上 下
19 / 19

(19)

しおりを挟む
 オカリナとブルームの疑いが晴れ、公務を終えた王様といっしょに無事帰国した。

「国王様、わたしたちの結婚を許してくださいませんか」 

 王宮の前に着いた時、ブルームは国王の前で跪き、頭を垂れた。

「よろしくお願いします!」
 
 オカリナも膝をつき、深々と一礼した。

「よかろう。これほど相愛であらば、王の特例で婚姻を認める」

「ありがとうございます!」

 ふたりは互いの顔を見つめ合い、ひしと抱き合った。


***


 王の祝福を受けて、ふたりは騎士団の宿舎近くの小さなチャペルで結婚式を挙げることにした。

 騎士団の仲間や友人たちからも祝福され、歓声や花びらが舞う。

 オカリナの両親は結婚は認めてくれたが、式には参加しなかったし、娘の持参金は用立てなかった。しかし、ふたりはどうでも良かった。

 住む場所は騎士団の宿舎で十分だし、ブルームの給金で普段の生活には困らない。


 ふたりは白いドレスとタキシードに身を包んで、教会に入った。

 神父の前で愛を誓って、指輪を交換した。

「花嫁にキスを」という神父の言葉に従って、ふたりは口吻を交わした。

 教会の扉を開けて、外に出た。

 外で待っていた人々から花びらが撒かれ、拍手や歓声をいっぱいに浴びた。

 結婚式の後、騎士団の宿舎にある広間に移り、披露宴を開いた。

 騎士団仲間や友人、親族など多くの人々と一緒に美味しい料理や飲み物、ケーキを楽しんだ。

 音楽やダンスや花火など、宿舎は夜が更けても大騒ぎだった。 

 新婦新郎の乾杯やスピーチをした後、ふたりは顔を見つめ合った。

「ずっと愛してたよ」と、ブルームは言って、唇を重ねた。

「わたしも。ずっと、ずっと愛してた。空飛ぶ鳥のように、わたしたちは自由よ」

「もう離さないから」

「分かってるわ、あなた!」

 オカリナはブルームに抱きついたまま、いつまでも離れようとしなかった。


***


 おしまい♪

 最後までお読みくださり、誠にありがとうございました(^^)
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...