3 / 16
滞在
しおりを挟む
叔父さまの家に滞在してから、私は課題の絵の作製に取り掛かった。
絵を描いて昼寝をして絵を描いてという自堕落的な毎日が続いた。
いつも通り昼から惰眠を私はむさぼっていた。
「さやか、夕ご飯ができましたよ」と肩を揺すられて起こされた頃にはすっかり暗くなっていた。
キッチンで黙って食事をする。
カントリー風のキッチンと大きな白いテーブルは家庭的なテイストだった。向かいに座っている叔父さまはきちんとナイフとフォークを使って食事をしている。
食事のマナーから品の良さが伺える。目の前にあるサラダをじっと私は見つめる。ニース風サラダ。オリーブの実を口に含む。甘い香りと苦いような酸っぱさが口いっぱいに広がる。
美味しくない。寝すぎではっきりしない頭でひたすら口にサラダを突っ込む。
叔父さまが話しだした。
「私がなぜ離婚したか聞きたくありませんか?」
「別に」
そう答えたのに関わらず叔父さまは一人で話を始めた。
離縁されたのは叔父さまのせいだということ。
「実は私、不妊症なんですよ」
私は思わず食べてるものを噴(ふ)き出しそうになった。
年上の妻との間に子供はできなかった。
病院で検査してもらった結果、原因は叔父さまだった。
手切れ金を積まれ、離婚届に判を押した。なんだか変な話だと思ったが、そういえば叔父さまは社長令嬢と結婚したんだけ。
叔父さまの結婚式の日、私は中1だったと思う。都内の一流ホテルでの結婚式だった。
和服の似合う叔父さまは輝いて見えた。それに比べ新婦は性格のきつそうな三十過ぎのおばさんだった。
叔父さまは離婚の原因は無精子症だと信じている。
が、私の思うところ、もっと別のことが問題がったような気がする。性格の不一致とか、趣味に興じて仕事をしなかったこととか、道徳心が欠けてることとか、ちょっと妙なとことか。
子供の授からないのも、きっと神様のはからいだ。
「さやかがきてくれて嬉しかった。独りで寂しかったから」
叔父さまは私の手を握ると自分の頬に持っていった。
恋人みたいじゃないか。やめて欲しいな。
でも可哀相な人だと思った。
寂しいんだろうな。
一方的に離縁されて、こんな人里離れたところに一人住んでいるなんて。
絵を描いて昼寝をして絵を描いてという自堕落的な毎日が続いた。
いつも通り昼から惰眠を私はむさぼっていた。
「さやか、夕ご飯ができましたよ」と肩を揺すられて起こされた頃にはすっかり暗くなっていた。
キッチンで黙って食事をする。
カントリー風のキッチンと大きな白いテーブルは家庭的なテイストだった。向かいに座っている叔父さまはきちんとナイフとフォークを使って食事をしている。
食事のマナーから品の良さが伺える。目の前にあるサラダをじっと私は見つめる。ニース風サラダ。オリーブの実を口に含む。甘い香りと苦いような酸っぱさが口いっぱいに広がる。
美味しくない。寝すぎではっきりしない頭でひたすら口にサラダを突っ込む。
叔父さまが話しだした。
「私がなぜ離婚したか聞きたくありませんか?」
「別に」
そう答えたのに関わらず叔父さまは一人で話を始めた。
離縁されたのは叔父さまのせいだということ。
「実は私、不妊症なんですよ」
私は思わず食べてるものを噴(ふ)き出しそうになった。
年上の妻との間に子供はできなかった。
病院で検査してもらった結果、原因は叔父さまだった。
手切れ金を積まれ、離婚届に判を押した。なんだか変な話だと思ったが、そういえば叔父さまは社長令嬢と結婚したんだけ。
叔父さまの結婚式の日、私は中1だったと思う。都内の一流ホテルでの結婚式だった。
和服の似合う叔父さまは輝いて見えた。それに比べ新婦は性格のきつそうな三十過ぎのおばさんだった。
叔父さまは離婚の原因は無精子症だと信じている。
が、私の思うところ、もっと別のことが問題がったような気がする。性格の不一致とか、趣味に興じて仕事をしなかったこととか、道徳心が欠けてることとか、ちょっと妙なとことか。
子供の授からないのも、きっと神様のはからいだ。
「さやかがきてくれて嬉しかった。独りで寂しかったから」
叔父さまは私の手を握ると自分の頬に持っていった。
恋人みたいじゃないか。やめて欲しいな。
でも可哀相な人だと思った。
寂しいんだろうな。
一方的に離縁されて、こんな人里離れたところに一人住んでいるなんて。
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?
さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。
私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。
見た目は、まあ正直、好みなんだけど……
「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」
そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。
「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」
はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。
こんなんじゃ絶対にフラれる!
仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの!
実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。
ねんごろ
恋愛
主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。
その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……
毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。
※他サイトで連載していた作品です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる