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マルクルは部屋のドアを開けると、フェリネットをエスコートしてくれた。
しかし、彼の部屋を見た瞬間、フェリネットはまたも言葉を失うことになったのだ。
「……あなた」
「どうしたんだい?さあ中に入って座ってよ」
部屋には沢山のドレスやアクセサリーが所狭しと飾ってあった。
それだけでなく家具や小物までもピンクで統一されていて、部屋のあちこちには可愛らしいぬいぐるみやテディベアまで置いてあるのだ。
(う、うそでしょ……)
フェリネットは思わず眩暈がする。
いくらなんでもこれはやりすぎなのではないだろうかと、本気で引いてしまった。
「さあ、座ってくれよ」
ニコニコと微笑みながら椅子を引くマルクルに抗えずに座ってしまう。
すぐに紅茶が出てきてテーブルの上に置くと、彼は向かい側に座った。
しかし直ぐに手を伸ばしてくるので振り払うと、しょんぼりとした顔をした。
「どうしたんだい?夫婦なんだからいいじゃないか」
「嫌です!!そんな……」
その時、部屋の扉をノックする音が聞こえてきた。
フェリネットは慌てて扉まで駆け寄った。
そしてそのまま勢いよく扉を開けると、そこにはメイドが立っていた。
「どうなさいました?」と聞かれたので慌てて答える。
「な、なんでもないの!」
そう言って扉を閉めて鍵をかける。
いきなりそんな事をしてしまったせいでマルクルは少し不機嫌な顔になって、構わずに問い詰めてくる。
「フェリネット、どうしていきなり閉めたんだい?しかも鍵までかけて」
「そ、それは……。あなた、少し気持ち悪いわ。お姉さまのお部屋そっくりだし……こんなの異常よ!」
思わず思っていた事を口にしてしまいハッとなる。
しかしもう手遅れだったようで、マルクルは驚いた表情で固まっていた。
(やばい……!言い過ぎたかも……!)
「ご、ごめんなさい!わたくしったらつい……」
慌てて取り繕うように謝ったのだが……もう遅いだろう。
するとマルクルはフェリネットに詰め寄り、手を掴んできた。
「気持ち悪い……?それはぼくの事かい?」
「そ、そうよ!こんな部屋を見たら誰だってそう思うわよ!お姉さまのお部屋なんだから!!」
「違うよ、フェリネット……ぼくは君の事を思ってこんな事をしているんだよ」
「……え?」
いきなり真剣な目で見つめられて戸惑う。
だが次の言葉で一気に怒りが込み上げてきた。
「だって君はアネリス様の妹じゃないか!!女神様に愛されている妹なんだから、女神の部屋にぴったりなはずだよ。ここにいるだけで、君は素晴らしい存在になるんだ!!」
(……は?今、なんて言った?)
しかし、彼の部屋を見た瞬間、フェリネットはまたも言葉を失うことになったのだ。
「……あなた」
「どうしたんだい?さあ中に入って座ってよ」
部屋には沢山のドレスやアクセサリーが所狭しと飾ってあった。
それだけでなく家具や小物までもピンクで統一されていて、部屋のあちこちには可愛らしいぬいぐるみやテディベアまで置いてあるのだ。
(う、うそでしょ……)
フェリネットは思わず眩暈がする。
いくらなんでもこれはやりすぎなのではないだろうかと、本気で引いてしまった。
「さあ、座ってくれよ」
ニコニコと微笑みながら椅子を引くマルクルに抗えずに座ってしまう。
すぐに紅茶が出てきてテーブルの上に置くと、彼は向かい側に座った。
しかし直ぐに手を伸ばしてくるので振り払うと、しょんぼりとした顔をした。
「どうしたんだい?夫婦なんだからいいじゃないか」
「嫌です!!そんな……」
その時、部屋の扉をノックする音が聞こえてきた。
フェリネットは慌てて扉まで駆け寄った。
そしてそのまま勢いよく扉を開けると、そこにはメイドが立っていた。
「どうなさいました?」と聞かれたので慌てて答える。
「な、なんでもないの!」
そう言って扉を閉めて鍵をかける。
いきなりそんな事をしてしまったせいでマルクルは少し不機嫌な顔になって、構わずに問い詰めてくる。
「フェリネット、どうしていきなり閉めたんだい?しかも鍵までかけて」
「そ、それは……。あなた、少し気持ち悪いわ。お姉さまのお部屋そっくりだし……こんなの異常よ!」
思わず思っていた事を口にしてしまいハッとなる。
しかしもう手遅れだったようで、マルクルは驚いた表情で固まっていた。
(やばい……!言い過ぎたかも……!)
「ご、ごめんなさい!わたくしったらつい……」
慌てて取り繕うように謝ったのだが……もう遅いだろう。
するとマルクルはフェリネットに詰め寄り、手を掴んできた。
「気持ち悪い……?それはぼくの事かい?」
「そ、そうよ!こんな部屋を見たら誰だってそう思うわよ!お姉さまのお部屋なんだから!!」
「違うよ、フェリネット……ぼくは君の事を思ってこんな事をしているんだよ」
「……え?」
いきなり真剣な目で見つめられて戸惑う。
だが次の言葉で一気に怒りが込み上げてきた。
「だって君はアネリス様の妹じゃないか!!女神様に愛されている妹なんだから、女神の部屋にぴったりなはずだよ。ここにいるだけで、君は素晴らしい存在になるんだ!!」
(……は?今、なんて言った?)
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