ミヨの、大好きなおなかのお友だち

6

　さっそく次の日から、ママは通うことになりました。学校から帰ってもママは留守なので、ミヨはプヨっちょに会えなくてさびしくなりました。

　夕方の五時すぎ、ママは買い物袋をさげてもどってきました。袋には、野菜ばかりが顔を出しています。足はヘロヘロで、顔はちょっと青ざめています。

「あー、つかれた」

　ママはどっかり、テーブルのイスにこしかけました。

「トレーニングマシンで、大汗かいちゃった。めげちゃいそうだったけど、インストラクターのイケメン・スマイルで元気でた！」

　イケメン・スマイルって、やっぱり。ミヨは口のはしをぎゅっと閉じました。ざんねんですが、若くてハンサムのお兄さんだったのです。

「トレーニングだけでなく、食事も野菜中心にするように」と、カッコいいだけでなく、指導もていねいだったと、ママは言いました。

「さあ、夕飯にしようね。お肉は減っちゃうけど、がまんしてね」

　ママは立ち上がりました。

「ねえ、プヨっちょとお話したいな」

　ママは、タンクトップからお腹をおさえながら、口をすぼめました。

「ごめん。それは、ダイエットがおわるまで、おあずけ。プヨっちょも、つかれてるし」

　台所に立ったママのエプロンの結び目を、ミヨは見つめました。それから、やせっぽちの自分のお腹を指先でつまんでみました。

　ママの気持ちは、ミヨにはすごくわかります。脂肪のプヨっちょと友だちのままだったら、やせるのがつらくなります。

　だけどやせっぽちの自分のお腹じゃ、物足りません。やっぱりプヨっちょには、かなわないのです。

「ふう」

　ミヨは大きくためいきをついて、うつむいてしまいました。