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第六十三話 長老とメイ
しおりを挟むセブン:着きました。
セブンが車を駐車した音で梅男は目を覚ました。
館を出てから景色を眺めているうち、いつの間にか寝てしまっていたようだ。
梅男:ここはどこですか?
慌てて姿勢を正し窓から外を見ると目の前には森が広がっていた。
ナツ:飛行場の手前にある森かしら?
ファルコン:どうやらそのようですね。
ナツとファルコンは既に起きていて辺りを把握しているようだった。
セブン:ここから先は車では行けないので徒歩になります。
ナツ:じゃ、降りましょうか。
梅男:は、はい。
車から降りると停車した先の道は舗装はされておらず、鬱蒼とした森の中へと続く獣道しか見えなかった。
ファルコン:ここからどうやってホテルへ?
セブン:この森は飛行場とホテルをぐるりと囲む形になっています。商業地区側のホテルの裏口まで少し遠いですが、森の中を歩いて行けば誰にも気づかれずに行けそうです。
ナツ:また歩くのね・・。
ナツはクーデター騒ぎの時に歩き通した事を思い出したのかガックリと肩を落とした。
セブン:すみません、このルートが一番安全でしたので・・。
ファルコン:ナツ様。もし、歩くのが辛かったら仰って下さい。
ナツ:ありがと。気を遣わせちゃってごめんなさい。よーし、ホテルまで頑張って歩くわよ。
梅男:はい!
セブン:では、私の後をついて来て下さい。
セブンを先頭に森の中へと入って行くと凸凹道と生え放題の草木が邪魔してなかなか思うように進めないでいた。
梅男:これはなかなか体力が奪われますね・・ナツさん大丈夫ですか?
梅男は後ろにいるナツに声をかけた。
ナツ:まだ何とか大丈夫・・。
横にいるファルコンがナツの手を取り手助けし今のところは問題なくついて来れているようだった。
それから何度となく休憩を入れつつホテルの裏口の付近まで辿り着いた。
セブン:やはり裏口には見張りはいないようですね。
ナツ:マツダ達とは連絡は取れてるのよね?
セブン:はい。裏口の通路から玄関ホールに来てくれと伝達がありました。
ナツ:じゃ行きましょ。
セブンが言った通り裏口から玄関ホールに行くとマツダとユイが出迎えてくれた。
マツダ:ナツ様、梅男様、よくぞご無事で。
ナツ:出迎えありがとう。ここは安全そうね。
マツダ:はい。来賓客が退去した後は軍の見張りもいなくなり逆に静か過ぎるくらいです。
メイ:ナツ様、お久しぶりです!
そこへマツダの後ろに隠れていた女の子がナツに抱きついた。
ナツ:メイ様、お久しぶりです。お元気でしたか?
メイ:はい。ナツ様がいつの間にか宮殿からいなくなって心配してたんですよ。
ナツ:色々あって少しお暇してました。
メイ:じゃ、また遊んでくれますか?
ナツ:勿論です。
マツダ:こら、メイ。その前に梅男様にご挨拶を。
メイ:失礼しました。私は妹のメイ・マツダです。梅男様、よろしくお願いします。
メイは慌てて梅男の方を向くとスカートの両端をつまんでお辞儀をした。
梅男:谷藤梅男です。メイさん、こちらこそよろしくお願いします。マツダさん随分と歳の離れた可愛い妹さんがいるんですね。
マツダ:ええ。妹とは七つ離れております。
メイ:もしかして美留來ちゃんのお父さんですか?
梅男:そうだよ。美留來とは館で会ってるんだね。
メイ:うん。
マツダ:メイ、挨拶はそれくらいにして自分の部屋に戻りなさい。オルガ頼む。
メイ:はーい。
オルガ:メイ様、行きましょう。
傍からスーツ姿の女性が現れるとメイの手を取り奥にあるエレベーターの方へと行ってしまった。
マツダ:では、ナツ様、梅男様こちらへ。ファルコンも。
梅男達はマツダに言われる通り玄関ホールの横にあるレストランの方に行くと一人の老人が待っていた。
老人:やっと来たか。
セブン:爺ちゃん何でいるんだよ!このミッションは俺にやらせてくれるって言っただろ。
待っていたのは最初にナツの家で見かけた老人だった。
老人:バカモノ!国の一大事の時にお前一人に任せておけるか。
梅男:あの・・差し出がましいようですが二人は一体どういうご関係で?
ナツ:このご老人はセブンの長老、こっちはお孫さんで今回が初ミッションだったの。
梅男:なるほど。
ファルコン:長老様に会えるとは光栄です。
ファルコンは一歩前に出ると長老に片膝をついて挨拶をした。
それに倣い梅男も慌てて片膝をつこうとすると長老が持っていた杖で静止した。
長老:ああ、そういう堅苦しい挨拶は今はなしじゃ。今は時間も惜しいからの。な、マツダよ。
マツダ:はい。とりあえず、みなさんこちらに座って下さい。
ナツ:やっと座れる。お腹もすいたわ。
ユイ:今、お食事をご用意します。梅男様も座って待ってて下さい。
ファルコン:ユイ、手伝うよ。
ユイとファルコンがキッチンに移動するとナツは真っ先に近くの長テーブルにある椅子に座った。
梅男は遠慮気味に横に一つ席を空けて座ると横並びにセブンが座り、相向かいにマツダと長老が座ったのだった。
つづく
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