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第五話 つづみの秘密
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次の日の朝、さっそく私は昨日の出来事を蒼馬に話した。
「え、新しい部員が?」
「そうなの! 白川つづみさんっていう一年生の子」
「部員が増えるのは嬉しいな」
蒼馬は純粋に部員が増えることを喜んでいるようだ。
「ただ、入部する動機は不明だけど……」
彼女は多分、香山くんがいるから入部を決めたのだろう。あの敵意むき出しの彼女と一緒に活動することに一抹の不安を感じる。
「まぁ、きっと何とかなるさ」
私の気持ちを察したのか、彼はそう呟くと私の頭に手を置く。何だかあやされているみたいだ……。
私は少し恥ずかしくなってやんわりその手を払い退けると、話の続きをした。
「それでね、今日は茶室を案内しようと思うの」
「そうか。本当は俺も行きたいけど、今日は弓道あるから任せるよ。……景も一緒なのか?」
「うん、一緒に来てくれるみたい」
「……」
急に蒼馬の声に元気がなくなる。咄嗟に彼の方を見ると、俯き加減で悲しげな様子だった。何かまずいことを言ってしまっただろうか。
「蒼馬、どうしたの?」
「いや……何でか分からないが、胸の内がモヤモヤしてな」
「もやもや……?」
聞き慣れない言葉が蒼馬の口から出てくる。胸の内がモヤモヤするとは、一体どういった感情だろう。私には分からなかった。
放課後。授業が終わり、筆記用具や教科書を鞄にしまう。今日も一日退屈な授業を受け終わった。
ずっと座っているというのは中々疲れる。体育のような授業の方がまだマシかもしれない。
そんなことを考えていると、教室の入り口から聞いたことのある声が聞こえてきた。
「景先輩、お疲れ様です! 迎えに来ました。一緒に帰りましょう」
声の主は昨日会ったばかりの白川つづみさんだった。授業が終わって、二年生のクラスまで来たみたいだ。
「今日は茶室の見学だろう。忘れたの?」
「ええー、そんなのどうでもいいですよ。別に興味ないですし」
ストレートにそんなことを言われると少し悲しくなる。彼女と楽しく部活をすることはできるだろうか……自信がなくなってきた。
「入部するんだろう。行くぞ」
「景先輩がそう言うならー」
香山くんは鞄を持って席を立つと、私の机の前に来る。そして机に手を置いた。
「さあ部長、行こうか」
いつも通りの優しい笑みを浮かべた香山くんに、少し不安が紛れる。私も席を立つと、鞄を手にした。
「うん!」
三人で教室を出ると、まず鍵を取りに職員室へ向かった。鍵の場所をつづみさんに教えるためだ。しかし、彼女はあまり説明を聞きたくないようだ。
「そんなことはいいですから、すぐ茶室に案内してください。早く帰りたいので」
「つづみ、そんなに帰りたいなら今すぐ入部をやめて帰っていいぞ」
「え、嫌です! 私入部したいです」
「なら、しっかり部長の話を聞きな。でないと僕が追い出すよ」
「分かりました……部長、すみません」
再びつづみさんに頭を下げられる。この前もそうだが、彼女は香山くんに不思議なくらい従順だ。彼に何か弱みでも握られているのだろうか。
そういえば、そもそもつづみさんは香山くんの正体を知っているのだろうか? 幼馴染みと言っていたから知っている可能性は高いけど……。
「部長、どうしたの? そろそろ行こう」
「あ、うん! 行こう!」
鍵の説明をして、私たちは職員室を出た。茶室に着くと、上履きを脱いで中に入る。そして道具の説明をしようとした時だった。
「あ、私全部知ってるので大丈夫です」
興味がなさそうにそう言われる。
「え、もしかしてつづみさんも経験者なの!?」
「さん付けはやめてもらえます? つづみでいいですって!」
「えと、じゃあ、つづみも……」
「経験者ですよ。小さい頃に家族から習ってますし」
なんだか彼女も香山くんに似ている気がする。香山くんと同じようにすごいお家に住んでいそうだ。
「でも私、正直言って茶道には全く興味ありません。もちろん、部活動は真剣に行いますが、それだけは言っておきますね」
天使のような笑顔でそんなことを言われる。その笑顔に私は何も言い返せなかった。
「ところで、景先輩。どうして急に茶道部に入部したんですか? 先輩だって、別に茶道が好きなわけではないでしょう」
「え、そうなの?」
思わず香山くんを見上げる。彼と目が合った。彼は少し考えるようにしてから話し始めた。
「うん、嫌いってわけでもないけど」
「そう、なんだ」
なぜだかそう言われると落ち込む。茶道に興味がないなら、本当になぜ入部を決めたのだろう。ますます彼のことが分からなくなった。
「ただ、入部は必要なことだと判断した」
「?」
その言葉に、茶室内の空気がしんと静まる。香山くんの目はいつにもなく真剣だった。すると、つづみも同じように真剣な顔になる。そしてしばらく考え込んだ後、何かを察したように言った。
「つまり、先輩は宮坂先輩かもう一人の部員……村雲さんでしたっけ? 二人に何か起こると? どうしてそう思いになるんです?」
一体彼女は何の話をしているのだろう……? 私たちに何かが起こる? 前に香山くんが話していた睨んでいる妖怪と何か関係があるのだろうか。
「正確には宮坂さん、かな。彼女を見つめるあいつらの目がどうにも異常なんだ。僕があの時話しかけたのも悪いけど、彼女はあの日から見えるようになった」
「え、宮坂先輩が? それは……だから先輩は」
つづみが珍しく考え込んでしまう。私は二人の話に完全に置いてけぼりで、話に入ることは出来なかった。
「彼女には僕のことは教えたよ。だからお前も僕に協力してくれないか?」
香山くんがつづみにそう言う。すると、つづみは決心したように前を向く。その表情はいつもと違うように見えた。
「……分かりました。なら仕方ないですね」
そう言うと彼女は私の方を向く。その眼差しは真剣に私を見つめていた。
「私は白川つづみ。白川家は代々蛇五を名の由来とする妖の血を継ぐ、その末裔です」
「蛇五?」
聞き慣れない言葉と、一度に理解しがたい内容が耳に入ってくる。つまり、彼女も香山くんと同じような存在ということだろうか。そんなことを考えていると、彼女の制服の裾から突然青い蛇が姿を現した。
「キャー! 蛇!」
「この子は私の蛇です。古いご先祖様は赤い蛇も扱っていたようですが、今の私にはこの子を呼び出すことしかできません」
彼女がそう言うと、蛇は突然消えていった。彼女は再び話を続ける。
「景先輩の香山家に比べれば格は下がりますが、これでも由緒正しい妖怪の一族です」
「妖怪……」
「景先輩が宮坂先輩の周りを警戒しているということは、あなたの周りに何らかの由々しき問題があるのでしょう。だから私も協力します」
「え、あの……」
つづみに初めて自主的に頭を下げられる。話の内容が理解できず、戸惑う。
私に何らかの問題がある?やはり、何か悪いことが起きているのだろうか。話についていけず混乱していると、香山くんが私に声をかけた。
「大丈夫。とりあえず僕達二人は宮坂さんの味方だから、何も心配しなくていいよ」
「味方ですけど、ちゃんと本人にも危機感を持ってもらわないと困ります」
つづみを見ると、彼女はいつも通りに戻っていた。さっきとはまるで別人みたいだ。
「あの……要するに、私に原因があるってことだよね?」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。今はまだ分からないよ」
「先輩は甘いですよ。もっとちゃんと伝えないと」
「つづみ、宮坂さんが混乱してるのが分からないのか? 今日はもうこの話は終わりだ、帰るぞ」
「はーい」
不服そうにつづみは返事をした。
「宮坂さんも一緒に帰ろう」
「うん……」
何だか香山くんに初めて会った日から、刺激的な毎日だ。今日も驚きの事実を知った。まさか、つづみまで妖怪の一族だなんて。これまでの私だったら絶対に信じなかっただろう。
「言っておきますけど、宮坂先輩。景先輩は優しさであなたのそばにいるだけですからね!」
「は、はい……」
再び敬語になってしまった……。
そういえば、香山くんはどんな妖怪の一族なんだろう? 私は興味本位で聞いてみることにした。
「ねえ、香山くん。香山くんはどんな妖怪がご先祖様なの?」
その言葉に彼は一瞬凍りついたように固まったが、すぐにいつも通りの表情に戻った。
「それは、秘密かな」
「え、何で?」
「宮坂先輩! 景先輩は由緒正しい香山家の中でも、先祖返りと言われているすごい方なんですよ!? そんなに軽々しく……」
「つづみ、静かに」
香山くんはとっさにつづみの口を手で抑えた。聞いてはいけないことを聞いてしまっただろうか。しかし、香山くんを見ると、いつも通りの笑顔がそこにあった。
「え、新しい部員が?」
「そうなの! 白川つづみさんっていう一年生の子」
「部員が増えるのは嬉しいな」
蒼馬は純粋に部員が増えることを喜んでいるようだ。
「ただ、入部する動機は不明だけど……」
彼女は多分、香山くんがいるから入部を決めたのだろう。あの敵意むき出しの彼女と一緒に活動することに一抹の不安を感じる。
「まぁ、きっと何とかなるさ」
私の気持ちを察したのか、彼はそう呟くと私の頭に手を置く。何だかあやされているみたいだ……。
私は少し恥ずかしくなってやんわりその手を払い退けると、話の続きをした。
「それでね、今日は茶室を案内しようと思うの」
「そうか。本当は俺も行きたいけど、今日は弓道あるから任せるよ。……景も一緒なのか?」
「うん、一緒に来てくれるみたい」
「……」
急に蒼馬の声に元気がなくなる。咄嗟に彼の方を見ると、俯き加減で悲しげな様子だった。何かまずいことを言ってしまっただろうか。
「蒼馬、どうしたの?」
「いや……何でか分からないが、胸の内がモヤモヤしてな」
「もやもや……?」
聞き慣れない言葉が蒼馬の口から出てくる。胸の内がモヤモヤするとは、一体どういった感情だろう。私には分からなかった。
放課後。授業が終わり、筆記用具や教科書を鞄にしまう。今日も一日退屈な授業を受け終わった。
ずっと座っているというのは中々疲れる。体育のような授業の方がまだマシかもしれない。
そんなことを考えていると、教室の入り口から聞いたことのある声が聞こえてきた。
「景先輩、お疲れ様です! 迎えに来ました。一緒に帰りましょう」
声の主は昨日会ったばかりの白川つづみさんだった。授業が終わって、二年生のクラスまで来たみたいだ。
「今日は茶室の見学だろう。忘れたの?」
「ええー、そんなのどうでもいいですよ。別に興味ないですし」
ストレートにそんなことを言われると少し悲しくなる。彼女と楽しく部活をすることはできるだろうか……自信がなくなってきた。
「入部するんだろう。行くぞ」
「景先輩がそう言うならー」
香山くんは鞄を持って席を立つと、私の机の前に来る。そして机に手を置いた。
「さあ部長、行こうか」
いつも通りの優しい笑みを浮かべた香山くんに、少し不安が紛れる。私も席を立つと、鞄を手にした。
「うん!」
三人で教室を出ると、まず鍵を取りに職員室へ向かった。鍵の場所をつづみさんに教えるためだ。しかし、彼女はあまり説明を聞きたくないようだ。
「そんなことはいいですから、すぐ茶室に案内してください。早く帰りたいので」
「つづみ、そんなに帰りたいなら今すぐ入部をやめて帰っていいぞ」
「え、嫌です! 私入部したいです」
「なら、しっかり部長の話を聞きな。でないと僕が追い出すよ」
「分かりました……部長、すみません」
再びつづみさんに頭を下げられる。この前もそうだが、彼女は香山くんに不思議なくらい従順だ。彼に何か弱みでも握られているのだろうか。
そういえば、そもそもつづみさんは香山くんの正体を知っているのだろうか? 幼馴染みと言っていたから知っている可能性は高いけど……。
「部長、どうしたの? そろそろ行こう」
「あ、うん! 行こう!」
鍵の説明をして、私たちは職員室を出た。茶室に着くと、上履きを脱いで中に入る。そして道具の説明をしようとした時だった。
「あ、私全部知ってるので大丈夫です」
興味がなさそうにそう言われる。
「え、もしかしてつづみさんも経験者なの!?」
「さん付けはやめてもらえます? つづみでいいですって!」
「えと、じゃあ、つづみも……」
「経験者ですよ。小さい頃に家族から習ってますし」
なんだか彼女も香山くんに似ている気がする。香山くんと同じようにすごいお家に住んでいそうだ。
「でも私、正直言って茶道には全く興味ありません。もちろん、部活動は真剣に行いますが、それだけは言っておきますね」
天使のような笑顔でそんなことを言われる。その笑顔に私は何も言い返せなかった。
「ところで、景先輩。どうして急に茶道部に入部したんですか? 先輩だって、別に茶道が好きなわけではないでしょう」
「え、そうなの?」
思わず香山くんを見上げる。彼と目が合った。彼は少し考えるようにしてから話し始めた。
「うん、嫌いってわけでもないけど」
「そう、なんだ」
なぜだかそう言われると落ち込む。茶道に興味がないなら、本当になぜ入部を決めたのだろう。ますます彼のことが分からなくなった。
「ただ、入部は必要なことだと判断した」
「?」
その言葉に、茶室内の空気がしんと静まる。香山くんの目はいつにもなく真剣だった。すると、つづみも同じように真剣な顔になる。そしてしばらく考え込んだ後、何かを察したように言った。
「つまり、先輩は宮坂先輩かもう一人の部員……村雲さんでしたっけ? 二人に何か起こると? どうしてそう思いになるんです?」
一体彼女は何の話をしているのだろう……? 私たちに何かが起こる? 前に香山くんが話していた睨んでいる妖怪と何か関係があるのだろうか。
「正確には宮坂さん、かな。彼女を見つめるあいつらの目がどうにも異常なんだ。僕があの時話しかけたのも悪いけど、彼女はあの日から見えるようになった」
「え、宮坂先輩が? それは……だから先輩は」
つづみが珍しく考え込んでしまう。私は二人の話に完全に置いてけぼりで、話に入ることは出来なかった。
「彼女には僕のことは教えたよ。だからお前も僕に協力してくれないか?」
香山くんがつづみにそう言う。すると、つづみは決心したように前を向く。その表情はいつもと違うように見えた。
「……分かりました。なら仕方ないですね」
そう言うと彼女は私の方を向く。その眼差しは真剣に私を見つめていた。
「私は白川つづみ。白川家は代々蛇五を名の由来とする妖の血を継ぐ、その末裔です」
「蛇五?」
聞き慣れない言葉と、一度に理解しがたい内容が耳に入ってくる。つまり、彼女も香山くんと同じような存在ということだろうか。そんなことを考えていると、彼女の制服の裾から突然青い蛇が姿を現した。
「キャー! 蛇!」
「この子は私の蛇です。古いご先祖様は赤い蛇も扱っていたようですが、今の私にはこの子を呼び出すことしかできません」
彼女がそう言うと、蛇は突然消えていった。彼女は再び話を続ける。
「景先輩の香山家に比べれば格は下がりますが、これでも由緒正しい妖怪の一族です」
「妖怪……」
「景先輩が宮坂先輩の周りを警戒しているということは、あなたの周りに何らかの由々しき問題があるのでしょう。だから私も協力します」
「え、あの……」
つづみに初めて自主的に頭を下げられる。話の内容が理解できず、戸惑う。
私に何らかの問題がある?やはり、何か悪いことが起きているのだろうか。話についていけず混乱していると、香山くんが私に声をかけた。
「大丈夫。とりあえず僕達二人は宮坂さんの味方だから、何も心配しなくていいよ」
「味方ですけど、ちゃんと本人にも危機感を持ってもらわないと困ります」
つづみを見ると、彼女はいつも通りに戻っていた。さっきとはまるで別人みたいだ。
「あの……要するに、私に原因があるってことだよね?」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。今はまだ分からないよ」
「先輩は甘いですよ。もっとちゃんと伝えないと」
「つづみ、宮坂さんが混乱してるのが分からないのか? 今日はもうこの話は終わりだ、帰るぞ」
「はーい」
不服そうにつづみは返事をした。
「宮坂さんも一緒に帰ろう」
「うん……」
何だか香山くんに初めて会った日から、刺激的な毎日だ。今日も驚きの事実を知った。まさか、つづみまで妖怪の一族だなんて。これまでの私だったら絶対に信じなかっただろう。
「言っておきますけど、宮坂先輩。景先輩は優しさであなたのそばにいるだけですからね!」
「は、はい……」
再び敬語になってしまった……。
そういえば、香山くんはどんな妖怪の一族なんだろう? 私は興味本位で聞いてみることにした。
「ねえ、香山くん。香山くんはどんな妖怪がご先祖様なの?」
その言葉に彼は一瞬凍りついたように固まったが、すぐにいつも通りの表情に戻った。
「それは、秘密かな」
「え、何で?」
「宮坂先輩! 景先輩は由緒正しい香山家の中でも、先祖返りと言われているすごい方なんですよ!? そんなに軽々しく……」
「つづみ、静かに」
香山くんはとっさにつづみの口を手で抑えた。聞いてはいけないことを聞いてしまっただろうか。しかし、香山くんを見ると、いつも通りの笑顔がそこにあった。
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