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第2章 回収の救世主、あらわる?
第4話
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その頃、小学校近くの川辺で、ランドセルを背負ったふたりの生徒がいました。
五年三組のキヨミとスミエです。
登校前に、ビニール袋に缶とビンをつめています。
「もうそろそろ、おわりにしようよ」
スミエが、軍手でひたいの汗をぬぐいながらいいました。
「片づけしなきゃいけないし、授業もはじまるよ」
「わかってる」
それでも、キヨミは手をとめないのです。
かがんだまま、顔を上げずにせっせとチップスの空の袋を、ゴミ袋に入れています。
「まったく。キヨミはこりないんだから。また、遅刻してもしらないからね」
「分かってるわ。ありがとう、つきあってくれて」
キヨミっていう子、ずいぶん、ゴミ掃除に熱心な生徒です。
それは、空を飛んでいたロンパスもおなじ気持ちだったようです。
とつぜん、バサバサとふたりの前に急降下したんです。
黒い目でじろりと見ています。正直、小さな女の子だったら、こわいです。
「うわあ、なに、このカラス! こわいからにげよう」
スミエが、おどろいて、おもわず手をはなすと、土手へ向かって走っていきました。
ゴミ袋が草むらに落ちています。
キヨミも目を大きく見開いていましたが、自分のゴミ袋は両手でぎゅっとおさえています。
「カラスさん。わるいけど、お掃除のじゃまをしないで」
キヨミはぎゅっと唇をむすぶと、ゴミ袋をつかみあげました。
「カラスさん。もう、用がないなら、森のすみかに帰ってください」
キヨミが背をむけた時でした。
「川のついでに、これからうちのゴミ清掃もおねがいしたいんだけどな」
五年三組のキヨミとスミエです。
登校前に、ビニール袋に缶とビンをつめています。
「もうそろそろ、おわりにしようよ」
スミエが、軍手でひたいの汗をぬぐいながらいいました。
「片づけしなきゃいけないし、授業もはじまるよ」
「わかってる」
それでも、キヨミは手をとめないのです。
かがんだまま、顔を上げずにせっせとチップスの空の袋を、ゴミ袋に入れています。
「まったく。キヨミはこりないんだから。また、遅刻してもしらないからね」
「分かってるわ。ありがとう、つきあってくれて」
キヨミっていう子、ずいぶん、ゴミ掃除に熱心な生徒です。
それは、空を飛んでいたロンパスもおなじ気持ちだったようです。
とつぜん、バサバサとふたりの前に急降下したんです。
黒い目でじろりと見ています。正直、小さな女の子だったら、こわいです。
「うわあ、なに、このカラス! こわいからにげよう」
スミエが、おどろいて、おもわず手をはなすと、土手へ向かって走っていきました。
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キヨミはぎゅっと唇をむすぶと、ゴミ袋をつかみあげました。
「カラスさん。もう、用がないなら、森のすみかに帰ってください」
キヨミが背をむけた時でした。
「川のついでに、これからうちのゴミ清掃もおねがいしたいんだけどな」
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