とまどう気球

早稲 アカ

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 みんなの視線が、いっせいに小さなラーラにそそがれる。ラーラがとおざかろうとするのを、セルマが肩を押して前におしだした。

 お父さんはラーラを、ぎゅっとだきあげた。

「ずいぶん、おもくなったなあ」

 思わずラーラのほおが赤くなる。

 記者たちにかこまれて、ラーラははずかしくて顔をそむけた。でも、お父さんはうれしそうだ。

 記者や、近所の野次馬がいなくなると、セルマが、

「さようなら」

と、手をふって、向かいの橋をわたっていく。

 川辺が、すっかり夕やけで赤くそまっていた。

 ラーラとお父さんはセルマに手をふりながら、土手の階段をのぼった。

 家と家がいっぱいある路地を、くねくねとぬけていくと、その正面にこげ茶の、丸太の小屋が見えてくる。それが、ラーラの家だ。
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