生活指導 ~ 夏休み編 ~

東城

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夕日

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あの後、ビニール紐やら飛び散った精液の片づけをして、先生を送って、家族が帰ってきて、冷しゃぶとうどんを食べて、テレビ見て、風呂に入って、寝ることにした。
昼間あったことを思い出して、ベッドに仰向けに寝て天井を見てぼーっとしていた。
相変わらずの暑苦しい夜だったが、三回も抜かれたので、性欲もすっかり抜け落ちて、僕の心はすっきりしていた。
先生との初エッチは、変だったけど、まー気持ちよかったから、ヨシとする。

それにしても、すごいこと沢山してしまった。
あの後、部屋を片付けてから、先生を途中まで送っていったんだ。

玄関で靴を履いている先生の横に座って、僕もスニーカーを履く。

「先生、途中まで送っていきますよ」

けだるい夕暮れの中、住宅街を先生と歩く。

なんとなく寄り添って歩くだけでも、楽しくて。

不登校だった中3の一学期、夕方、先生が僕の家を訪ねてくれて、家に篭っているのも良くないから、一緒に散歩してくれたんだ。

あの時と似てるね。

「なんでも、すぐに先生に相談して」
毎日、そう言ってくれた先生。
なんて言えばいいのか分からなくて。
どうして学校にいけなくなったのか、自分でもよくわからなくて。
イジメとか授業についていけないとか明確な理由があってのことではなく、ある日、突然、朝、学校に行けなくなった。いってきまーすと玄関で靴を履こうとすると、ズーンと無気力に襲われて、「学校、無理」って。

自分でもなぜがさっぱり分からなかった。
あえて言えば、なんだか疲れちゃったんだ。

「きちんと高校に行けてる?」
先生は、中学生の不登校改善散歩と同じ口調で僕に尋ねた。
「大丈夫です。1学期は皆勤賞でしたよ」
「それなら、安心した」

黙って二人して歩いていると、先生が僕の右手を握った。
「今日されたこと、いやじゃなかった?」
「びっくりしたけど……結構、コーフンしました」
縛られたり、お仕置きされたりしたけど、そんなに痛くなかったし、むしろスパイシーで興奮したのが正直な感想。
そう言えば、ドラッグストアの袋、僕の部屋におきっぱなしだ。
親が帰ってくる前にどこかに隠しておかなければ。
先生は手を僕から離した。
「送るのは、ここまででいいよ」
「それじゃね、先生」


先生は、一息おいて僕の目を見つめ、確認するように尋ねた。
「先生は変態だけど、それでもいいの?」
「なにが普通で、なにが変態なんて、カテゴリーに固めないでください。性癖なんて、人それぞれだしね」
にっこりと僕は笑った。男が男を好きになるのも、僕からしたら普通だよ。
「ウシオは、相変わらずやさしいね」
僕は照れた。僕は、先生が大好きだから、先生には特別やさしいんだよ。

「明日の夕方、うちに来れる?」先生は、少しうれしそうな口調で聞いた。
「行きます!!」
「じゃあ、待ってるから」
先生の姿が見えなくなるまで僕は交差点の前に立って、ずっと手を振っていた。

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