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第六章 いでよ!太古の剣!
第一話 メガ男の幻聴
しおりを挟むビーナスが自身の命を燃やし石化した人々を救い、壱乃と一緒に消えたギア子の行方も分からずメガ男は自分の無力さに打ちひしがれていた。
ギア子がいなくなった後に首相は殺され、主要な政治家は殆どは連絡がつかず、防衛大臣の一兄が一時的に首相代理に就任した。
一兄は合間を縫って妹の晴と親友のあれっくすの捜索も行いながら政治の活動も行い忙殺の日々を送っていた。
そんな中、ギア子の捜索は澄玲と朱美が行うと約束はしてくれた。
メガ男はというと周りから見ても明らかに意気消沈していて一人にしておけないとしばらく越褌の家に身を寄せていた。
メガ男を勇気付ける為にゆきや美奈子やぺんちゃんが交代で越褌の家へ足を運んでいた。
ゆき:こんにちわ、大家さん!
越褌:ゆきさんいらっしゃい。いつも元気だね。
ゆき:三人の息子を育ててますからね。今日の差し入れはラザニアですよ。それでメガ男さんの様子はどうですか?
越褌:いつも通り。ギア子ちゃんの行方がまだ分からなくてね・・・声をかけて行ってくれないか。
ゆき:はい。
ゆきは「お邪魔します」と一言断り、廊下の先の居間にいるメガ男の悲しそうな背中を見て軽くため息をついた。
ゆき:メガ男さんこんにちわ。今日はラザニア作って来ましたよ。
メガ男:こんにちわ、ゆきさんいつもありがとうご馳走になります。
メガ男はソファに座ったまま頭を下げた。
越褌:ゆきさんお茶を入れるから座ってて。
ゆきは「はーい」と言いながらメガ男が座ってるソファの隣にある一人がけの椅子に座った。
ソファの向かいのあるテレビからは首相代理の会見が流れていた。
記者:首相代理!議員の方々はパーティに出席した際に何か粉をかけられ石のように硬くなって動かなくなったって話は本当ですか?
首相代理:現在調査中です。
記者:宇宙からの侵略ではないかと噂されてますがそれについての見解は?
首相代理:そんな事実はありません。
記者会見では一兄に浴びせられる質問は返答し辛い事ばかりが繰り返されていた。
最近の時間は今までにない奇怪な事件が多発しており、記者達はもしかしたら宇宙人の仕業ではないかと疑い始めていた。
記者の質問に対し首相代理の一兄は悉く調査中と事実はないの一点張りだった。
越褌:一兄さんも大変だね。ゆきさん、お茶うけに近所のおばちゃんから十万石饅頭を貰ったから食べてって。あ、それとメガ男くんの服がクリーニングから戻って来たよ。
越褌がソファの背もたれにビニールに入ったいくつかの服を置いたのだった。
メガ男:大家さんの服を借りたままですみません。ギア子の事を思い出すからあの部屋には戻れなくて・・・。
ゆき:大家さんのステテコ似合ってますよ。ギア子さんが見たら笑うかもしれいですけど。
越褌:わしゃ構わんよ。大切な人がいなくなる気持ちは分かるからな。ギア子ちゃんが見つかるまでいつまでも居座ってくれ!わはははは!
メガ男:ありがとうございます。ちょっと着替えて来ます。
メガ男がクリーニングした服を手に持った時だった。
???:・・・き・・・ま・・・か。
メガ男は服から微かに声が聞こえてくるのに気がついた。
メガ男:ゆきさん!テレビ消してください!!!
ゆきは慌ててリモコンを手に取りテレビの電源をオフした。
メガ男は声が聞こえて来た服を手に取りビニール袋をビリビリと破き乱暴にハンガーから服を外しポケットに手を突っ込んだ。
その様子を見ていたゆきと越褌はメガ男がとうとうおかしくなったのではないか?と遠巻きに見ていた。
メガ:服から声が聞こえて来たんです・・・これだ。
越褌:メガ男くんどうしたんだい・・・まさか幻聴まで聞こえてくるようになったんじゃ。
メガ男がポケットから出したのはビーナスが付けていたイヤリングだった。
つづく
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