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(ああ!綺麗な薔薇だわ!)

薔薇の庭園に入ると、セレスティナはその美しさに感嘆の声をあげた。

(お父様だったなら、成金根性でこの薔薇を全部買い占めちゃいそう……)

そんなセレスティナにサマンサが笑いかける。

「気に入ってくれたみたいね」

「ええ! とても素敵だわ」

「ふふ。良かったわ。さぁ、座りましょ」

令嬢達はそれぞれ好みの場所に移動すると、さっそくお茶会が始まる。

和やかに会話が進む中、セレスティナはエスタシア嬢に声をかける事にした。

「エスタシア様はアルフォード様と幼馴染だと聞いたのですが……」

(こんな事を聞くなんて……どうかしてるけど……)

アル様の事を知りたいのは事実だった。

セレスティナは失礼を承知で問いかけたのだ。

「ええ。アルとは小さい頃から兄妹みたいに育ってきたんですの」

(やっぱり……)

セレスティナは心の中で肩を落とした。

そんな彼女にエスタシアはニコニコと続ける。

「アルの事が気になるの?」

「えっと……その……婚約者ですから」

(こんな聞き方したらバレバレじゃない!)

セレスティナは顔を赤く染めながら俯く。

そんな彼女をエスタシア様は優しく見つめていた。

「実は、その……アルフォード様は私の事を本当にどう思ってらっしゃるのでしょうか……?」

(うう……恥ずかしい!)

つい弱気になってしまう自分に喝を入れつつ、アル様が私に向けてくれている気持ちを確かめようと決意を固めた。

「そうねぇ……アルはあなたをすごく気に入っていると思うわよ」

エスタシアはそう答えると、意味深にクスクスと笑ったのだった。

(気に入っている? どういう事?)

セレスティナが困惑していると、エスタシア嬢は少し考え込むような仕草を見せる。

「そもそもわたしはね……両家の取り決めで4歳で王太子殿下と婚約をしたの。だから、アルと私は恋人にはなれない運命だったの」

「は?」

(4歳で婚約!?)

「だから、あなたがうらやましいわ。もし殿下と婚約してなかったら……アルは私を選んだかもしれないし……」

エスタシアはそう言うと、少し切なそうに微笑んだ。

(えっ……)

「冗談よ。まあ、今のあなたを見ていると、あなたは愛くるしいし、そんなあなたをアルも大好きなんだと思うけどな」

エスタシアはそう言って笑った。

(エスタシア様は賢くて素敵な方だわ)

セレスティナがそう思って彼女を見つめていると、不意に彼女の表情が曇った。
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