満月に吼える狼

パピコ吉田

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第六章 いでよ!太古の剣!

第二十五話 魔女の呪い

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エマ:もう大丈夫です。目を開けてください・・・。

 全員エマのおかげで森に転送されたようだったが、力を使い過ぎたエマが地面にドサっと倒れ込んだ。

ダンデリオン:エマ大丈夫か?!!

ビーナス:少し休めば大丈夫です。ミミとマサ来て頂戴!

 すると木々が揺れる始めると、どこからとも無く二人の男女が目の前に現れた。

ミミ・マサ:お呼びでしょうか。

ビーナス:マサ、姉さんを頼みます。ミミはこの方達を守り神様達のところへ。みなさんミミが守り神のところへ案内してくれます。私はマサと一緒に行きます。

ミミ・マサ:承知しました。

 マサはエマを抱き上げるとそのままビーナスと森の奥へと行ってしまった。

ミミ:では、ご案内します。

 全員状況が掴めないままだったが、ミミの後について行くしかないと歩き始めた。

メディア:そういえば、お父さん守り神の事は知ってるの?

ダンデリオン:この森は来た事ないから分からないなあ、バレンシアは?

バレンシア:俺も来た事はない。

 その横でとぼとぼと気が抜けたように歩くプラーガトを見たタカールは励ますように肩を軽く叩くのであった。

ミミ:到着しましたこちらです。

 そこは広場のように開けた場所になっていて座るのに好都合な切り株が何個も並んでいた。

ミミ:そこの切り株にお座りになってお待ち下さい。飲み物と軽いお食事をお持ち致します。

メディア:ミミさんありがとうございます。良ければお手伝いしますよ。一人で運ぶのは大変でしょうし。

ミミ:メディア様、助かります。ではこちらへ一緒にお願いします。

 ダンデリオンは心配そうにメディアを横目に見たが、メディアは「心配はご無用」と言わんばかりにニッコリと笑いミミと森の中へと消えて行った。

 その横では悲しそうな顔をして座り込んでいるプラーガトがいた。

バレンシア:何かしらお前の母を助ける策があれば良いのだが・・・。

ラナ:なくも無いよ。だから君達はここに来たんだ。

 バレンシアが抱えていた錆びついた剣が喋り出した。

ダンデリオン:ラナ・・?生きていたのか!

ラナ:この剣に封印されちゃったけどね。

 その時、目の前の大木が蠢きざわめき始めるとそこへメディアとミミが食料を持ってやって来た。

タカ:おかえり。さっきから周りの木々が動いてるように見えて薄気味が悪くて・・・君の事が心配だったよ。

メディア:気味が悪いだなんて・・・タカール、守り神様に失礼よ。

 メディアはタカールに水の入った木のカップとパンを渡しながらクスクスと笑った。

 すると頭上から老人の声が響いて来た。

守り神:無惨な姿だのう・・・ラナ。

 振り返ると表面に目と口がある巨木が語りかけて来た。

ラナ:甘く見過ぎてた魔女の力を。それで聞きたいんだけど。後どれくらいでこの姿から戻れるか分かる?

 守り神は腕のような幹を器用に動かしながらバレンシアが持っていた剣を掬い上げジロジロと観察した。

守り神:ふむ・・・見たところ強力な呪いにかかってるようだ。例え魔女を倒してもその呪いは解けないかもしれんぞ。

ラナ:えええ、ずっとこのままの姿は困るよ。呪いが解けるのはいつ?

守り神:呪いをかけた魔女に聞くしかないかもな。

 その言葉を聞いて絶望感が漂うのであった。

つづく
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