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第一章~狼王族の国・ウォルヴァンシアへの移住~
異世界への引っ越し
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「幸希(ゆき)ちゃぁああああんっ!! 本当に行っちゃうの~!?」
「凛子(りんこ)さん、それはもう何度も確認した事でしょう? ほら、涙を拭いて。清々しい気持ちで幸希さんが旅立てるように、ね?」
自宅の玄関口で大粒の涙を流しながら、……私との別れを惜しんでくれている、ご近所のお二人。
幼い頃から本物のお姉さんのように良くしてくれていた凛子さんと、その旦那様。
これから海外に引っ越していく私と家族の為に駆け付けてくれたお二人に笑みを返す。
「お二人とも、ありがとうございます。ちょっと……、遠くまで行く事になっちゃいましたけど、落ち着いたら、手紙を書きますね」
「幸希ちゃん……」
「言葉や文化で色々と苦労するとは思いますが、頑張り屋の幸希さんなら、きっと大丈夫ですよ。けれど、もしも……、辛くなったら、いつでも連絡をくださいね?」
「はい。ありがとうございます。お二人も……、お元気で」
よくある、ただの引っ越し……。
携帯やネットといった文明の利器が発達しているこの世界では、たとえ離れていても、すぐに顔を見る事だって出来る世の中だ。
生まれ育った町を離れ、見ず知らずの国に、日本の外に出る事に不安を覚えていても、いずれは慣れる。そして、新しい自分の人生を、歩んで行く。
そう、……ただの、よくある引っ越しと、別れの場面。
けれど、目の前のお二人は知らない。私がこれから行く場所は。
「ん? 幸希さん、大丈夫ですか? 何だか具合が悪そうですが……、もしかして、また、体調が」
「あ、いえっ。そうじゃないんです。やっぱり、引っ越しの当日ともなると、私も……、寂しくなっちゃって……、ふふ、駄目ですね。子供みたいに、ホント……」
知らず、目の端に浮かび上がりかけていた涙を拭い、誤魔化すように笑ってみせる。
凛子さんの旦那様が言った「また」というのは、私が誕生日を迎えてから悩みの種とするようになった、――原因不明の体調不良に対しての心配。
二十歳の誕生日を迎えてから徐々に私を苦しめるようになった、頭痛、吐き気、めまい、などの、身体的な苦痛の連続。
それは所構わず私の身へと襲いかかり、どこの病院に行っても、原因はわからずじまい……。
結局、精神的なストレスなどが引き起こす症状のひとつかもしれないと言われるようになり、大学に通う事は出来ても、……勉強の方にはかなりの遅れが出るようになった。
こうなるまでは、同じ年頃の女の子達に比べて、少し童顔気味な自分の顔が小さな悩みのひとつだったのに、それどころの騒ぎではなくなってしまって……。
「でも、吃驚したわよね~。まさか、幸希ちゃんの病気を治す為に、パパさんが海外への移住を決意するなんて……。普通は一時的に向こうへ行くとかじゃないのかしら」
「まぁまぁ。向こうに腰を据えて治療を受ける方が、何かと都合が良いんですよ~、きっと」
首を傾げる凛子さんの疑問は御尤も。
家族丸ごと海外移住なんて、誰が聞いても驚くはずだ。
けれど……、私の身体に起こっている厄介な症状を治す為には、絶対に必要な事で……。
(はぁ……、本当は、――異世界に移住するんです! な~んて……、言えない、あまりに現実味が無さ過ぎてっ!!)
思わず、ひくりと私の口の端が気まずげに歪んだ事には気付かず、凛子さんは持っていた見送りの品を手渡してくれた。
そして、もう一度互いの温もりを抱き締め合って別れの挨拶を済ませると、凛子さんは名残惜し気に私から離れ、大きく手を振りながら、旦那様と一緒に通りの向こうに……。
「幸希ちゃ~ん!! 元気でね~!! 異国の地では、水に気をつけるんだよ~!!」
「は~い!! 凛子さん達も、お元気で~!!」
……ゆっくりと、振っていた右手を、下げる。
永遠の別れじゃない。でも、……いつこの場所に戻って来られるかは、わからない。
堪えていた涙が、頬を伝いながら零れ落ちていく。
「幸希……、大丈夫?」
「お母さん……、うん、大丈夫だよ。もう、ちゃんと、納得してるから……」
家の二階から降りてきたお母さんが、そっと私の背後に立ち、優しい温もりで肩を包んでくれた。
子供みたいに不安になってしまうのは、どうしようもなく、寂しくて、悲しくて堪らないのは……。沢山の想い出を作って、一生懸命に生きてきた……、この世界を離れなければならないから。
人が聞けば、何を寝言をと、笑われてしまう事だろう。
けれど、――本当の事なのだ。私からこれから行く先は、別の世界。
異世界エリュセードと呼ばれる、非現実的なファンタジーのような世界に、私達家族は引っ越しをする。その原因は、……私が、異なる世界を生きていた両親から生まれた存在であり、そして、この世界に、適応出来なくなってしまったせい。
『異世界人同士の子供には不確定な要素が多い。しかし、こちらの世界で成人を迎えたお前に、体内で何か変化が起きたのは間違いない。何事もなくこのまま暮らせるようにと願ってはいたが……、やはりそう簡単にはいかないようだ。エリュセードのお医者さんの話では、あちらの方がお前の身体に適していると診断が出た』
そう、真剣に話してくれたお父さんに、私は何度も聞き返した。
本当に、お父さんが異世界の住人で、そうしなければ、……私は生きていけないのか、と。
私もお母さんも、ファンタジーの類のお話は好きだったけれど、まさかそれが現実に存在する事なんて、簡単には信じられなくて……。
けれど、本当の事だった。マジックでも何でもなく、お父さんから見せられた、魔術という幻想の産物。語られた異世界の話。そのどれもが……、冗談ではなく、真実だった。
海外どころの話じゃない。世界を超えて、私は……、新しい人生を送る事を、受け入れる事しか、出来なかった。
将来の夢、生まれ育った場所、親しい人達……。その全てに、別れを告げる、運命の日。
「さてと、お父さんの準備は出来たかな~。ちょっと様子を見てくるね」
「幸希……」
「ふふ、大丈夫だよ。きっと、すぐに……、慣れるから。大丈夫」
今は辛くても、新しい場所で新しい生活を始めれば、いつかきっと……、平気になる。
大丈夫、子供じゃないもの。ちゃんと現実を受け入れて、自分の新しい人生を歩んで行くしかない。そう笑って、心配そうなお母さんの視線から逃れるように、私は居間にいるはずのお父さんの所へと早足で向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「幸希、不安も強いだろうが、あちらにはお前の事を大切に想う者達が沢山いる。だから、どうか怖がらずに、お前のもうひとつの故郷を、受け入れておくれ」
「お父さん……、はい」
日本の畳を気に入っているお父さんの趣味で和室仕様となっている居間に荷物を持って集まると、お父さんが小さく何かを唱え……。
「――えっ!? 何、これっ」
スッキリとした居間の中にいたはずなのに、私達の足元から一瞬で黒い染みが広がるように闇が溢れ出した。綺麗な蒼い光が、私達の全身を縁取りながら互いの姿を守るように輝いている。
「安心しなさい。私達を別の空間に移しただけだ。――さぁ、エリュセードへの道を、開こうか」
今度は、確かな音の響きが闇の中に響き渡るように、お父さんの低い声音が徐々に力を帯びていく。そして、その身体から光り輝く蒼の鎖が無数に勢いよく飛び出すと、私達の足元へと潜り……、どういう意味を持つのか読み取れない紋様が巨大な円陣の中へと現れた。
「これは……」
「異世界エリュセードと、この世界を繋げる為の術式よ。怖い物ではないから、大丈夫」
「う、うん……っ」
お父さんの魔力を現す色だという、蒼の光が巨大な陣を駆け巡りながら……、徐々にその光が視界いっぱいに溢れてゆく。
現実の世界には存在しないはずの、幻想の片鱗……。
異世界に行くのだと、胸の奥に生まれ始める、高揚感に似た、何か。
最後の一音と思われる言葉を力強く発したお父さんの声が合図となったのか、私の意識が光に溶けるその瞬間、――声が聞こえた気がした。
『ただいま……、私の愛する、――……』
懐かしさと、愛おしさを抱いた、柔らかな声音。
期待を抱くかのように高鳴る胸の鼓動と共に、頭の中で響いたその声の正体を掴めぬまま、私は生まれ育った世界を、旅立った。
「凛子(りんこ)さん、それはもう何度も確認した事でしょう? ほら、涙を拭いて。清々しい気持ちで幸希さんが旅立てるように、ね?」
自宅の玄関口で大粒の涙を流しながら、……私との別れを惜しんでくれている、ご近所のお二人。
幼い頃から本物のお姉さんのように良くしてくれていた凛子さんと、その旦那様。
これから海外に引っ越していく私と家族の為に駆け付けてくれたお二人に笑みを返す。
「お二人とも、ありがとうございます。ちょっと……、遠くまで行く事になっちゃいましたけど、落ち着いたら、手紙を書きますね」
「幸希ちゃん……」
「言葉や文化で色々と苦労するとは思いますが、頑張り屋の幸希さんなら、きっと大丈夫ですよ。けれど、もしも……、辛くなったら、いつでも連絡をくださいね?」
「はい。ありがとうございます。お二人も……、お元気で」
よくある、ただの引っ越し……。
携帯やネットといった文明の利器が発達しているこの世界では、たとえ離れていても、すぐに顔を見る事だって出来る世の中だ。
生まれ育った町を離れ、見ず知らずの国に、日本の外に出る事に不安を覚えていても、いずれは慣れる。そして、新しい自分の人生を、歩んで行く。
そう、……ただの、よくある引っ越しと、別れの場面。
けれど、目の前のお二人は知らない。私がこれから行く場所は。
「ん? 幸希さん、大丈夫ですか? 何だか具合が悪そうですが……、もしかして、また、体調が」
「あ、いえっ。そうじゃないんです。やっぱり、引っ越しの当日ともなると、私も……、寂しくなっちゃって……、ふふ、駄目ですね。子供みたいに、ホント……」
知らず、目の端に浮かび上がりかけていた涙を拭い、誤魔化すように笑ってみせる。
凛子さんの旦那様が言った「また」というのは、私が誕生日を迎えてから悩みの種とするようになった、――原因不明の体調不良に対しての心配。
二十歳の誕生日を迎えてから徐々に私を苦しめるようになった、頭痛、吐き気、めまい、などの、身体的な苦痛の連続。
それは所構わず私の身へと襲いかかり、どこの病院に行っても、原因はわからずじまい……。
結局、精神的なストレスなどが引き起こす症状のひとつかもしれないと言われるようになり、大学に通う事は出来ても、……勉強の方にはかなりの遅れが出るようになった。
こうなるまでは、同じ年頃の女の子達に比べて、少し童顔気味な自分の顔が小さな悩みのひとつだったのに、それどころの騒ぎではなくなってしまって……。
「でも、吃驚したわよね~。まさか、幸希ちゃんの病気を治す為に、パパさんが海外への移住を決意するなんて……。普通は一時的に向こうへ行くとかじゃないのかしら」
「まぁまぁ。向こうに腰を据えて治療を受ける方が、何かと都合が良いんですよ~、きっと」
首を傾げる凛子さんの疑問は御尤も。
家族丸ごと海外移住なんて、誰が聞いても驚くはずだ。
けれど……、私の身体に起こっている厄介な症状を治す為には、絶対に必要な事で……。
(はぁ……、本当は、――異世界に移住するんです! な~んて……、言えない、あまりに現実味が無さ過ぎてっ!!)
思わず、ひくりと私の口の端が気まずげに歪んだ事には気付かず、凛子さんは持っていた見送りの品を手渡してくれた。
そして、もう一度互いの温もりを抱き締め合って別れの挨拶を済ませると、凛子さんは名残惜し気に私から離れ、大きく手を振りながら、旦那様と一緒に通りの向こうに……。
「幸希ちゃ~ん!! 元気でね~!! 異国の地では、水に気をつけるんだよ~!!」
「は~い!! 凛子さん達も、お元気で~!!」
……ゆっくりと、振っていた右手を、下げる。
永遠の別れじゃない。でも、……いつこの場所に戻って来られるかは、わからない。
堪えていた涙が、頬を伝いながら零れ落ちていく。
「幸希……、大丈夫?」
「お母さん……、うん、大丈夫だよ。もう、ちゃんと、納得してるから……」
家の二階から降りてきたお母さんが、そっと私の背後に立ち、優しい温もりで肩を包んでくれた。
子供みたいに不安になってしまうのは、どうしようもなく、寂しくて、悲しくて堪らないのは……。沢山の想い出を作って、一生懸命に生きてきた……、この世界を離れなければならないから。
人が聞けば、何を寝言をと、笑われてしまう事だろう。
けれど、――本当の事なのだ。私からこれから行く先は、別の世界。
異世界エリュセードと呼ばれる、非現実的なファンタジーのような世界に、私達家族は引っ越しをする。その原因は、……私が、異なる世界を生きていた両親から生まれた存在であり、そして、この世界に、適応出来なくなってしまったせい。
『異世界人同士の子供には不確定な要素が多い。しかし、こちらの世界で成人を迎えたお前に、体内で何か変化が起きたのは間違いない。何事もなくこのまま暮らせるようにと願ってはいたが……、やはりそう簡単にはいかないようだ。エリュセードのお医者さんの話では、あちらの方がお前の身体に適していると診断が出た』
そう、真剣に話してくれたお父さんに、私は何度も聞き返した。
本当に、お父さんが異世界の住人で、そうしなければ、……私は生きていけないのか、と。
私もお母さんも、ファンタジーの類のお話は好きだったけれど、まさかそれが現実に存在する事なんて、簡単には信じられなくて……。
けれど、本当の事だった。マジックでも何でもなく、お父さんから見せられた、魔術という幻想の産物。語られた異世界の話。そのどれもが……、冗談ではなく、真実だった。
海外どころの話じゃない。世界を超えて、私は……、新しい人生を送る事を、受け入れる事しか、出来なかった。
将来の夢、生まれ育った場所、親しい人達……。その全てに、別れを告げる、運命の日。
「さてと、お父さんの準備は出来たかな~。ちょっと様子を見てくるね」
「幸希……」
「ふふ、大丈夫だよ。きっと、すぐに……、慣れるから。大丈夫」
今は辛くても、新しい場所で新しい生活を始めれば、いつかきっと……、平気になる。
大丈夫、子供じゃないもの。ちゃんと現実を受け入れて、自分の新しい人生を歩んで行くしかない。そう笑って、心配そうなお母さんの視線から逃れるように、私は居間にいるはずのお父さんの所へと早足で向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「幸希、不安も強いだろうが、あちらにはお前の事を大切に想う者達が沢山いる。だから、どうか怖がらずに、お前のもうひとつの故郷を、受け入れておくれ」
「お父さん……、はい」
日本の畳を気に入っているお父さんの趣味で和室仕様となっている居間に荷物を持って集まると、お父さんが小さく何かを唱え……。
「――えっ!? 何、これっ」
スッキリとした居間の中にいたはずなのに、私達の足元から一瞬で黒い染みが広がるように闇が溢れ出した。綺麗な蒼い光が、私達の全身を縁取りながら互いの姿を守るように輝いている。
「安心しなさい。私達を別の空間に移しただけだ。――さぁ、エリュセードへの道を、開こうか」
今度は、確かな音の響きが闇の中に響き渡るように、お父さんの低い声音が徐々に力を帯びていく。そして、その身体から光り輝く蒼の鎖が無数に勢いよく飛び出すと、私達の足元へと潜り……、どういう意味を持つのか読み取れない紋様が巨大な円陣の中へと現れた。
「これは……」
「異世界エリュセードと、この世界を繋げる為の術式よ。怖い物ではないから、大丈夫」
「う、うん……っ」
お父さんの魔力を現す色だという、蒼の光が巨大な陣を駆け巡りながら……、徐々にその光が視界いっぱいに溢れてゆく。
現実の世界には存在しないはずの、幻想の片鱗……。
異世界に行くのだと、胸の奥に生まれ始める、高揚感に似た、何か。
最後の一音と思われる言葉を力強く発したお父さんの声が合図となったのか、私の意識が光に溶けるその瞬間、――声が聞こえた気がした。
『ただいま……、私の愛する、――……』
懐かしさと、愛おしさを抱いた、柔らかな声音。
期待を抱くかのように高鳴る胸の鼓動と共に、頭の中で響いたその声の正体を掴めぬまま、私は生まれ育った世界を、旅立った。
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