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スピンオフ 反撃のダンデリオン
第二十五話 夜中の噴水にて
しおりを挟むテルがどうしても言うとトーマが何故そんなに行きたがるのか質問をした。
トーマ:テルはそういえば元は地球人だったな。本当の親に会いに行きたいのか?
テル:俺の本当の親はこの星の両親で地球には未練はない。だけど晴とあれっくすが行くなら俺も行く!
晴:テル本気で言ってんの?
テル:なんだよ!俺じゃ役立たずだって言うのかよ!
あれっくす:一緒に行けば良いんじゃないかな
タカ:まあ、私も別に構わないが。
あれっくす:だって連れて行かないって言っても当日絶対ついて来るよ。
晴:確かにやりかねない・・・。
トーマ:分かった。タカール様と私とあれっくすさんと晴さんとテルで行こうじゃないか。
コーネリア:やれやれ。ピネの息子がこんなにも頑固とは。先が思いやられますな。
テル:悪かったな頑固で。父さん譲りなんだきっと。あははははは。
テルの高笑いにその場が凍りついたのは言うまでもない。
晴は地球に行くメンバーに決まったもののなんだか眠れなくて夜中に宿屋を抜け出し噴水前のベンチに座って水の流れを静かに見ていた。
晴は全ての事が終わった後、地球で自分が何をしたいのか目標が分からなくなっていた。
自分らしく生きる事を考える為に満月荘に引っ越して来たが、アリュバス星に旅行に来てからはそんな事を考える暇がなくなっていた。
いざ地球に戻るとなって晴の気持ちは雑然としていた。
アリュバス星に来てからは地球では見られない景色や植物や動物、敵に追われる緊迫感、テントを張ってみんなで焚き火を囲んでの食事、地球に戻りたくて寂しくて泣いた夜もあった。
今思い返すとあれっくすとテルとメルやミミとマサやロンジと一緒に旅した事や、修行で白狼のパートナーが出来たりと地球では体験出来ない事の連続だった。
「お兄ちゃんやお母さんやお父さんに会いたい、でも地球に戻っても・・・)」
晴:はぁ・・・。
晴ため息ついたその時に遠くからブツブツ文句を言いながらテルが坂を上がって来た。
テル:晴どうしたこんな夜中に。
テルが息抜きに夜中によく来てるいる噴水広場に晴がいる事に驚いた様子だった。
晴:なんだか眠れなくて・・・。そういうテルはどうしたの?
テルが「聞いてくれよ!」と苛立ちながら晴の横にふんぞり返ってドサっと座り込んだ。
テル:アキラの特訓がやばいんだって。夕食後も特訓やらされるしさ、それに毎晩一緒に寝てるんだぜ?狭いテントに女と寝るって言ったら普通の男は喜ぶかもしれないけど、あいつ寝相悪いしパンチとかキックが飛んで来るんだよ!寝ながら特訓してるなありゃ。
晴:え、一緒に寝てるの?!
テル:お前はニコラとルチカと一緒じゃないの?
晴:知らないの?ハッシュタルトの人達が他へ避難してる間に空き家が多くなるからって隊ごとにグループ作って割り振って寝泊まりしてるって聞いたよ?私はサクラさんと同じ宿屋にいるけど。
テル:はぁ?なんでだよ!なんで俺だけアキラと一緒なんだよ・・!!!納得いかねえ。
晴:特攻隊長になる為じゃないの?でもアキラさんの特訓の成果出てるぽくない?
テルは晴に褒められて「そ、そうかな?」とニヤけ顔になっていた。
テル:お、俺の事より晴のはどうしたんだよ。どーせ眠れないし聞いてやるよ。
晴は上手く言葉が見つからず「うーん」と口を尖らしながら首を右に傾げた。
テル:お前もしかして地球に戻りなくねーの?
晴:戻りたい・・・でも・・・。
テル:でも?はっきりしねーな!
晴:なんだろう上手く言えないんだけど・・・今すごく自分らしく生きてる気がするの。地球にいる間は家族やお兄ちゃんや色んな人に守られて生きて来たから、なんというか今は一人で自分の足でちゃんと立ってる感じなの。
テル:ふーん。
晴:そういえばテルは地球にどうしてそんなに行きたいの?
テル:お前だから特別に教えてやるよ。
晴:はいはい。特別ね。
テル:真面目に聞けよ?俺は父さんに地球で助けてもらったんだ。地球の親父は酒飲みで暴力は当たり前、飯食うのも大変だし、母さんは嫌気がさして俺を置いて親父から逃げちゃったし。
晴:そうだったんだ・・。
テル:たまたま地球に任務に来てた父さんが町中で殴られるてる俺を見て助けてくれたんだ。父さんは数日間保護するつもりだったけど一週間経った時に養子にならないか?って言ったんだ。
晴:ピネさん優しい人だったんだね。
テル:嬉しかった。でも断ったんだ。
晴:どうして?!
テルはまっすぐ噴水の方を見て当時の事を思い出してるようだった。
つづく
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