満月に吼える狼

スピンオフ ダンデリオンの花嫁

第十一話 サイズ特攻隊長ピネ

　ピネとは同じ騎士団というのもダイナムの父とも顔見知りだった。
　
　ダイナムの父は話せば分かると思いギア子を返すよう問いかけた。

ダイナムの父:ピネ何をしてるんだ。赤子を今すぐ病院に戻そう。

ピネ:ダイナムお前来ていたのか・・・。

ニヨルド:嫌だって言ったら？

　ニヨルドは不適な笑みを浮かべながら赤子を抱いていた。

ダイナムの父:力尽くで奪い返す。それにこれは国家反逆罪だぞ。ピネ、分かってるのか！

ピネ:我らダマールの末裔・・・粛々と反旗を翻す時を待ちわびていた。それが今なのだ。ニヨルドここは私に任せて門へ。

ニヨルド:分かったわ。

ダイナムの父:逃がさない！

　ニヨルドが赤子を抱いたまま丘を駆け上がるのを見て引き留めようとした時、いきなり後ろから怒号が聞こえて来た。

おおかみ:お前達！俺の娘をどうするつもりだ！！！

　振り向くと白い翼をはためかせながらおおかみは怒り心頭の様子でダンデリオンスタッフを一振りし幾つもの羽がニヨルドの足元に突き刺さした。

ニヨルド:ひっ？！娘に当たっても知らないわよ！！！

おおかみ:ダイナムお前まで加担していたとわ！

　今の状況だとニヨルドとダイナムの父が一緒に逃げようとしてると見える位置だった。

ダイナムの父:ち、違います！ギア子様を救い出そうとしていたのです！

ピネ:嘘をつけ！ニヨルドと一緒に門の中に入るつもりだったではないか！おおかみ様ここは私にお任せ下さい。

　ピネが先ほど合流したかのように息を荒くしながら跪いた。

おおかみ:ピネ、来てくれたのか助かる。私はニヨルドからギア子を救う。お前はダイナムを頼む。

ピネ:御意。

　ピネは背中のサイズと言われる大鎌を手に取り一振りするとニヤリと笑った。

ダイナムの父:ピネ・・・お前・・・こんな事をしてただで済むと思うなよ。

　ダイナムの父は刀を手に取り構えた。

ピネ:かかって来い。

　ダイナムの父は汚名を濯ぐ為にも何としてもピネを倒すしかない状況に陥っていた。
　
　ダイナムの父は必死で攻撃していたがピネの方は逃げてばかりでまったく攻撃してくる気配がなかった。

ダイナムの父:一体どういうつもりだ・・・。　
　
　その時にダイナムの父は気がついた、ピネは端から自分と戦うつもりがなかったと。

　よく見るとダイナムの父は大技を繰り出していた為に王とかなりの距離が離れてしまっていた。

ピネ:ダイナム・・・お前には王殺しの罪を被って貰う。

ダイナムの父:なんだと？！

ピネ:ダマールダッシュ！！

　ピネはニヨルドを追いかけていたおおかみの元へ瞬時に移動して後ろから大鎌で背中を刺し魂を搾取し始めた。

ダイナムの父:おおかみ様！！！！！トルキエの砂嵐！！

　ピネはダイナムの父の攻撃を避けきないと思ったのか慌てて大鎌を引き抜くと王を足で蹴飛ばした。
　
　おおかみはその勢いのまま地面に叩きつられ、ピネはダイナムの父が作った砂嵐の中でもがいていた。

　ダイナムの父はすぐさま王の元に駆け寄った。

ダイナムの父:おおかみ様！お気をしっかり！

おおかみ:ダイナム・・お前を疑ってすまない。私なら大丈夫だ。ギア子を・・・先に。

ダイナムの父:はい。ここでお待ちください！

　丘を駆け上がりながら赤子を抱いて必死に逃げるニヨルドをダイナムの父は追いかけるのであった。

つづく