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(勘違いってなに?)と思う間もなく、彼はフェリネットの手を掴んで引き寄せると耳元で囁いた。
「君が愛される運命にあることは変わらない!」
(は?)
ますます意味が分からなくなり混乱していると、マルクルは更に続ける。
「アネリス様への気持ちを正直にきみに告白したのはね……君に嫌われるとわかっていたけど、それは本気で君を愛するためだった。ぼくは君には正直でありたいと思っている」
「は、はあ……」
(全然、意味がわからないんだけど)
フェリネットが困惑していると、マルクルは更に顔を近づけてきた。
「ふふっ、君はとても綺麗だしね」
「な……何を言って……顔近っ……!」
いきなりの言葉に動揺して思わず離れようとすると、何故か強く抱きしめられてしまった。
そして耳元で囁かれる。
「女神の妹である君が、綺麗じゃないはずないだろ……」
その言葉を聞いた瞬間、全身に鳥肌が立ちゾクリとした感覚が襲ってきたのだ。
それは今まで感じたことのない感覚だった。
「ね、ねえ……あなた何を言って……」
「君の瞳が綺麗だって、知っているのは、誰よりも近くにいる夫の僕だけの特権だしさ」
「んんっ……」
動揺しながらも何とか逃れようとするが、彼は全く離してくれる様子はない。
それどころかますます強く抱きしめられてしまう。
(な、なんなのよ……)
恐怖を感じていると、彼はそっと頬に手を当ててきたのだ。
その手つきはとても優しく、まるで壊れ物を扱うかのように触れてきた。
その事にドキッと心臓が跳ね上がるような感覚に襲われていると、彼は真っ直ぐに目を見つめてきた。
その瞳は熱っぽく潤んでおり、こちらを見つめる視線は真剣そのもので、目を逸らすことが出来なかった。
そしてゆっくりと顔が近づいてくる。
(え……?)
驚いているうちに唇が触れ合った。
それはほんの一瞬の出来事だったが、フェリネットの心を乱すには十分すぎるものだった。
「ねえ……君の愛をぼくにくれないか? もっと優しくできるから」
そう言ってマルクルはもう一度口付けをした。
今度は触れるだけではなく舌を絡められたのだ。
その感触に驚いて離れようとしたが、しっかりと抱きしめられていて離れることが出来ない。
それどころかさらに口付けは深くなっていった。
(やだ……なんで、わたし、ドキドキしてるのよ?)
「君が愛される運命にあることは変わらない!」
(は?)
ますます意味が分からなくなり混乱していると、マルクルは更に続ける。
「アネリス様への気持ちを正直にきみに告白したのはね……君に嫌われるとわかっていたけど、それは本気で君を愛するためだった。ぼくは君には正直でありたいと思っている」
「は、はあ……」
(全然、意味がわからないんだけど)
フェリネットが困惑していると、マルクルは更に顔を近づけてきた。
「ふふっ、君はとても綺麗だしね」
「な……何を言って……顔近っ……!」
いきなりの言葉に動揺して思わず離れようとすると、何故か強く抱きしめられてしまった。
そして耳元で囁かれる。
「女神の妹である君が、綺麗じゃないはずないだろ……」
その言葉を聞いた瞬間、全身に鳥肌が立ちゾクリとした感覚が襲ってきたのだ。
それは今まで感じたことのない感覚だった。
「ね、ねえ……あなた何を言って……」
「君の瞳が綺麗だって、知っているのは、誰よりも近くにいる夫の僕だけの特権だしさ」
「んんっ……」
動揺しながらも何とか逃れようとするが、彼は全く離してくれる様子はない。
それどころかますます強く抱きしめられてしまう。
(な、なんなのよ……)
恐怖を感じていると、彼はそっと頬に手を当ててきたのだ。
その手つきはとても優しく、まるで壊れ物を扱うかのように触れてきた。
その事にドキッと心臓が跳ね上がるような感覚に襲われていると、彼は真っ直ぐに目を見つめてきた。
その瞳は熱っぽく潤んでおり、こちらを見つめる視線は真剣そのもので、目を逸らすことが出来なかった。
そしてゆっくりと顔が近づいてくる。
(え……?)
驚いているうちに唇が触れ合った。
それはほんの一瞬の出来事だったが、フェリネットの心を乱すには十分すぎるものだった。
「ねえ……君の愛をぼくにくれないか? もっと優しくできるから」
そう言ってマルクルはもう一度口付けをした。
今度は触れるだけではなく舌を絡められたのだ。
その感触に驚いて離れようとしたが、しっかりと抱きしめられていて離れることが出来ない。
それどころかさらに口付けは深くなっていった。
(やだ……なんで、わたし、ドキドキしてるのよ?)
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