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想定外の人物
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クラスに到着すると、ザワザワしていた部屋の中が急に静かになった。
社交界デビューは16歳前後にすることが多く学生のほとんどはデビュー前だ。
そのため、俺やディアナ嬢と面識がある者は遊び相手として王宮に招かれた者かお茶会等で出会った者に限るため、おのずと高位貴族になる。高位貴族以外が大半を占める学園では俺たちの存在自体が緊張するのかもしれない。
「そういえば、知り合いはいるのか?」
ディアナ嬢に問いかけた。
「はい。侯爵令嬢のソフィア様がいらっしゃるはずです」
とクラス内を見回していたところ、ゆっくり近づいてきて優雅にカーテシーした令嬢がいた。
「ソフィア様、ご機嫌よう」
「ディアナ様、ご機嫌よう。同じクラスで嬉しいわ」
ディアナ嬢は俺にも「この方はハンプソン侯爵家のソフィア様です」と紹介してくれた。
「ご機嫌よう、殿下」
「ご機嫌よう、ハンプソン侯爵令嬢。三年ぶりくらいか」
「ご無沙汰しております。殿下と同じクラスになれましたこと大変光栄に存じます」
「学園ではクラスメイトになるのだから堅苦しくしなくていい。気軽に接してくれ」
俺は他の者にも伝わるようにはっきりと言った。
その言葉が聞こえたのか、話しかけても良いと思った学生が近づいてこようとしたが、ちょうど担任が入ってきたため皆席に戻った。
「私はSクラス担任のグレンフォードだ。早速だが、我が学園の必須科目について説明する。必須科目は、ダンス、魔法学、領主代理プロジェクトの3つだ。男性はそこに剣術も加わる。なお、ダンスと魔法学は本クラス単位で行う。
その他は、選択科目となるが学期末テストは選択科目含め実施される。自信のない科目、家庭教師から教わっていない科目は受講必須と考えるように。
また、明日は領主代理プロジェクトのグループ紹介が一日通して開催される。参加して一週間以内に希望のプロジェクトを見つけるように。以上だ」
俺は必須となっている科目は、だれ恋のイベントで必要だからだな、と思った。家庭教師に学んでいるものが不要であれば、ダンスなど最たるものだろうが、これがあるのはダンス授業イベントがあるからだろう。さすが乙女ゲーム設定!
まぁ、それはさておき、どのプロジェクトに入るのが得策か。そんなことを考えていると急に話しかけてきた者がいた。
「よっ!レイモンド!元気にしてたか?」
周囲の者がギョッとしていた。それはそうだ。第一王子に対してこんな軽口を聞ける者がいるとは誰も思わないだろう。
俺も思考が停止しそうになった。
「………なぜお前がここにいる?」
「いや、何故って。留学してきたからに決まってるだろ?留学してきてほしいって泣きついてきたから来てやったよ」
まさかの返答に言葉を失った。
泣きついてなどいない。最近会ってないな、どうしている?と手紙を送っただけじゃないか!?
「手紙を送っただけだったと思うが……思い違いか?」
「まぁ、そうかもな。とりあえずお前から手紙なんて珍しすぎるから留学してきた」
なんと身軽なっ!てか、それでいいのか!?隣国アルストロメリア帝国の第二王子よ…。
だれ恋にも登場していなかった人物の登場に唖然としてしまった。
さきほど、さすが乙女ゲーム設定!と思ったばかりなのに、だれ恋とは違う展開が早々にやってきた…。
「はぁ。ここではなんですから、本日王宮でお茶でもいかがですか?アラン王子殿下」
俺はげんなりしながらも丁寧な口調に戻し、ディアナ嬢には今日の帰り送っていけない旨を告げ、アランを連れだって王宮へ帰ることにした。
社交界デビューは16歳前後にすることが多く学生のほとんどはデビュー前だ。
そのため、俺やディアナ嬢と面識がある者は遊び相手として王宮に招かれた者かお茶会等で出会った者に限るため、おのずと高位貴族になる。高位貴族以外が大半を占める学園では俺たちの存在自体が緊張するのかもしれない。
「そういえば、知り合いはいるのか?」
ディアナ嬢に問いかけた。
「はい。侯爵令嬢のソフィア様がいらっしゃるはずです」
とクラス内を見回していたところ、ゆっくり近づいてきて優雅にカーテシーした令嬢がいた。
「ソフィア様、ご機嫌よう」
「ディアナ様、ご機嫌よう。同じクラスで嬉しいわ」
ディアナ嬢は俺にも「この方はハンプソン侯爵家のソフィア様です」と紹介してくれた。
「ご機嫌よう、殿下」
「ご機嫌よう、ハンプソン侯爵令嬢。三年ぶりくらいか」
「ご無沙汰しております。殿下と同じクラスになれましたこと大変光栄に存じます」
「学園ではクラスメイトになるのだから堅苦しくしなくていい。気軽に接してくれ」
俺は他の者にも伝わるようにはっきりと言った。
その言葉が聞こえたのか、話しかけても良いと思った学生が近づいてこようとしたが、ちょうど担任が入ってきたため皆席に戻った。
「私はSクラス担任のグレンフォードだ。早速だが、我が学園の必須科目について説明する。必須科目は、ダンス、魔法学、領主代理プロジェクトの3つだ。男性はそこに剣術も加わる。なお、ダンスと魔法学は本クラス単位で行う。
その他は、選択科目となるが学期末テストは選択科目含め実施される。自信のない科目、家庭教師から教わっていない科目は受講必須と考えるように。
また、明日は領主代理プロジェクトのグループ紹介が一日通して開催される。参加して一週間以内に希望のプロジェクトを見つけるように。以上だ」
俺は必須となっている科目は、だれ恋のイベントで必要だからだな、と思った。家庭教師に学んでいるものが不要であれば、ダンスなど最たるものだろうが、これがあるのはダンス授業イベントがあるからだろう。さすが乙女ゲーム設定!
まぁ、それはさておき、どのプロジェクトに入るのが得策か。そんなことを考えていると急に話しかけてきた者がいた。
「よっ!レイモンド!元気にしてたか?」
周囲の者がギョッとしていた。それはそうだ。第一王子に対してこんな軽口を聞ける者がいるとは誰も思わないだろう。
俺も思考が停止しそうになった。
「………なぜお前がここにいる?」
「いや、何故って。留学してきたからに決まってるだろ?留学してきてほしいって泣きついてきたから来てやったよ」
まさかの返答に言葉を失った。
泣きついてなどいない。最近会ってないな、どうしている?と手紙を送っただけじゃないか!?
「手紙を送っただけだったと思うが……思い違いか?」
「まぁ、そうかもな。とりあえずお前から手紙なんて珍しすぎるから留学してきた」
なんと身軽なっ!てか、それでいいのか!?隣国アルストロメリア帝国の第二王子よ…。
だれ恋にも登場していなかった人物の登場に唖然としてしまった。
さきほど、さすが乙女ゲーム設定!と思ったばかりなのに、だれ恋とは違う展開が早々にやってきた…。
「はぁ。ここではなんですから、本日王宮でお茶でもいかがですか?アラン王子殿下」
俺はげんなりしながらも丁寧な口調に戻し、ディアナ嬢には今日の帰り送っていけない旨を告げ、アランを連れだって王宮へ帰ることにした。
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