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少年が死神に成った理由(ワケ)

第二話 叔父と叔母

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騒然とした教室から抜け出し、サボることにした僕は、糸弦たちも巻き込んで帰路へと着く。

「…なぁ、劉斗。叔父さんたちは知ってんのか?」

何を、とは聞かない。当然、花のことだろう。

「…知らないよ。言ってないから。」

『…。すまない』

(謝るくらいならさっさと出ていけ人喰い花…!)

ギュッと、強く目を瞑る。

「…でも、そうだね。そろそろ、言ってみようと思う。」

…きっと、このままじゃダメなんだろう。最近は僕だけじゃなく、糸弦たちもいじめの対象になってきている。

優しい叔父と叔母に迷惑をかけたくない。友人たちにもだ。

だけど、ことはそう簡単ではない、気がする。

「…」

友人たちが互いに目配せをして、何か覚悟を決めたかのように、強く頷き合ってたことは、僕は気づいていなかった。




「ただいま」

「「「お邪魔します」」」

「あらあら、お帰りなさい。今日は早いわねぇ、何かあったの?」

「…そのこと、もなんだけど…。少し、話したいことがあって。」

「…立ち話もなんだ、座ろうか。」

「…うん。」

ごくり、と唾を呑み、覚悟を決め、話す。

「…実は、僕、能力があって。」

「…!」

「……、どんな能力だ?」

「死へと誘う、花、の、能力…」

受け入れてくれるかどうかの恐怖からか、段々と声が小さくなっていく。

「…そう。」

「…?驚かないの?」

「…えぇ。……兄さん。」

「…あぁ。…劉斗くん、これを。」

これは…日記?
しかも、母さんのだ。

「いつかこんな日が来るとは思っていたの。」

「俺たちもそろそろ、話さなければいけないと思っていた。」

…叔父さんと叔母さんの言葉を聞きながら、日記を読み進めていく。

するとそこには、僕が目を逸らし続けていた、その事実が、記されていた。

もう、目を逸らすことは出来ないんだね。





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