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 エリーナは戸惑いました。どんな顔をしていいのかわからず、緊張してしまいます。

「急に来て、申し訳なかったね。でも、君に会いたかった」

「あ……はい」

 エリーナはまだ困惑していましたが、とりあえずこたえました。

(本当に二人きりなんだわ)

とエリーナは思いました。

 すると、ヴィクトールが言いました。

「おっ、それは何の本です?」

「ええと……これはファンタジーの小説です……」

「ファンタジーですか? それは面白そうですね。僕もファンタジーが好きなんですよ」

「そうなんですね……」

「うん。僕はファンタジーの世界に憧れています。魔法やドラゴンや妖精などが存在する世界に行ってみたいです」

「私も……そう思います」

 エリーナは小さく頷きました。

 ヴィクトールは彼女の本棚を見て、興味深そうに言いました。

「これらの本も全部ファンタジーですか? すごいですね。どれくらい読みました?」

「ええと……ほとんど全部」

「ほとんど全部ですか? それは凄いですね。エリーナさんは本当にファンタジーが好きなんですね。一番好きなのはどの本?」

「これ……かしら」

 エリーナは、書棚から一冊の本を手渡すと、恥ずかしそうに目を逸らしました。

 タイトルは「空飛ぶ島の冒険者」でした。

 レオは、空飛ぶ島を探検することが夢の少年です。彼は自分で空飛ぶ装置を発明し、空中に浮かぶ不思議な島々を訪れます。そこでは、魔法や怪物や秘宝が待ち受けています。レオは、空飛ぶ島の謎を解き明かすために、さまざまな冒険に挑みます。

「ぼくも夢中で読んだ本だ。素敵な本だよね」

 ヴィクトールは微笑しました。けなされたことはあっても、彼女の趣味を認めてくれたのは彼が初めてでした。
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