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少年が死神に成った理由(ワケ)

世界の狭間

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『起きろ、劉斗!!』

!!!

ハッと目を覚まし、辺りを見渡す。
ここはどこだ?…真っ暗で何も見えない。

「…起きたか、劉斗。」

「!糸弦!!よかった、無事だったんだ。」

「おう!不死鳥だからな!死にはしねぇよ!」

ニカッと笑みを浮かべるその顔色は、やはり悪い。

「…大丈夫?」

「…おう。心配させてわりぃ。」

「別に。家族なんだし、当然でしょ。」

「家族…。そっか、俺たち、家族かぁ…へへっ!」

―…じゃあ、いつか話さなきゃな。

そう、ポツリと小さく呟く彼はどこか酷く悲しげで、嬉しげで。

目を離すと消えてしまいそうな儚さを身に纏っていた。

…おかしいな、儚さは舞夕の専売特許のはずなのに。

『…。』

「…ところで、どうすんだ?たぶん、アイツもう研究終わらせて俺たちを眺めて楽しんでる頃だぞ?」

え?

(そうなの?)

『…ああ。俺の身体も用意していた。…胸糞悪い。』

…。

「研究者は、一体何がしたいんだろう」

糸弦の言い方だと逃げても良いってことでしょ。

「…研究したいんだろ。そんで、アイツを生き返らせたい。」

「アイツって?」

「研究者の恋人だ。」

…恋人、ねぇ。

…。

『…俺の身体、どうすればいい。』

(あった方がめんどくさくなくていいんじゃない?)

『…そうだな。』

「んで、これからどうすんだ?」

「愁さんを探す。きっと、あの不気味な少年と一緒にここにいるから。」

「…勘か?」

そう言って現れたのは、僕によく似た四十くらいの男性だ。

「うん、勘。…もしかしなくても、花、だよね?」

「…あぁ。」

「…ビックリした!ビッックリした!!」

そう言えばキミ、怖いの苦手なんだっけ。意外とビビりだよね。

「ジト目で見んのやめて!」

「…じゃあここから出ようか。」

「無視すんな!」

ギャーギャーと喚く糸弦を他所に、僕と花は歩き出した。



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