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「なら、パパは里穂を信じてついていくだけだね」

 わたしは、パパを見上げた。ほほの肉がないパパの顔が、ほっこりしていた。

「でも、やっぱり心配よ。中学生なんだから。高校生のお姉ちゃんといっしょならまだしも」

 コーヒーを入れると、ママが心配そうにパパの隣に座った。

「家族旅行は、全部お姉ちゃんが仕切ってきてくれたし。安心できるから」

 言いかけたママの肩に、パパの手が伸びた。

「いいじゃないの。里穂だって考えたんだ。それにパパだって大人だよ」

 ママは、ふうとため息をついた。

「その前に、せめて病院で注射を打ってからにしてください」

 近所の診療所から戻ったパパと、わたしは荷物をいっしょに詰めた。ちゃんと痛み止めの錠剤も忘れていないか確認した。転ぶと心配なので、杖はかかせない。玄関先に立ったのは、十時を過ぎていた。

「気をつけて」

 玄関先のママの肩が、心配そうに揺れている。

「ちょっと、待ちなさいよ」

 バタバタと姉ちゃんが階段を降りてきた。

「里穂。何かあったら、すぐわたしに連絡しなさいよ。ペンションの人もいるんだし、一人で全部やろうとなんか、ぜったいに考えないこと。いい?」
「ありがとう」

 わたしはペコリと頭を下げて外に出た。
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