【完結】いつもあなたのそばに……世話好き公爵に王女様は癒されて。

(25・最終回)

　国民たちはエレナの訴えを聞いて、一旦静まったが、地鳴りのような大きな拍手が沸き起こった。

「王女様！　どうぞ、好きな方と幸せになってください！」

「王女様！　いつもがんばっているお姿を知っていますから！」

「王女様、応援しています！　困ったら、お助けします！」

　そして、彼女の恋路を応援するとの声が上がった。

「王女様、おめでとう！」

「お幸せに、王女様！」

「好きな方は放しちゃダメですよ！」

「がんばれ、王女様！」

　それも一人二人の声ではなく、何百人もの声がである。

　これまでエレナ王女への政治に対する感謝と信頼感があったからこその、賜物だった。

　それを受けて彼女は目を潤ませてしまう。

「ありがとう……本当にありがとう……皆さん……優しいなあ……」

と感極まった様子で語り出す。

　国民からの支持の歓声の中、舞台袖にいたユリアンが唇を震わせ、感極まった表情で現れた。

　演台の中央で、エレナとユリアンは目が合う。

　ふたりの視線が交わる中、ユリアンは力強く歩みを進め、国民の歓声の中で彼女に歩み出た。

「エレナ王女、私も同じくらいあなたを愛しています！」

　とユリアンが叫んだ。

　彼はエレナに駆け寄り、彼女を抱きしめた。

　王国の国民は二人の愛を祝福していた。

　彼らの再会が国家の未来への希望となることを願ったのである。

　この一連の騒動は、王国の未来に希望を抱かせ、国民たちの結束を強める結果となった。


　☆☆☆☆☆


　それから数か月後……エレナ王女とヴァルト王子の結婚式が盛大に執り行われた。

「愛しているわ、ユリアン」

　エレナは彼に囁いた。

「私も愛しています」

　ユリアンも答える。

　そして二人は熱く深い口づけを交わしたのであった。

「……ユリアン……わたし、身ごもったみたい。あれが……遅れているの」

　エレナが恥ずかしそうに、ユリアンの耳元で囁いた。

「本当に……嬉しいよ、エレナ。僕たちのロイヤル・ベビーだね」

「うん。ユリアンとわたしの、愛の結晶ね！」

　エレナは幸せそうに頬笑んだ。

　ユリアンは、エレナのお腹をさすると、彼女を抱き寄せて口づけをしたのだった。


☆☆☆☆☆　おしまい　☆☆☆☆☆



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