満月に吼える狼

スピンオフ ダンデリオンの花嫁

第八話 セラのお願い

　セラは早速ルーチェの門を開けるべく翌日の朝食後に周りの人に見つからぬようにダイナムにメモを渡した。

　“夜半に錬金の間にて待つ”

　セラはダマール兵に気がつかれないようエマに術をかけて貰うと部屋を抜け出し錬金の間にやって来た。

　部屋の中は薄暗くまだ誰も来ていないようだった。

　「ダイナム・・来るかしら・・・」

　セラは危険と知った上でこに来たもののダイナムが来てくれるのか不安で仕方なかった。

　念の為に月明かりでセラの姿が認識が出来るように窓際のソファに座って待つ事にした。

　少しすると扉が鈍く開く音が鳴った。

ダイナム:セラ様いらっしゃいますか？

セラ:ダイナム、来てくれたのね良かった。

　ダイナムは部屋に入るとセラの前まで来て跪いた。

ダイナム:セラ様、私のした事をお許しして下さいとは言いません。ですがセラ様と頼電様のお命を助ける為だったのです。私はどんな罰でも受けます。

セラ:ダイナム・・・ならばお兄様達の為にルーチェの門を開ける手伝いをして欲しい。お願い。

ダイナム:・・・ルーチェの間はダマール兵によって閉鎖されておりますが私に考えがございます。聞いて下さいますか？

セラ:もちろん聞かせて！

　ダイナムは一歩前に出てセラに耳打ちするのであった。

　ダイナムから計画を聞いたセラは実行に移すべく部屋に戻るとエマとサクラに話した。

サクラ:そんなに簡単にいくんでしょうか・・・。

エマ:ダイナムを信じるしかないようですね。

セラ:この作戦にはエルドラ村にいるツバキが率いる隊も必要になって来るわ。バレないように使い鳥を飛ばしてみます。

　その頃、ツバキはエルドラでバレンタインと打開策を練っていた。

バレンタイン:孫の為にどうにかしてやりたいものだが・・・。

　そこに使い鳥を肩乗せたロロがバレンタインの元へやって来た。

ロロ:宮殿にいるセラ様からメッセージが来ました！

　ロロが使い鳥の足元に付いていたメモをバレンタインに渡した。
　
ツバキ:セラ様は無事な印ですね・・バレンタイン様お読みになって下さい。

バレンタイン:ふむふむ。私達は今のところ普通に生活は出来ています。
　
ロロ:それだけ？
　
バレンタイン:いや、まぁだ続きがある。なになに？次の満月の夜にサクラとグレイの婚礼が決まっただと！！！？
　
ツバキ:何ですって？！
　
バレンタイン:それとルーチェの門を開けるのに手伝って欲しいと。

ツバキ:それは難しいかと・・・宮殿にはダマール兵がいて入れませんし、私達が隊を率いて戻ればサクラ様達の命もどうなるか・・・。
　
ロロ:どうするの？

バレンタイン:さてはて、この老いぼれが役に立つ日が来たようじゃ・・・。

　バレンタインは椅子から立ち上がり杖を床にドンと打ち付けツバキとロロに向かって長い白髭を撫でながらニヤリと笑うのであった。

つづく