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~番外編・セレイド×フィニア~

【WEB拍手お礼】侯爵様の悪戯

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※WEB拍手にUPしていた小話です。


セレイド
「フィニア、愛らしい女性には、それに相応しいオプションが必要だとは思いませんか?」

フィニア
「えっと、……急にどうなさったんですか?」
(紅茶を飲みつつ、嫌な予感を感じるフィニアさん)

セレイド
「俺は常々思っていたんですよ……。貴女を愛でる為には、積極的に色々と試していくべきだと」

フィニア
「わ、私は、今のままで十分ですよ? 最愛の男性であるセレイド様のお心を感じられるだけで、毎日がとても幸せですから」
(若干引き攣った笑み)

セレイド
「いいえ、フィニア……。これからが大事なんですよ。貴女が幸せを感じられるように、その心にも……、『身体』にも、俺のさらなる愛を与えなくては」

フィニア
「ふふ……、『今のままで十分です』よ? セレイド様」
(空笑いの遠い目をしたフィニアさん)

セレイド
「フィニア、遠慮はいりません。俺からの惜しみない愛を……、その身に受けてください」
(眼鏡を不穏に煌めかせる)

フィニア
「あの、本当に今のままで……、え?」
(頭とお尻に妙な違和感を感じたフィニア)

セレイド
「ふふ……、今貴女が口に含んだその紅茶ですが……、『特別製』なんですよ」

フィニア
「せ、セレイド様……っ、な、何を飲ませたんですか!?」
(頭とお尻に生えた妙な感触を触り慌てるフィニア)

セレイド
「鏡を見てみますか? とても……可愛くなっていますよ」
(手鏡を差し出す)

フィニア
「――な、何ですかこれは~~!!」

セレイド
「見ての通り、貴女の魅力をさらに惹き立てる事に成功した『オプション』ですよ。あぁ……、うさぎにするか狼にするかで迷ったのですが、間をとってフィニーとお揃いの犬耳と犬尻尾が生える薬にしたんです。思った以上に似合いすぎていて……、つい触りたくなってしまいますね」

フィニア
「セレイド様、私の同意もなしに何て事を……!! う~ん……、と、取れないっ。これ……肌に直で生えてるじゃないですか!! 尻尾も……、感覚が繋がってるっ」

セレイド
「王都に、占い師兼術師の方がいましてね……。この前立ち寄った時に面白い物があると言われて試しに買ってみたのですが、最高ですね」

フィニア
「どこがですか!! わ、私……、これじゃ屋敷に戻れないじゃないですか!!」

セレイド
「一週間ほど効果は続くそうですよ? ふふ……、色々と楽しめそうですね。フィニーも仲間が出来たと喜んでくれる事でしょう」

フィニア
「もうっ、どうしてこういう悪戯をするんですか!! 私を幸せにとか、もっと愛したいとか仰っていましたけど、セレイド様が楽しみたいだけですよね!?」

セレイド
「安心してください。勿論、俺も楽しませて貰いますが、貴女にも極上の幸せを感じて頂けるように、全身全霊で『奉仕』をさせて頂きますから」

フィニア
「お、お断りしますっ。セレイド様の事ですから、耳や尻尾を触るだけではないのでしょう? 絶対に変な事をしようとするはずですし、……私、アルディレーヌの所に行って戻る方法を探してきます!!」

セレイド
「さぁ……、果たして俺の部屋から出る事が叶うでしょうかねぇ。やってみますか?」

フィニア
「力づくで止めようとしても無駄ですから!! これでも、幼い頃から武術の心得があるんです……。たとえセレイド様に勝てなくても、逃げ延びる事くらい……、え?」
(不意に眩暈を覚え、膝を絨毯に着いてしまうフィニア)

セレイド
「おやおや、お昼寝の時間にはまだ早いでしょうに……。大丈夫ですか? フィニア」

フィニア
「セレイド様……、まさか……、あ」
(ふらりと絨毯に倒れこんでいくフィニア)

セレイド
「大丈夫ですよ。後々害が残るような物は入っていません。ですが……、暫くの間は……、力が入らないでしょうがね?」

フィニア
「せ、セレイド様の……あ、悪魔っ」

セレイド
「清らかな天使を地上に繋ぎ止めるのに必要なのは、溺れるような罪の味……。さながら俺は、貴女という聖なる御使いを闇に引き摺り込む、堕天使といったところでしょうか」

フィニア
「そ、そういうふざけた例えはいりません……っ。んっ」
(不意にセレイドから尻尾を触られてしまうフィニア)

セレイド
「本物同然の感触ですね……。おやおや、俺に触れられて……、とても嬉しそうだ」

フィニア
「せ、セレイド様……、こ、こういう特殊な真似は、や、やめ、ましょう? 私は……、普通に愛して頂けるだけで……、んぅっ、十分、です、から」

セレイド
「遠慮は必要ないと、さっきも教えてあげたでしょう……? 俺は貴女を色んな方法で……、形で、愛してあげたいのですよ」

フィニア
「ぁっ……、やぁっ、み、耳にまで……、い、息を吹きかけないでくださいっ」

セレイド
「あの術者の仕事は完璧ですね……。貴女の愛らしい耳が、ピクピクと震えて……、ふふ、弄り甲斐がありますよ」

フィニア
「ひぁっ……、せ、セレイド様の、ば、馬鹿っ」

セレイド
「可愛いですよ、フィニア……。これから一週間、俺がご主人様となって、貴女の躾を頑張りますからね」

フィニア
「なっ……、そ、それって……、ま、まさかっ」

セレイド
「察しがいいですね。勿論、貴女の父君であられるロージェ伯爵には使いを出しておきます。そうすれば……、貴女も安心して、俺に飼われる事が出来るでしょう?」

フィニア
「なななな、何を仰っているんですか!! わ、私はペットじゃありませんっ」

セレイド
「貴女専用の可愛らしい首輪も用意してあるんですよ? 大丈夫です、俺は心優しい飼い主ですから、酷い仕打ちなどはしません。優しく……、深く、俺だけのペットに愛を注ぎますよ。奥深くまで……ね」

フィニア
「そ、そんなぁっ……、い、嫌ですっ。さ、触らないでくださ、んぁっ」

セレイド
「あぁ、ですが……。聞き分けの悪いペットには、少々躾をしなければなりませんが。さ、フィニア……、服を脱ぎましょうか。獣に服など不要の物でしょう?」

フィニア
「ぬ、脱がしにかからないで、……ぁっ、やあっ、セレイド様、やめてくださっ、んぅっ」

セレイド
「ふふ、恥ずかしがるその様もそそられますね……。愛しい俺のフィニア……、沢山愛してあげますから……、大人しくご主人様の躾を受けてください」


――こうして、うっかり動物のオプションがつく薬の仕込まれた紅茶を飲んだ哀れな令嬢は、どこまでも変態思考の溺愛侯爵様の手にかかり、美味しく頂かれたのでありました。


(完)
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