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第二章
第45話 同級生にプレーについて文句を言われた
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翌日、晴弘は部活に姿を見せていた。
巧や香奈と目が合うと、気まずそうに目を逸らした。
とりあえず、もう何か仕掛けてくることはなさそうだ、と巧は安堵した。
なんで謝りにすら来れないんですか、と憤慨している香奈は、思春期だから仕方ない面もあると思うよ、と宥めておいた。
彼女はうなずいたが、とても不満そうな顔をしていた。
巧が二軍に昇格した日——三日前——にキャプテンの二瓶から教えられていた通り、その日は軽い練習メニューを済ませると、紅白戦が行われた。
偶然か必然か、巧は二瓶や晴弘と同じAチームだった。
Bチームとの一発目の試合の前半は〇対〇で終えた。
巧はチームの足を引っ張らないように周囲と連動して守備を頑張りつつ、攻撃では味方の癖を観察することに集中した。
「先輩、お疲れ様です!」
「ありがとう、白雪さん」
香奈が巧にドリンクを渡してくれた。
お礼に対してニコッと笑うと、彼女は他の部員にもドリンクを配って行った。
「おい、巧」
「何? 小太郎」
同じ二年生の山田小太郎は、明らかに不機嫌そうな表情を浮かべていた。
「お前、どういうつもりだ?」
「何が?」
「何がじゃねえっ、お前のパスがズレたせいで二回も速攻のチャンスを失ったじゃねーか!」
巧は、小太郎がどの場面のことを言っているのかすぐにわかった。
「あれはズレたんじゃなくてズラしたんだよ。そのまま速攻を仕掛けても多分無理だったから」
「何……? ミスを正当化するつもりか⁉︎」
「違うよ。思い出して。あのときは——」
「晴弘がサイドに張っていて、雄太がマークについてた。身長でも勝っている。もし晴弘がボールを収められれば一気にチャンスになった。それだけのことだろう」
小太郎が鼻を鳴らした。
「そう。けど、相手のセンターバックの柏木先輩がすぐにヘルプに来れるように準備していたし、晴弘の周囲にチームメイトはいなかったから、競り負けたら確実に相手ボールになってたよ」
巧は、実際に選手のポジションを地面に書いて説明した。
「て、適当に言ってるんじゃないのか⁉︎」
「——いや、合ってますよ」
巧を真っ先に援護したのは晴弘だった。
「な、何っ?」
「その二つの場面ではたしかに巧さんの言う通り、柏木先輩がこっちを警戒していたし、俺のサポートもありませんでした。多分、あのタイミングでもらっても厳しかったと思います」
(……へぇ)
巧は意外に思った。
晴弘が巧の援護射撃をしたことではない。自分がボールを受けても難しかったという現実を受け止めたことだ。
「話はまとまったな。お互いの意見をぶつけ合うのは構わへん。小太郎も巧も晴弘も、相手の判断が間違っていると思えばどんどん言ったらええ。もちろん他のやつもやぞ?」
二瓶の言葉に、固唾を呑んで見守っていたチームメイトたちが「はい!」「うす」と次々に返事をした。
(うまいなぁ、最後に僕ら以外に振ることで、僕らに話を続けさせる余地をなくした)
巧はさすがはキャプテンだと感心した。
同時に、二瓶も巧に感心していた。
(上がってきたばっかで、技術や身体能力では他に劣る中、あそこまではっきりと自分の意見を伝えられるっちゅーのは大したもんやな)
しかし同時に、彼は不満を抱いてもいた。
(前半も悪くなかった。けど、あれじゃ二軍ではスタメンで出れん。川畑監督や三葉が口を揃えてお前のことを褒めたんや。もっとできるやろ、巧。前半であらかたの情報収集は終わったはずや。後半、真価を見せてみろ)
二瓶は巧を見た。巧はこくりとうなずいた。
一切を口に出してはいなかったが、まるで「任せてください」と言っているように、二瓶には見えた。
(なんや、これは——⁉︎)
後半、二瓶は驚愕を覚えっぱなしだった。
巧が何かを大きく変えているようには見えない。せいぜい前半よりも少し攻撃的になった程度だ。
しかし、彼がパス交換に絡むと、いつの間にか塞がれていたはずの味方へのパスコースが開通しているのだ。
しばらく観察していて、二瓶は気づいた。
巧が自身のちょっとした動きやフェイク、そしてメッセージ性のあるパスで敵味方双方を自身の望むように動かしていることに。
「そんなことが可能なんかっ……⁉︎ どこまで、何手先まで見えてんねん……!」
二瓶も、相手や味方の意図を読むことは得意だ。しかし、巧のそれはそもそもの次元が違った。
お前は巧の虜になるかもしれんな——。
巧のことを話しているときに、三葉がそう言っていた。
「……お前の言った通りになりそうやな、三葉」
二瓶はそうこぼしつつ、いつの間にか空いていた晴弘へのパスコースに鋭い縦パスを通した。
(ナイスパスです、キャプテン)
晴弘にボールが渡った瞬間、いや、その前から巧は動いていた。
晴弘がドリブルで一人かわす。
「晴弘!」
巧は寸分違わず足元に来たボールをダイレクトシュートするふりをして、晴弘の少し前にパスを出した。いわゆるワンツーをしたのだ。
巧のシュートフェイントに反応してしまった相手ディフェンダーとキーパーに、晴弘を止めることは不可能だった。
ボールがネットを揺らす。
「ナイッシュー、晴弘」
巧は一声かけて、彼から離れた。
「……ナイスパスです」
背後でポツリとつぶやかれたセリフに、巧はほんのわずかに口元を緩めた。
「……白雪、巧さん。ちょっといいですか」
練習が終わった後、巧と香奈は晴弘に声をかけられた。
「その……昨日と一昨日のことはすいませんでした」
「いいよ。今後は気をつけてね」
巧は謝罪を受け入れた。
(ぶっちゃけかなり頭に来てたけど、後輩の間違いを正すのも先輩の役目だからね。こうして謝ってきたなら、許してあげるべきだ)
「はい……白雪も、悪かった。俺は、自分のことしか考えてなかった」
「……謝るだけなら誰でもできるでしょ。これからの行動で示して」
「あぁ、わかった」
香奈の厳しい言葉にも、晴弘は素直にうなずいた。
これまでの周囲の環境が良くなかっただけで、もしかしたら根は悪いやつじゃないのかもしれないな、と巧は思った。
◇ ◇ ◇
最後にもう一度謝罪をしてから、晴弘は巧と香奈の元を立ち去った。
昨日、自分の目の前で繰り広げられたほんの数分間のやり取りを見て、そしてこれまでの彼らの交流している様子を振り返って、彼は気づいてしまったのだ。
巧が香奈に付きまとっているというのが、単なる自分の思い込みに過ぎなかったことに。
そして彼らに言われた通り、自分はただこうあって欲しいという理想のみを追い、現実から目を背けていたことに。
もちろん、最初から現実を受け入れられたわけではなかった。
自室で暴れたりもした。
しかし、怒りというのはいつまでも続くものではない。
ふと冷静になった瞬間、晴弘は自分の過ちを受け入れることができた。
彼は思考の偏りが激しく衝動的な人間だが、根っこから捻じ曲がっているわけではない。
現実を受け入れられたなら、あとは感情の問題だけだった。
そして今日、紅白戦で巧のすごさを知った。
彼がプレーに関われば関わるほど、晴弘たちAチームの攻撃は活性化した。
巧の実力を認めたこと。それが最後のトリガーとなり、謝罪するにまで至ったのだ。
「よく考えれば、というよりよく考えなくても、白雪が巧さんに好意を抱いていたのは一目瞭然だったよな。部活中は特に肩入れしてるわけじゃないけど、明らかにあの人に対してだけ笑顔の種類違うし」
晴弘は過去の自分に呆れると同時に、思い込みの力は恐ろしいな、と恐怖も感じた。
「にしても、謝るだけなら誰にでもできる。行動で示せ……か。その通りだな」
というより、むしろよくそれだけで済ませてくれたよな、と晴弘は苦笑いを浮かべた。
◇ ◇ ◇
「謝るだけなら誰でもできる。行動で示して、か。香奈もなかなか手厳しいね」
晴弘の背中を見送りながら、巧は苦笑した。
「巧先輩が甘すぎるんですよ」
「まあ、後輩だしね」
「本当に後輩には甘いですよね、先輩は」
香奈が呆れたように言った。
「ご不満なら、香奈にはもっと厳しくするけど?」
「無料お試し期間とかあります?」
「サブスクか」
「えっ、スク水?」
「それは無理あるでしょ」
「うん、ちょっと思いました」
香奈がポリポリと頬を掻き、照れたように笑った。
「じゃあ、帰ろっか」
「ですね」
二人は当然のように連れ立って帰った。
そして香奈はシャワーを浴びた後、これまた当然のように巧の家に突撃した。
巧や香奈と目が合うと、気まずそうに目を逸らした。
とりあえず、もう何か仕掛けてくることはなさそうだ、と巧は安堵した。
なんで謝りにすら来れないんですか、と憤慨している香奈は、思春期だから仕方ない面もあると思うよ、と宥めておいた。
彼女はうなずいたが、とても不満そうな顔をしていた。
巧が二軍に昇格した日——三日前——にキャプテンの二瓶から教えられていた通り、その日は軽い練習メニューを済ませると、紅白戦が行われた。
偶然か必然か、巧は二瓶や晴弘と同じAチームだった。
Bチームとの一発目の試合の前半は〇対〇で終えた。
巧はチームの足を引っ張らないように周囲と連動して守備を頑張りつつ、攻撃では味方の癖を観察することに集中した。
「先輩、お疲れ様です!」
「ありがとう、白雪さん」
香奈が巧にドリンクを渡してくれた。
お礼に対してニコッと笑うと、彼女は他の部員にもドリンクを配って行った。
「おい、巧」
「何? 小太郎」
同じ二年生の山田小太郎は、明らかに不機嫌そうな表情を浮かべていた。
「お前、どういうつもりだ?」
「何が?」
「何がじゃねえっ、お前のパスがズレたせいで二回も速攻のチャンスを失ったじゃねーか!」
巧は、小太郎がどの場面のことを言っているのかすぐにわかった。
「あれはズレたんじゃなくてズラしたんだよ。そのまま速攻を仕掛けても多分無理だったから」
「何……? ミスを正当化するつもりか⁉︎」
「違うよ。思い出して。あのときは——」
「晴弘がサイドに張っていて、雄太がマークについてた。身長でも勝っている。もし晴弘がボールを収められれば一気にチャンスになった。それだけのことだろう」
小太郎が鼻を鳴らした。
「そう。けど、相手のセンターバックの柏木先輩がすぐにヘルプに来れるように準備していたし、晴弘の周囲にチームメイトはいなかったから、競り負けたら確実に相手ボールになってたよ」
巧は、実際に選手のポジションを地面に書いて説明した。
「て、適当に言ってるんじゃないのか⁉︎」
「——いや、合ってますよ」
巧を真っ先に援護したのは晴弘だった。
「な、何っ?」
「その二つの場面ではたしかに巧さんの言う通り、柏木先輩がこっちを警戒していたし、俺のサポートもありませんでした。多分、あのタイミングでもらっても厳しかったと思います」
(……へぇ)
巧は意外に思った。
晴弘が巧の援護射撃をしたことではない。自分がボールを受けても難しかったという現実を受け止めたことだ。
「話はまとまったな。お互いの意見をぶつけ合うのは構わへん。小太郎も巧も晴弘も、相手の判断が間違っていると思えばどんどん言ったらええ。もちろん他のやつもやぞ?」
二瓶の言葉に、固唾を呑んで見守っていたチームメイトたちが「はい!」「うす」と次々に返事をした。
(うまいなぁ、最後に僕ら以外に振ることで、僕らに話を続けさせる余地をなくした)
巧はさすがはキャプテンだと感心した。
同時に、二瓶も巧に感心していた。
(上がってきたばっかで、技術や身体能力では他に劣る中、あそこまではっきりと自分の意見を伝えられるっちゅーのは大したもんやな)
しかし同時に、彼は不満を抱いてもいた。
(前半も悪くなかった。けど、あれじゃ二軍ではスタメンで出れん。川畑監督や三葉が口を揃えてお前のことを褒めたんや。もっとできるやろ、巧。前半であらかたの情報収集は終わったはずや。後半、真価を見せてみろ)
二瓶は巧を見た。巧はこくりとうなずいた。
一切を口に出してはいなかったが、まるで「任せてください」と言っているように、二瓶には見えた。
(なんや、これは——⁉︎)
後半、二瓶は驚愕を覚えっぱなしだった。
巧が何かを大きく変えているようには見えない。せいぜい前半よりも少し攻撃的になった程度だ。
しかし、彼がパス交換に絡むと、いつの間にか塞がれていたはずの味方へのパスコースが開通しているのだ。
しばらく観察していて、二瓶は気づいた。
巧が自身のちょっとした動きやフェイク、そしてメッセージ性のあるパスで敵味方双方を自身の望むように動かしていることに。
「そんなことが可能なんかっ……⁉︎ どこまで、何手先まで見えてんねん……!」
二瓶も、相手や味方の意図を読むことは得意だ。しかし、巧のそれはそもそもの次元が違った。
お前は巧の虜になるかもしれんな——。
巧のことを話しているときに、三葉がそう言っていた。
「……お前の言った通りになりそうやな、三葉」
二瓶はそうこぼしつつ、いつの間にか空いていた晴弘へのパスコースに鋭い縦パスを通した。
(ナイスパスです、キャプテン)
晴弘にボールが渡った瞬間、いや、その前から巧は動いていた。
晴弘がドリブルで一人かわす。
「晴弘!」
巧は寸分違わず足元に来たボールをダイレクトシュートするふりをして、晴弘の少し前にパスを出した。いわゆるワンツーをしたのだ。
巧のシュートフェイントに反応してしまった相手ディフェンダーとキーパーに、晴弘を止めることは不可能だった。
ボールがネットを揺らす。
「ナイッシュー、晴弘」
巧は一声かけて、彼から離れた。
「……ナイスパスです」
背後でポツリとつぶやかれたセリフに、巧はほんのわずかに口元を緩めた。
「……白雪、巧さん。ちょっといいですか」
練習が終わった後、巧と香奈は晴弘に声をかけられた。
「その……昨日と一昨日のことはすいませんでした」
「いいよ。今後は気をつけてね」
巧は謝罪を受け入れた。
(ぶっちゃけかなり頭に来てたけど、後輩の間違いを正すのも先輩の役目だからね。こうして謝ってきたなら、許してあげるべきだ)
「はい……白雪も、悪かった。俺は、自分のことしか考えてなかった」
「……謝るだけなら誰でもできるでしょ。これからの行動で示して」
「あぁ、わかった」
香奈の厳しい言葉にも、晴弘は素直にうなずいた。
これまでの周囲の環境が良くなかっただけで、もしかしたら根は悪いやつじゃないのかもしれないな、と巧は思った。
◇ ◇ ◇
最後にもう一度謝罪をしてから、晴弘は巧と香奈の元を立ち去った。
昨日、自分の目の前で繰り広げられたほんの数分間のやり取りを見て、そしてこれまでの彼らの交流している様子を振り返って、彼は気づいてしまったのだ。
巧が香奈に付きまとっているというのが、単なる自分の思い込みに過ぎなかったことに。
そして彼らに言われた通り、自分はただこうあって欲しいという理想のみを追い、現実から目を背けていたことに。
もちろん、最初から現実を受け入れられたわけではなかった。
自室で暴れたりもした。
しかし、怒りというのはいつまでも続くものではない。
ふと冷静になった瞬間、晴弘は自分の過ちを受け入れることができた。
彼は思考の偏りが激しく衝動的な人間だが、根っこから捻じ曲がっているわけではない。
現実を受け入れられたなら、あとは感情の問題だけだった。
そして今日、紅白戦で巧のすごさを知った。
彼がプレーに関われば関わるほど、晴弘たちAチームの攻撃は活性化した。
巧の実力を認めたこと。それが最後のトリガーとなり、謝罪するにまで至ったのだ。
「よく考えれば、というよりよく考えなくても、白雪が巧さんに好意を抱いていたのは一目瞭然だったよな。部活中は特に肩入れしてるわけじゃないけど、明らかにあの人に対してだけ笑顔の種類違うし」
晴弘は過去の自分に呆れると同時に、思い込みの力は恐ろしいな、と恐怖も感じた。
「にしても、謝るだけなら誰にでもできる。行動で示せ……か。その通りだな」
というより、むしろよくそれだけで済ませてくれたよな、と晴弘は苦笑いを浮かべた。
◇ ◇ ◇
「謝るだけなら誰でもできる。行動で示して、か。香奈もなかなか手厳しいね」
晴弘の背中を見送りながら、巧は苦笑した。
「巧先輩が甘すぎるんですよ」
「まあ、後輩だしね」
「本当に後輩には甘いですよね、先輩は」
香奈が呆れたように言った。
「ご不満なら、香奈にはもっと厳しくするけど?」
「無料お試し期間とかあります?」
「サブスクか」
「えっ、スク水?」
「それは無理あるでしょ」
「うん、ちょっと思いました」
香奈がポリポリと頬を掻き、照れたように笑った。
「じゃあ、帰ろっか」
「ですね」
二人は当然のように連れ立って帰った。
そして香奈はシャワーを浴びた後、これまた当然のように巧の家に突撃した。
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20章──五州騒動・迷宮イベント
21章──VS戦乙女・就職活動
22章──休日開放・家族冒険
23章──千■万■・■■の主(予定)
タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。
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