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第六章・アレク×幸希編~蒼銀の誓いと咲き誇る騎士の花~

不穏なる者達の嘲笑・問い

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※今回は、三人称視点で進みます。



「いやぁあああああああああああっ!!」

「おいっ、落ち着け!! 早く逃げないと喰われちまう!!」

「警備隊じゃ数が足りねぇっ!! 騎士団はまだか!? 魔術師団は!? 町長はなにやってんだっ!!」

 ゼクレシアウォード王国の西……。
 王都や大都市に次いで、それなりの繁栄に恵まれている中規模の町のひとつが……、その夜、魔物や正体不明の異形から突然の襲撃を受けた。
 近隣に住む魔物達が時に何らかの事情により正気を失い、人を襲うという事は時々起こる事だが……。
 今夜の異変はそれとは違うと、住民達の心に得体の知れない恐怖と不安を植え付けていた。
 街中の至るところから上がる悲鳴、凶刃により飛び散る血飛沫。
 その光景を遥か高みから、一人の少女が愉しそうに嗤って見ている。

「ふふ、家の中に閉じこもってたーいくつな時間を過ごすより、とーっても有意義ですわ! ねぇ、アヴェルっ」

「……うん。そうだね。君が愉しいなら、もっと遊んでいいよ。……」

「だーめですのっ!! アヴェルも遊んでくださいな!! 狩りをしていれば、運動に気分転換に、と、良い事尽くめなんですわ!!」

 気分転換、か……。
 黄金の髪を夜風に靡かせながら力説してくる少女、マリディヴィアンナに……、その傍で佇んでいたアヴェルが無表情のまま彼女の台詞を復唱し呟く。
 地上の民を相手に残虐行為を愉しめる少女だが、今夜の場合は違うのだろう。
 この世界の御柱の一人、アヴェルオードの魂を手に入れてからの……、アヴェルの変化を心配しての事だと、長年の付き合いですぐにわかってしまうから。
 今もまだ、意味のわからない夢や、ふとした時に声が聞こえる時もある。
 だが、それはあくまで、他神(たにん)の魂を無理に奪ってしまった弊害なのだろう……。
 そう結論づけてしまう方が、……楽でいい。
 ――なのに、この不快な感覚は決して消える事なく、アヴェルを悩ませている。

「そうだね。屋敷でじっとしてても面白くないし、……遊ぼうか」

「ふふ、まだまだ獲物はいーっぱい残ってますわ!! 朝までに全部全部っ! ぐちゃぐちゃにしてしまいしょうね!!」

 苦笑するアヴェルの胸に飛び込み、頬を摺り寄せながら微笑むマリディヴィアンナ。
 かつて、母親と共に最期を迎えたこの少女の魂を拾い上げた時……。
 まさかこんな風になってしまうとは思わなかった。
 無邪気な天使のような迷い子。彼女は、自分達の傍でその仕事を手伝う内に……、命を傷つけ、無慈悲にも奪い去る行為に快感を覚え……、そして。

「ぎゃぁあああああああっ!!

「いやぁああっ!! お願いっ、殺さな、ああああああああああああああっ!!」

「ふふ、ふふふふふふふ!! ねぇ、私が死んでいるのに、貴方達が生きていていいわけなんかないでしょう? ふふ、ふふふっふふ、皆、同じになればいいの。私と同じように、……」

 街の中に飛び込んで行ったマリディヴィアンナが平然と殺戮を行いながら小さく呟いた言葉。
 後を追ったアヴェルの耳に、それは途切れ途切れでありながらも届いた。
 自分と同じになればいい。自分と同じように、寂しさと孤独の中で死んでいけばいい。
 自分の味わった不幸を、今も続いている絶望を、知ればいい……。
 幼くして亡くなった少女の、身勝手で……、そして、偽らざる魂の叫び。
 
(マリディヴィアンナも……、ヴァルドナーツも、アリューも……、僕も、皆同じだ)

 異なる事情を抱えながらも、四人とも孤独を抱えながら生きてきた。
 そして、自分以外は……、非業の死を遂げ、……望んだのは、復讐と、願い。

「ぐぁあああああああああっ!!」

「お父さぁああんっ!! お父さんっ、お父さんっ!!」

「……お父、さん」

 アヴェルが一撃で切り裂いたのは、大柄な逞しい男の胸だった。
 後ろ側に大きな音を響かせながら倒れた男の傍に、小さな男の子が走り寄り……、お父さん、お父さんと、うるさいほどに泣き喚く。

「……っ」

 まただ。また、頭の中に……、知らない、イメージ、が……。
 
『父様の馬鹿!! どうして、どうしてそんな風にしか考えられないんだよ!! どうして……、自分からっ、貴方はっ』

 何度言葉を重ねても届かなかった。
 何度向き合っても……、何度この切なる想いを叩きつけても、応えてはくれなかった神(ひと)。
 どうすれば届く? どうすれば、あの神(ひと)の考えを、不幸の種を剥ぎ取る事が出来るのだろう……。
 どうすれば……。

「貴方は……、幸せに、……なって、くれるん、……だ? と、う、……さ」

「どうしましたの!? アヴェル!!」

 上半身を真っ赤に染め、いまだ出血が止まらぬ哀れな被害者。
 無意識にその近くに歩みを進め、膝をついてしまったアヴェルが胸を抑えながら息を乱していると、

「あぁっ、もうっ!! うるさいですわよ!!」

 父親の事を想って泣きじゃくる子供に放たれようとしたマリディヴィアンナの一撃。
 確実に避ける事は出来ず、絶命するかと思われた残酷な攻撃の一手を、――阻んだ。この手で。
 無意識の行動だった。マリディヴィアンナが発生させた風の刃を、寸でのところで割込み、感じたのは……、鋭く、生々しい、肉を抉り裂かれる感触。
 子供を自分の腕に庇ってしまったアヴェルは堪え切れない苦痛の声を漏らし、直後、自分の仲間が状況を理解出来ずに発した甲高い悲鳴に耳を痛めた。

「いやっ、……や、ぁああっ、な、何してますのっ!? アヴェルっ!! アヴェルっ!!」

「はぁ、……痛っ。……わか、ん、なぃ」

 自分が子供を庇った事に気付いたのは今だ。
 マリディヴィアンナが発狂するのも当然で、自分が何をやったのか、自分でも理解出来ていない。
 
「あ、……ぁ、あ、……お、父、さ、……お父、さ、んっ」

 アヴェルの腕の中から抜け出した子供が、息絶えようとしている大男の巨体にしがみつく。
 すぐに治療を施さなければ確実に死ぬ深手だ。そして、ここに救いの手はない。
 
(今のは、僕がやったんじゃない……。アイツの、……アイツの、魂が……、僕に、干渉、して……)

 そうでなければ、自分が地上の民を庇ってこんな事になるわけがない。
 全ては……、御柱、アヴェルオードの魂を手に入れてから起こった異変。
 だが、手放そうにも母親の言葉に背くわけにはいかない。
 自分は、あの御柱の魂を取り込み、力の強化を図らねばならないのだから……。

「アヴェルっ、傷の手当てをっ!!」

「大丈、夫……。それよりも、……殺ろう」

「え?」

「僕は、アヴェル。母様の、息子……。この存在に……背くような真似は」

 作ってしまった汚点は、すぐにでも消し去らなくては。
 ゆっくりと右手を頭上に持ち上げ、アヴェルは非道なる殺戮の炎を生み出す。
 
「仲良く……、逝ったらいいよ」

「やだぁあああっ!! これ以上お父さんを傷付けるなぁあっ!!」

 だから、二人揃ってあの世に送ってやると言ったのだ。
 愛する者と死ねば、悲しみも憎しみも生まれない。すぐに冥界へと赴く事になる。
 自分の中で響く否定の言葉を無視し、アヴェルは膨れ上がらせた凶悪な炎を……、――哀れな親子に叩き込んだ。……だが。

「……あ~あ、また……、邪魔が、……入っちゃった」

 一瞬で何もかもを溶かし尽くすかに見えた炎の一撃は、親子を包み込む前に霧散した。
 アヴェルとマリディヴィアンナを見下ろしながら、濁った空気に晒された夜空に佇む二つの影。
 ウォルヴァンシア王国の騎士、アレクディース・アメジスティーと……、ウォルヴァンシアの国王。
 アレクディースよりも先に動いたウォルヴァンシアの国王レイフィードが、アヴェル達から少し離れた場所にあった壊れかけの噴水の近くへと降り立ち、そのブラウンの瞳を真紅の輝きへと変えた。
 彼の足元から目を焼かんばかりの黄金と紅の光が溢れ出し、道を作っていくかのように街中の魔物達を飲み込んでいく。あれは……、ウォルヴァンシア王家の血筋に現れるという浄化の力と、神のそれを合わせたものか。
 魔物も、瘴獣も、全てが国王の支配下に置かれ、アヴェル達の遊びを台無しにしてしまった……。
 
「……アヴェル」

「……気安く、……呼ばれる、筋合い、ないん……だけど?」

 騎士服姿の男が空から自分達の近くに降り立ち、静かに名を呼んでくる。。
 あぁ、最悪だ……。こんな時に、またこの男と会う事になるなんて……。
 だが、ほんの僅かな魂だけを抱く神相手に、憶する事はない。……もう一人の方は、厄介だが。
 アヴェルは毛を逆立て威嚇行動に入った猫のように怯えているマリディヴィアンナの腕を引き、自分の後ろに庇う。下手にこの子が飛び出せば、ヴァルドナーツと同じ轍を踏む事になる。
 もう、誰も奪われたくない。アヴェルにとって、道具であり……、家族のような者達を。

「アヴェル……、いや、もうその偽りの名で呼ぶのはよそう」

「僕はアヴェル。それ以外の……音など、持った事も……ないよ」

「なら、お前は自分の母親の名を言えるか? お前が心から愛し、救いたいと思っている母の音を」

「……母様、……母様の、名前、……っ」

 あの恐ろしい闇の中で自分を包み込み、愛を囁いてくれていた母。
 アヴェルにとって、何より大切なのは母親。そして……、異空間に封じられている仲間達。
 ……だけど、改めて聞かれてみると、答えられない事が多いような気がする。
 異空間での記憶はある。外に出てからの事も……。
 
(でも、僕にはない……。封じられる前の、記憶が)

 母親の名前も、……思い、出せない。
 いや、初めから……、聞いた記憶すら、……ない、気がする。
 
『当たり前だよ。今の君は、僕であって、僕じゃない』

「――っ!! うる、さいっ」

 何故またこの声に存在を否定されなくてはいけないのか。
 頭に生じた鈍い痛みに眉を顰めながら、アヴェルはマリディヴィアンナと共にアレクディース、いや、アヴェルオードから距離をとる。
 捕まってはいけない。どうにかして、ここから逃げ去る方法を見つけなければ……。

「もう一度言おう。お前に母親はいない。お前は、俺が自分の魂の一部を使い、生み出した存在。俺の身代わりとして、御柱の役割を継がせる為に生を授けた者だ」

「知らないっ!!……僕はっ、アヴェル。異空間に……母様や、仲間達と、……一緒に、封じ、られ、天上に、復讐を、誓った者。それ以外の、……ぐっ、何者でもない!」

「その存在意義に揺らぎが生じているのだろう? 俺の魂に刻まれた記憶が、お前の本当の心が、今も真実を教えようとしているはずだ」

 アヴェルオードは……、この身に起きている異変に気付いている?
 いや、元はあの男の魂だ。たとえ奪われたとしても、その身に残っている魂の一部と繋がっているのかもしれない。あぁ、いっその事、アヴェルオードの魂(こんなもの)、あの男に叩き返すか、粉々に砕いてやれればいいのに……。アヴェルは奥歯を噛み締め、アヴェルオードを睨みつける。

「お前は、災厄の使いじゃない。あの女は、お前の母親じゃない。――ユスティアード・フェルナヴェーラ、お前の奪われた名を、天上での記憶を、どうか取り戻してくれ」

「ユス、……ティ、……アー、ド」

 知るものか。アヴェルという名以外、自分に別の名前などない。
 右手を差し出し、ゆっくりと近づいてくるアヴェルオードに感じているのは……、苛立ちか、恐怖か、……それとも、この感情は。

『アヴェル!! お姫ぇええっ!!』

「「「――っ!?」」」

 繋がりそうで、繋がる事のなかった糸の先。
 アヴェルオードが自分を呼ぶ声に何かを感じ取っている最中、魔物達が起こした大火によって、淀んだ夜空の雲間から飛来したその声。意識が、現実へと戻る。
 同時に、地面から噴き上がった黒銀の光が街中の至る所で発生し、艶やかな女の嗤い声を響かせてゆく。
 
「母、様……? うわっ!!」

「きゃああっ!!」

 母親の使いが自分達を助けに来た。
 アヴェルオードの手がアヴェルに届く前に、マリディヴィアンナと共に力強い腕に抱きあげられ、またすぐに空へと飛翔してゆく。
 息抜きに出掛けていたはずのアリューまで……。あぁ、帰ったら確実に怒られる。
 腕の感触が消え、アリューの姿が巨大な漆黒の竜に変じると、アヴェル達はしっかりとその背に掴まり、風の抵抗に備えた。……しかし。
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