【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい

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「あの、ヴィクトール・ベルンシュタイン公爵様…!?」

 ヴィクトール・ベルンシュタイン公爵といえば、都で一番、羽振りがいい公爵として有名でした。

 彼は20歳で当主を継いでから、貿易で自分の船団や馬車隊を持ち、貴金属や宝石、香辛料や絹などの高級品を扱って、大きな利益を上げていました。

 そのお金を、劇場や美術館などの文化施設に寄付や出資を行っているのです。

 彼は有力者を集めたパーティーも頻繁に開かれていて、華やかな話題で持ちきりでした。

 パーティーには、王族や貴族、政治家や商人、芸術家や学者など、様々な分野の人々が招待されていました。

 彼らは華麗なドレスやスーツを着て、宝石や装飾品を身につけていました。彼らは美味しい料理や飲み物を楽しみながら、音楽やダンスや会話を楽しんでいました。

 パーティに出席した両親からそんな話を聞いていたので、エリーナは言葉が上ずってしまって、

「あの、公爵様……私は……」

と言葉に詰まりました。自分がフローラに踊りを習おうとしたのに断られたことを話すべきかどうか迷いました。

 彼は、彼女に笑顔で言いました。

「劇場でバレイでも見に来たのですか? まだ開演まで大分ありそうですよ」

「い、いえ。その…バレイ団の姉に会いに来たのです。踊りを教わろうと思ったのですが、忙しいみたいで……」

「それならちょうどいい。私のパーティに来て、踊りの練習をなさるのは? お相手は私でよければ、恥など欠かせませんよ」

 エリーナは、彼の言葉に心が揺れました。

「でも、公爵様……私は……」

 エリーナは言いました。

「私、私は公爵様に見合うような者では…ドレスもありませんし…」

「それは問題ないでしょう」

 ヴィクトールはきっぱりと言いました。

「一緒に来てほしい。パーティーを楽しみましょう。一緒にダンスをすれば、そんな気持ちも軽くなります」

 エリーナは、彼の言葉に心が揺さぶられました。

「公爵様……本当ですか? こんな私でも……」

「もちろんだよ。さあ、行こう。私たちの馬車が待っているよ」

 ヴィクトールはエリーナの手を握りました。
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