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「ミノワっちはね、いつもあたしの学校のイベントに来てくれるよ。運動会で応援してくれるし、学芸会の演技で泣いてくれたし。本当の親は来てくれないけどさ」
「あたしもだよ。ママ、仕事で忙しいもん」
「パパは?」
「いないよ」
「そっか」
あたしはハッとした。こんな話、学校でも話したことない。いつも、テキトウにごまかしている。だけど、パロパロちゃんには何でも話せそう。なんでだろ。きっと、パロパロちゃんには同じ空気を感じるんだ。かなしくてさびしくて。そんなマイナスの気持ちを、ぜんぶ分かってくれる何かがあるみたい。
「さてさて、注目!」
ミノワさんが、パンパンと手をたたきながら、立ち上がった。
「さて、おやつの前にうれしいお知らせです。今日から新しい仲間、ハクちゃんが加わります。ハクちゃん、ちょっと立てますか?」
あたしは、キョロキョロとあたり気にしながら、立ち上がった。子供たちが興味しんしんで、あたしの顔をのぞいている。
「よろしく」
蚊の泣くような声だった。あたしは、ただうつむきがちに頭をさげて、だまってすわった。最低のあいさつだ。
パチパチパチパチバチッ!
どこからでもなく、はくしゅがわきあがった。それから、
「ハクちゅん、よろしくー」「ハクって、なんか、かっけー」「あそぼうね」「あそぼうなー」そんな声が、四方八方から飛んできた。
あたしは、思いがけない反応に息をのんで、パロパロちゃんを見た。学校で、そんなふうにあたしを見てくれる仲間なんかいない。
パロパロちゃんが、片目をつぶってウインクしてみせた。あたしは笑いたかったけど、ほおがかたくて、やっぱりダメだった。
「あたしもだよ。ママ、仕事で忙しいもん」
「パパは?」
「いないよ」
「そっか」
あたしはハッとした。こんな話、学校でも話したことない。いつも、テキトウにごまかしている。だけど、パロパロちゃんには何でも話せそう。なんでだろ。きっと、パロパロちゃんには同じ空気を感じるんだ。かなしくてさびしくて。そんなマイナスの気持ちを、ぜんぶ分かってくれる何かがあるみたい。
「さてさて、注目!」
ミノワさんが、パンパンと手をたたきながら、立ち上がった。
「さて、おやつの前にうれしいお知らせです。今日から新しい仲間、ハクちゃんが加わります。ハクちゃん、ちょっと立てますか?」
あたしは、キョロキョロとあたり気にしながら、立ち上がった。子供たちが興味しんしんで、あたしの顔をのぞいている。
「よろしく」
蚊の泣くような声だった。あたしは、ただうつむきがちに頭をさげて、だまってすわった。最低のあいさつだ。
パチパチパチパチバチッ!
どこからでもなく、はくしゅがわきあがった。それから、
「ハクちゅん、よろしくー」「ハクって、なんか、かっけー」「あそぼうね」「あそぼうなー」そんな声が、四方八方から飛んできた。
あたしは、思いがけない反応に息をのんで、パロパロちゃんを見た。学校で、そんなふうにあたしを見てくれる仲間なんかいない。
パロパロちゃんが、片目をつぶってウインクしてみせた。あたしは笑いたかったけど、ほおがかたくて、やっぱりダメだった。
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