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スペルビア•イノケンスの過去

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スペルビアの視点

私は草むらが生い茂った、村の外れにいた。

マギにレニスの事は、子供達にイタズラしたら、許さないと、釘を刺したことをマギに伝えた。


「あの…ありがとう! 手伝ってくれて。」
マギがそのお礼を言った。

「別に良いわよ、当然のことをしただけ。お礼言われるほどのことじゃない。」

「いやいや、当然のことじゃないよ、君は人の為に行動したんだから、お礼言われるのは、当然だよ。」
美しい金髪の彼の髪が風でなびく。彼の短髪だけど、くせ毛が私は…好きだ。

「ぷぷ、当然で返したわね。」

「はは、そうだよ。」

私の目を釘付けにした。マギの端正な顔立ちの微笑みが、私の心を揺さぶる。

あどけない子供の表情と、大人の様な全てを包んでくれそうな…そんな矛盾したものを含んでいた。

その笑顔反則でしょ…もう。私はその微笑に感動と、そのチートな笑顔に呆れて私の頬が緩む。

私とマギが笑っていると、1人の男の子が近づいてきた。この前レニスに意地悪するなと注意した男の子だった。

「お前! 族長の娘だから調子のってんなよ!」


そう言って男の子が私の首にかけていたペンダントを奪って、草むらの方に思いっきり投げた。

「なにすんのよ!」
私は大声をあげて男の子を非難した。

「うるせー。知らねえし」

「パパに言いつけてやる。私の大事なペンダントが…むかつく!」

「べーだ!」

…とりあえずあいつのことは後で親に叱って貰お。ペンダント探さないと。

「俺も探すの手伝うよ。」

「あっそう。どっちでもいいけど。」
 
…ありがとう。本当はめっちゃくちゃ嬉しい。けど素直に言えない…ばかばか、私は…ひねくれてる。

それから1時間は探したろうか。

全然見つからない…心が折れそう。

3時間経ち、空が真っ暗になってきた。

「マギ…もう良いよ。諦めよう。」

明日また探すけど、マギにここまでしてもらう必要はない。


「大事な物なんだろ? 先帰ってて、俺もう少し探してるよ。」

「あのペンダントは…うん、大事な物。
形見なんだ。」

「形見? 誰の…なの? 聞いて良いかわからないけど。」

「友達の…すぐに死んじゃてさ。」

「エルフ? 人間の? エルフなら不老なはずだけど。」

「エルフよ。」

とても良い友達。私と好みが一緒で、良く出かけていた。まるで本当の姉妹の様だった。

お菓子作りで口に付けたクリームで、お互い笑い合ったり、私が忘れ物をすると、彼女が貸してくれたり。
水遊びをした時は、ずっと友達と誓い合って、どっちが姉か妹になるか、話し合ったりもした。

「その友達ね、召喚魔法の実験の事故で、亡くなったんだ。私を庇ってね。」

私が守れなかったから、友達は私が強ければ死なずにすんだ。

弱いのは罪なの。それから私は弱い者の味方になった。

強くなりたい…ひたすらに…そうすれば、友達を守れた。守って貰うのは嫌だ。

「そうだったんだ…ごめん嫌な事思い出させちゃって。」

「ほんとよ。嫌な事思い出させるわね。だからそのペンダント…大事なの。
それにしても油断したわ。」

悔しいわね。それから更に3時間は経った。まだマギは探してる…なんて…優しいんだろう。

私は今疲れて、地べたに座ってる。
彼がかっこよく見えた。胸がドキドキしてくる…ぐすっ…もう…止めなきゃ…マギが倒れちゃう。

「あった! 見つけた。」
マギが手に紐を握り、ペンダントを私に見せた。

「ばかー!」

「ええっ? なんで?」

困惑した顔をして彼が言う。このどんかん。私は心の中で彼に言った。

私は…それから彼のことが気になった。大事な友達…絶対にもう失いたくない… 

私はそれから魔法の勉強を頑張り、一層磨きがかかった。それは、友達を守れなかった後悔…今度こそは、マギを守りたい。


マギの為なら、私こんなに頑張れるんだよ?
でもこれって恋…なのだろうか?

でも…素直になれない…彼には冷たく当たっちゃう。どうして? 自分に私はいつも問いかけている。


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