満月に吼える狼

パピコ吉田

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スピンオフ ダンデリオンの花嫁

第十話 ダマールの末裔

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 頼電はグレイが宮殿を制圧した日から体調も悪かったのもあったが寝付けずにいた。
 
 そんな中でダイナムはいつも頼電の側について看病したり世話をしていた。

頼電:ねえ・・・ダイナム。僕はお母さんとお父さんとまた会えるのかな?

ダイナム:きっと会えますよ。

頼電:本当に?!待ちきれないなあ。でもいつ?

ダイナム:・・・もう少しです。

 ダイナムは無意識的に頼電から視線を背けてしまった。

頼電:・・・ダイナム。宮殿で前に聞いた事があるのだけだ、あの噂は本当なの?ダイナムのお父さんがお母さんを誘拐してお爺ちゃんをその・・・殺したって・・・。

 頼電はだいなむの背中に問いかけた。

 ダイナムは頼電の方に振り向くと表情は悲しげだった。

 頼電聞いてはいけない事だったと思い慌てて謝った。

頼電:ごめんなさい・・・変な事をきいて。

 ダイナムは頼電の手を優しく握りしめ「私の事を信じてくれるならお話します」と優しく微笑んだ。

頼電:うん、ダイナムの事信じるよ。聞かせて。

ダイナム:頼電様・・ありがとうございます。少し長くなりますが聞いて下さい。

頼電:うん。分かった。

 ダイナムは記憶を呼び覚ますように目を閉じると、自分がまだ宮殿に来たばかりの頃の事を思い出していた。

ダイナム:私の父のダイナムはダンデリオン騎士団の諜報部隊長だった。私はエマ様に弟子入りしていて宮殿に既に仕えていたんだよ。

頼電:待って!お父さんもダイナムって名前なの?

ダイナム:うちは珍しく代々同一通名なのです。

頼電:へえ、なんだかカッコいいな。あっ!ごめん、話の途中だった。

ダイナム:大丈夫ですよ。では、話の続きです。。父は任務で不在の事が多かったのですがその日は大怪我したおおかみ様と一緒に宮殿に戻って来たんだ。

頼電:おおかみ様って僕のお爺ちゃんの事?

ダイナム:はい・・そうです。おおかみ様はかなりの深手を負っていたらしくすぐに治療に入りました。父は私の部屋に来くると人目を気にしながら話し出しました。

ダイナムの父:息子よ、もしもおおかみ様に何かあれば私が疑われるだろう。その為にもトルキエの弓を持って地球にいるタカール様のところへ今すぐ行かなくてはならない。

ダイナム:父さん何があったの?疑われるってどういう事?

 ダイナムの父はかなり焦った様子で矢継ぎ早に地球で起きた事を話し出した。
 
 当時、ギア子が産まれたばかりだった。

 タカールがおおかみ様にアリュバス星で不穏な動きがある事を話す間、ギア子を安全な場所に移動するようダイナムの父は頼まれていた。

 だが実際、新生児室に行くとギア子は不在だった。

 ダイナムの父は慌てた。

 ギア子が生まれた事を嗅ぎ付けられる前にダマールの末裔から守るはずだったからだ。

 ギア子が寝ていたと思われるベッドはまだ暖かかった。

 ダイナムの父はすぐさま病院の屋上に上がり周囲を見渡した。

 すると見慣れた人物が病院の敷地内から何かを抱えながら走っていく姿が見えた。

 ダイナムの父は気づかれないよう後を付いて行くとルーチェの門の近くの丘だった。

 その頃はハッシュタルト城下町に設置された門から地球への往来も多く、商人達は許可されれば通る事も可能だった。

 そして丘の上に一人の女性が待っていた。
 
 それはダマールの末裔と噂されていたニヨルドだった。

ニヨルド:ピネ遅かったわね。あの女の子供は連れて来たの?

ピネ:ああ、すまない。遅くなったのはタカール様が来ていたせいだ。

ニヨルド:なんですって!タカールめ・・・何を企んでるのかしら。まあ良いわ・・・この赤子をどうてしてくれようか・・・ふふふ。
 
ピネ:急ぐぞ。追手が来るかもしれん。
 
ニヨルド:分かってるわよ!

 それから二人は商人の服に着替えだした。
 
 一部始終を見ていたダイナムの父はサイズ特攻隊長のピネも加担してる事を知るのであった。

つづく
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