ボッチ時空を越えて

東城

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待ち合わせ

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 待ち合わせ場所の公園に二十分も早く着いちゃったよ。

 会うなら、カフェとか駅の改札とかメジャーなとこにすればいいのに、なんで公園の滑り台? 知人に見られたくないとか落ち着いた場所がいいとか理由があるのだろうけど。

 第一印象と身だしなみは大切だからトイレの鏡でチェックすることにした。

 薄暗い寒々しい男子トイレに入る。小便器の隅にゴミや枯葉がたまり、青いラミネートの床は薄汚れていた。

 ジージーと音を立てている蛍光灯に照らされた鏡の前に立ち、髪と顔のチェックをする。

 僕は、佐藤というありふれた苗字のとおり大学二年生フツメン男子。

 髪ぐらいは、イケメン風にと思い切って最近流行のツーブロックにしてみた。でも、癖毛でわんこ系の顔の僕には似合わなくて、トリミングを失敗したトイプードルみたいな残念な結果となった。

 背後の個室から怪しいうめき声が聞こえた。
 「うっ、うううっ。は、はっ」
 
 何? 急病で死にそうとか、高齢者が脳梗塞で倒れてるとかじゃないよね。緊急事態だったらどうしようとドキドキしながらノックする。
 「大丈夫ですか?」

 個室のドアの向こうから男たちの荒い息遣いが聞こえてきた。
 「ハアハアハアハア」

 あっ、察し、ここはハッテントイレだ。

 そそくさとトイレから逃げ出すと、入れ替わるかのように落ち葉が出入り口に舞い込んでいった。

 少子化で公園で遊ぶ子供たちも少ないかもしれないが、だからって公園を大人のプレイの場にするのはいかがなものかと思うよ。

 知らない人と会ってその場ですぐに行為に及ぶっていうのはハードすぎて、コミュ障でチキンの僕には無理だ。

 ガチムチの筋肉質の男性よりも可愛い系男子が僕の好み。恋愛感覚でお付き合いしてラブラブえっちがいい。
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