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(ああ、イヤだな)
決まって朝はそう思う。丸裸の木立がゆれている。後、一ヶ月くらいで春休みだけど、あんまり楽しいとも思わない。ふとんかぶって、ねぼけまなこでボッーとしていたい。いつまでも、ずっと。
あたしの部屋の天井には、パパが貼ってくれた壁紙がある。青地に白い飛行機がたくさんプリントされている。小学校に通い始めた頃、学校なんか行きたくないなんてダダをこねたあたしに、パパが買ってきてくれたんだ。
「あたし、青色イヤ。黄色がいい。それにイチゴのもようがよかった。なんか男の子っぽいよ」
ふてくされると、パパはちょっとはにかんで頭をかいた。
「だけどさ。朝起きたら、青空に飛んでいく気にならないかなって思ってさ」
それは正解だった。目覚めると飛行機があって、あたしはすぐ空を見たくなった。もしイチゴだったら、もっとベッドから出たくなかったはずだ。
小学一年の時、パパが転勤で札幌に行くことになった。羽田から一人で飛んでいくパパに、あたしは何も言えずに、半べそをかいてしまった。
そうしたら、パパはかがんで、
「ママのこと、しっかりたのむよ」
と言った。そして、あのビーズの腕輪をくれたんだ。
決まって朝はそう思う。丸裸の木立がゆれている。後、一ヶ月くらいで春休みだけど、あんまり楽しいとも思わない。ふとんかぶって、ねぼけまなこでボッーとしていたい。いつまでも、ずっと。
あたしの部屋の天井には、パパが貼ってくれた壁紙がある。青地に白い飛行機がたくさんプリントされている。小学校に通い始めた頃、学校なんか行きたくないなんてダダをこねたあたしに、パパが買ってきてくれたんだ。
「あたし、青色イヤ。黄色がいい。それにイチゴのもようがよかった。なんか男の子っぽいよ」
ふてくされると、パパはちょっとはにかんで頭をかいた。
「だけどさ。朝起きたら、青空に飛んでいく気にならないかなって思ってさ」
それは正解だった。目覚めると飛行機があって、あたしはすぐ空を見たくなった。もしイチゴだったら、もっとベッドから出たくなかったはずだ。
小学一年の時、パパが転勤で札幌に行くことになった。羽田から一人で飛んでいくパパに、あたしは何も言えずに、半べそをかいてしまった。
そうしたら、パパはかがんで、
「ママのこと、しっかりたのむよ」
と言った。そして、あのビーズの腕輪をくれたんだ。
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