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セレスティナの即答にアル様は一瞬驚いた顔を見せて……小さく笑う。

「嬉しい事を言ってくれるね……かなり期待してしまうよ?」

「え?」

(なんの期待?)

首を傾げるセレスティナにアル様は笑みを深める。

「セレスの婚約者が俺で良かったってさ?」

(!?)

驚くセレスティナにアル様は笑顔で続ける。

「嬉しいな、そう思ってもらえるなんて」

(ああ! もうっ!! 本当にどうしてこう攻める!?)

セレスティナは心の中で叫ぶのだった。




そして、アル様とセレスティナの婚約から早くも1年が経ってしまった。

「はぁ……」

セレスティナは一人ため息をついていた。

あれから私達は順調にお付き合いをしていると思う。だけど……

(相変わらずアル様は完璧! なんだけど、本当は何を考えている事が分からないのよね)

そんなセレスティナに、友人の子爵のご令嬢サマンサが家に遊びに来ていた。

「どうしたの? セレスティナ?」

「あ?」

(しまった! 顔に出てた!?)

慌てて顔を隠すセレスティナに、サマンサはクスクスと笑った。

「あなたが悩むなんて、どうせアルフォード様の事でしょ?」

(うぅ……言い返せない)

セレスティナが黙り込むと、サマンサはまたクスクスと笑った。

「アルフォード様は優しいものね」

「……ええ、本当にお優しい方よ」

「でもあなた、最近よくため息をついている事が多いわよね?」

サマンサはそう言うとセレスティナの目をじっと見る。

「悩みがあるのなら相談にのるわ。私でよければね」

(うっ……さすが社交界に詳しいご友人だわ。察しがいいなあ)

セレスティナは観念して最近の悩みを打ち明けたのだった。


─────── ───────


「なるほど……それで、ため息を」

セレスティナはコクリと頷いた。

そんな彼女にサマンサはなぜか嬉しそうに笑っている。

「ふふっ」

「…あの? サマンサ?」

(なんだろう……この笑顔。なんだか嫌な予感がするんだけど)

セレスティナの予感は的中した。

「噂だけど、彼には秘めた想い人がいるらしいわよ」

とサマンサは言い出したのだ。

「どういう事?」

「実は以前からアルフォード様と親密にしている令嬢がいるみたいよ?  その令嬢にご執心なんじゃないかって噂を聞いちゃったのよね。お相手は公爵家のご令嬢エスタシア・フォートナー嬢。王太子殿下のフェリクス王子とご婚約されているわ。けれど、アルフォード様と幼馴染だもの。諦めきれないみたいんじゃない?」

「ええ!?」

(アル様にそんな方がいたの!?)
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