37 / 65
第三十六話 仲直り
しおりを挟むびす子:それでメイはこの館に来たって訳か。
メイ:はい。でもそれだけの理由ではないのです。
荒正:というと?
メイ:えっと、それは・・。
マツダ:ここからは私から話をさせて下さい。
メイが喋ろうとした時にマツダが制止した。
マツダ:実はクーデターの首謀者が父のビクターだと報道されました。
美留來:だから放送内で何度も『マツダ』って連呼してたのね。
荒正:それで親子で何を企ててるんだ?
びす子:おい、失礼にも程があるぞ。
びす子が荒正に言うのと同時にメイが立ち上がり目の前の紅茶を荒正の顔をめがけてかけた。
荒正:な、何するんだ!
メイ:父様もお兄様も悪い事してない!お前なんて嫌いだ!うわーん!!!
メイは顔を真っ赤にしながら泣き出した。
荒正:こっちが泣きたいよ・・着替えて来る!戻るまでにこれからどうするかきちんと決めておいてくれよ!
荒正は大股でティールームから出て行った。
びす子:メイ、私はマツダとマツダのお父さんがクーデターを起こしたなんて思ってないよ。
メイ:ほんと?
びす子:もちろん。
美留來:それにしてもメイちゃんのお陰で気分がスカッとしたよね。
びす子:本当だな。
マツダ:でも、例え相手が失礼な事を言ったとしても、レディがはしたない事をするのは良くないと思うぞ、メイ。
マツダが諭すように言うとメイはレディとして恥ずかしい行いをしたと自覚したのかシュンとした顔で兄に謝った。
メイ:ごめんなさい。
マツダ:分かればよろしい。荒正様が戻ったらちゃんと謝るんだぞ。
メイ:分かった。
その時に給仕がティールームに入って来た。
給仕:そろそろ昼食となりますがどうなされますか?
びす子:そういえばお腹すいたな。
美留來:うん。メイちゃんは何か食べて来たの?
メイ:食べてない・・。
マツダ:それじゃ一緒に食べよう。すみませんが準備出来るまでメイと一緒にいて貰えませんか?
びす子:私は構わないよ。
美留來:私も。
マツダ:助かります。メイ、良い子にしてるんだよ?
メイ:はい・・。
メイは兄と離れ難いように見えたが、育ちが良いせいか礼儀をわきまえていてマツダがいなくなっても先程のように取り乱す事はなかった。
少しすると食事の準備が出来たと給仕が呼びに来た。
メイを連れて食堂に行くと荒正が既にテーブルについており、脇にはマツダが立っていた。
メイは荒正の姿を見るとびす子の後ろに隠れた。
荒正:さっきは悪かったよ。ごめん。
マツダ:荒正様が謝ってくれたのだぞ。メイ、隠れてないで何か言う事はないのか?
メイはびす子の後ろからひょっこり顔を出し、恐る恐る荒正の近くまで行くと「許してあげる」と口をとんがらせた。
びす子:よし、これで仲直り出来たな。あー腹減った。食べよう。マツダ達も一緒にどうだ?
美留來:良いね!
メイ:兄様と一緒に食べたい!
マツダ:ありがとうございます。では、お言葉に甘えて。今、ユイを呼んで来ます。
数分後にユイを連れてマツダがやって来るとメイはトコトコと兄の近くまで行くと隣に座った。
全員が着席すると食事が運ばれて来た。
朝食時とは違って人数が増えて賑やかな昼食となった。
午後はびす子達は少し休憩を取る事になり、その間にマツダとユイが情報収集すると言って階下に降りて行った。
美留來はメイに部屋を譲り、兄に会えて安心したのかメイはそのままベッドで眠ったらしく中ドアから美留來がびす子の部屋に入って来た。
びす子:メイはどう?
美留來:大丈夫。ぐっすり。
びす子:そっか。良かった。
びす子がベッドに寝転ぶと美留來がベッドに腰掛けた。
美留來:はぁ・・お父さんが行方不明になったり、クーデターが起きたり色々あり過ぎて頭がこんがらがってる。
びす子:ごめん。巻き込んじゃったな。少し横になった方が良い。
美留來:謝らないで。きっとマツダさん達がお父さんを見つけてくれると思ってるからそこは気にしてない。それよりクーデターが起きてる方が心配だよ。
美留來は横にゴロンと寝転ぶとびす子の方を向いた。
びす子:美留來がいてくれて心強いよ。でも、クーデターについては真偽が分からないとどうにも出来ないなあ。
びす子は天井を眺めながら大きくため息ついた。
美留來:ペルーサさんに聞いてみるのはどう?
びす子:そうだな。後で聞きに行ってみるか。
美留來:うん。
午前中に目まぐるしく色々な事が起き、お腹がいっぱいなのも相まって二人はいつの間にか眠ってしまった。
つづく
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
私たち、博麗学園おしがまクラブ(非公認)です! 〜特大膀胱JKたちのおしがま記録〜
赤髪命
青春
街のはずれ、最寄り駅からも少し離れたところにある私立高校、博麗学園。そのある新入生のクラスのお嬢様・高橋玲菜、清楚で真面目・内海栞、人懐っこいギャル・宮内愛海の3人には、膀胱が同年代の女子に比べて非常に大きいという特徴があった。
これは、そんな学校で普段はトイレにほとんど行かない彼女たちの爆尿おしがまの記録。
友情あり、恋愛あり、おしがまあり、そしておもらしもあり!? そんなおしがまクラブのドタバタ青春小説!
【R15】【第一作目完結】最強の妹・樹里の愛が僕に凄すぎる件
木村 サイダー
青春
中学時代のいじめをきっかけに非モテ・ボッチを決め込むようになった高校2年生・御堂雅樹。素人ながら地域や雑誌などを賑わすほどの美しさとスタイルを持ち、成績も優秀で運動神経も発達し、中でもケンカは負け知らずでめっぽう強く学内で男女問わずのモテモテの高校1年生の妹、御堂樹里。親元から離れ二人で学園の近くで同居・・・・というか樹里が雅樹をナチュラル召使的に扱っていたのだが、雅樹に好きな人が現れてから、樹里の心境に変化が起きて行く。雅樹の恋模様は?樹里とは本当に兄妹なのか?美しく解き放たれて、自由になれるというのは本当に良いことだけなのだろうか?
■場所 関西のとある地方都市
■登場人物
●御堂雅樹
本作の主人公。身長約百七十六センチと高めの細マッチョ。ボサボサ頭の目隠れ男子。趣味は釣りとエロゲー。スポーツは特にしないが妹と筋トレには励んでいる。
●御堂樹里
本作のヒロイン。身長百七十センチにIカップのバストを持ち、腹筋はエイトパックに分かれる絶世の美少女。芸能界からのスカウト多数。天性の格闘センスと身体能力でケンカ最強。強烈な人間不信&兄妹コンプレックス。素直ではなく、兄の前で自分はモテまくりアピールをしまくったり、わざと夜に出かけてヤキモチを焼かせている。今回新たな癖に目覚める。
●田中真理
雅樹の同級生で同じ特進科のクラス。肌質や髪の毛の性質のせいで不細工扱い。『オッペケペーズ』と呼ばれてスクールカースト最下層の女子三人組の一人。持っている素質は美人であると雅樹が見抜く。あまり思慮深くなく、先の先を読まないで行動してしまうところがある。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる