満月に吼える狼

パピコ吉田

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第六章 いでよ!太古の剣!

第十話 二人の死闘

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 お互い決闘場の真ん中に来るとトーマはダンデリオンスタッフを、グレイはダマール短剣を手に持った。

グレイ:久ぶりの手合わせだな。お手並拝見しようじゃないか、くくく。

トーマ:お前なら断らないと思ったさ・・・ダンデリオンとダマールどちらの名が残るのかこれでハッキリするわけだ。

 二人は間合いを取りながらまるで決闘の前の歓談を楽しんでるようだった。

 すると二人は無言になり構えを取ると一ミリも動かなくなった。

 空気がピンと張り詰めまるで時間が止まったかのような錯覚に見ている方は襲わていた。

タカ:二人の力はほぼ互角だ・・・どちらが勝ってもおかしくない・・。

メル:サクラ様、もし見てるのが辛いのでしたらルーチェの間の中にお戻りした方が。

サクラ:いいえ。彼が必ず勝つわ。最後までちゃんと見届ける。

 サクラはそう言いながら手が震えていた。

それを見ていたセラが優しく手を取った。

セラ:サクラさん、兄さんならきっと勝つわ。

あれっくす:僕たちは彼を信じるしかない。

頼電:僕も信じてる!
 
ニコラ:トーマ様頑張って!
 
ルチカ:みんなの仇を討ってトーマ様・・。
 
アキラ:ちくしょう。手が出せないなんてむずむずするぜ。
 
 アキラはグレイと戦いたいのか地団駄を踏んでいた。

 自然と全員肩を寄せ合いグレイと対峙しているトーマにエールを送っていた。

 初めの一手はトーマからだった。

トーマ:ファイアーフェザー!

 ダンデリオンタッフから炎を纏った羽根がグレイめがけて幾つも飛び出した。

グレイ:ダマール旋風!
 
 二人はお互いの攻撃を打ち消すのを繰り返していた。

 タカールが言った通り二人の力は互角で勝負は一向に決まる様子がなかった。

トーマ:ダンデリオンストライク!!!!

グレイ:サウンドバウンド!

 お互い大技を繰り出したものの二人の力が互角の為にお互いの体が同時に吹き飛んだ。

グレイ:なかなかしぶといな・・。

トーマ:それはこっちの台詞だ。

 二人は立ち上がると翼を広げ空に一気に飛び上がり空中戦を始めた。

トーマ:フェザーフロスト!!

グレイ:ダマールスピン!!!

 二人が大技を繰り出す度に地響きや雷が起こり始め暗雲が立ち込め始めた。

グレイ:まだまだ・・俺にはダマールの末裔として死ぬわけにはいかない。

トーマ:・・・お前に王座は渡さない。

 お互い弾き飛ばされながらも何度も立ち上がり決着がなかなかつかない様子だった。
 
 トーマとグレイの体力も残りわずかなのも見ていて明らかだった。

 痺れを切らした体の中のバレンタインが「最後の攻撃でわしの力を全力で出す、お主も出すんじゃ」と言われ、トーマは了承したとばかりに大きく頷いた。

グレイ:これが最後の一撃だ。

トーマ:同じく。この命が燃え尽きようともお前を倒す!

 二人が武器を構えると地面から粉塵が舞い上がり渦が巻くように風が巻き起こり始めた。

タカ:これは・・?!メルみんなを盾で守ってくれ。
 
メル:かしこまりました。ダンデリオンの鉄壁!
 
 メルの盾が大きくなるとタカール達の前に大きな壁が出来た。

 トーマとグレイがぶつかり合うと大きな竜巻が天空まで伸び、怒号を響かせながら雷鳴が轟いた。
 
メル:みんな吹き飛ばされないようにお互い手を手を繋ぐんだ。
 
サクラ:晴さん!
 
晴:はい、テル、あれさんも!
 
テル:おう!

ニコラ:あれっくす、ルチカと!

あれっくす:はい!
 
ルチカ:メルは盾と槍持ってて無理だからタカール様と・・。
 
 タカールは「俺も?」と虚を突かれた顔をしたがルチカと手を繋いだ。

 そしてそれぞれ手を繋ぎながら全員上空を見上げた。
 
 竜巻の頂上では稲光と共に大きな衝撃が走ると、地面に大きな雷が落ち同時に竜巻が吹き飛んだ。
 
 するとトーマとグレイが地面に落ちて来るのが遠目でも見えた。

つづく
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