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スピンオフ ダンデリオンの花嫁
第五話 母フローラ
しおりを挟むサクラとセラとエマは一緒にセラの部屋へ、頼電はダイナムと一緒にリョウの部屋へ、アキラ達は地下牢へ移された。
ツバキとコーネリアとダンデリオン騎士団員は宮殿敷地内から追い出され列をハッシュタルトへと移動していた。
コーネリア:ツバキよ、エルドラ村に行きバレンタイン様に助言を貰うのだ。ダンデリオン騎士団はマリと私が一旦預かろう。マリそれで良いな?
マリ:承知いたしました。
ツバキ:・・・必ずここに舞い戻ってきます。それまでよろしくお願いします。
ツバキは一礼した後に馬に跨り騎士団員の列から離れるとエルドラ村へと急いだ。
その頃、セラの部屋にいたサクラは先ほどの一件でかなり動揺していた。
エマ:サクラ様がフローラ様の娘だったなんて・・・そのお姿だと居心地が悪いでしょう今すぐ元の姿に戻しますね。
セラ:サクラさん大丈夫?とりあえず着替えましょう。
サクラ:はい・・・。
「・・・お母さんどうして私に何も教えてくれなかったのかしら」
サクラがセラに勧められた服に着替え始めると首から下げてあるロケットペンダントにセラが気がついた。
セラ:このペンダントには誰の写真が入ってるの?
サクラ:これは死んだ母の形なんだけど固くてまったく開かないんです。
エマ:サクラ様、そのペンダントを私に見せて頂けませんか?
サクラ:はい。
サクラは首からネックレスを外すとエマに渡した。
エマがもしやと思いペンダントをじっくり見始め、開封の呪文を唱えるとペンダントが徐々に開き始め三人の目の前に等身大の一人の女性が飛び出して来た。
フローラ:サクラ・・・これを見てるという事はアリュバス星に来てしまったのね。私はエルドラ村にいるバレンタインの娘のフローラよ。
サクラは突然目の前に現れた母の姿を見て「お母さん!!」と思わず叫んだ。
だがフローラはサクラには反応せずに話を続けていた。
フローラ:私はエルドラ村を出てから宮殿に向かう最中に盗賊に襲われた。それからどこかに連れて行かれて牢屋に入れられたの。
エマ:フローラ様・・。
フローラ:死を覚悟しながら何日も牢屋で過ごす中、見張りの男性と自然と何気ない会話を交わすようになっていき色々とお互いの事を話すようになったわ。
フローラ:見張りだった彼はワイズ農場で下働きをしてたそうだけど、稼ぎが良い仕事があると誘われて襲撃の手伝いをしたと言っていたの。
フローラ:私を殺す役目も任せれてたと言っていたけど、彼はそんな事は出来ないと牢屋の前でずっと悩んでいたと言ってくれた。そんな彼が一緒に逃げて地球で暮らさないかと言ってくれた。
フローラ:私は生きてエルドラ村に帰りたかった。だから、私は彼と一緒に逃げる決意をした。翌日に私達は盗賊達の根倉から何とか逃げてハッシュタルトに向かったわ。
フローラ:無事にハッシュタルトに着いた時に商人に紛れ込み何とか地球に辿り着き名前を変え夫婦となった。あなたの本当の名前はアルメリアよ。サクラ、アリュバス星にいては危険よ。もしニヨルドがいたら生かしておかないはずだわ。
フローラ:もしも危険な目に遭ってるなら今すぐ逃げなさい。エルドラ村にいる父に助けて貰うのよ。サクラ・・・生きて。あなたの祖父の名はバレンタイン、忘れないで。
フローラは涙をこぼしながら目の前から消えていった。
エマ:フローラ様は呪文をかけないと開かないように仕込んでおいたようです。アリュバス星にもしも来た時の為に。
サクラ:お母さん・・・早く教えてくれれば・・・私、グレイの花嫁になるのは嫌よ・・・どうすれば。
セラはサクラを抱き寄せ兄のトーマが早く戻って来る事を祈るばかりだった。
つづく
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