に出稼ぎライフに勤しんでいます
井藤 美樹
児童書・童話
私の両親はお人好しなの。それも、超が付くほどのお人好し。
ここだけの話、生まれたての赤ちゃんよりもピュアな存在だと、私は内心思ってるほどなの。少なくとも、六歳の私よりもピュアなのは間違いないわ。
なので、すぐ人にだまされる。
でもね、そんな両親が大好きなの。とってもね。
だから、私が防波堤になるしかないよね、必然的に。生まれてくる妹弟のためにね。お姉ちゃん頑張ります。
でもまさか、こんなことになるなんて思いもしなかったよ。
こんな私が〈聖女〉なんて。絶対間違いだよね。教会の偉い人たちは間違いないって言ってるし、すっごく可愛いモフモフに懐かれるし、どうしよう。
えっ!? 聖女って給料が出るの!? なら、なります!! 頑張ります!!
両親大好きっ子平民聖女様と白いモフモフ聖獣様との出稼ぎライフ、ここに開幕です!!
秘密
阿波野治
児童書・童話
住友みのりは憂うつそうな顔をしている。心配した友人が事情を訊き出そうとすると、みのりはなぜか声を荒らげた。後ろの席からそれを見ていた香坂遥斗は、みのりが抱えている謎を知りたいと思い、彼女に近づこうとする。
メシマズ勇者の給食係
yolu
児童書・童話
中学一年生・拓人(たくと)は、祖母と二人暮らしをしていた。
日々の生活はほぼ拓人がこなし、特に得意な家事は料理。一度見たレシピは忘れないのが、拓人の特技でもある。
そんな生活のなか、祖母が急逝してしまう。
失意のどん底で、雨の道路を踏み外し、トラックにはねられたと思ったが、目覚めた場所は、なんと異世界!
──拓人の料理が救うのは、仲間と、……異世界も!?
からかさお化けと彦吉
香橙ぽぷり
児童書・童話
昔ある通りに出没する、からかさお化けと、仲良くなった青年がいたらしい…。
妖怪か奇人の出てくる話を、本当の伝承かのように書くという、
大学の課題用に考えた作品。
主人公がこんなに高い年齢(25歳)のお話を書くことは、もうないかもしれない…。
あまりにもショートなので、個人的に2を書き足しました。
3を書くなら、彦吉さんの子ども達もからかさお化けのお世話になっていて…という話にしようかなと考えています。
19歳の時の作品。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる