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スピンオフ 反撃のダンデリオン
第十五話 我慢の時
しおりを挟む宿屋に行くとロビーにエマとダイナムが待っていた。
エマ:トーマ様、タカール様、おかえりなさいませ。
トーマ:ただいま戻りました。
ダイナム:ご無事で何よりです。
エマとダイナムはトーマ達が入って来ると無事帰還した事に安堵していた。
タカ:丁度良かった。エマ、その後、ビーナスから連絡はあったか?
エマ:タカール様・・・ギア子様がグレイに捕まったと連絡が来まして・・・それからビーナスからの応答がありません。
トーマ:ギア子が?!タカール様、ルーチェの門は開けられないのですか?ギア子を早く助けに行かないと。
タカ:私が生まれ変わる度にルーチェの天体が移動すると問題が起きる。同じ事が起きぬようルーチェの間に門と天体を固定したんだが、こんな形で裏目に出るとは・・・。
ダイナム:とすると、やはり宮殿まで行かねばならないのですね。
トーマ:私も飛んで門まで行けない事はないが、この翼は目立ち過ぎて途中で見つかってしまう。
タカ:困った事になった。
エマ:ハッシュタルトを解放して宮殿を包囲すれば何とかなるのではないでしょうか?他に動ける隊はないのですか?
トーマ:この里に来てからサイズ特攻隊に助けを頼んでいるんだがテルが試練の里から出て来るまでは動かないの一点張りだ。
ダイナム:トマホーク特攻隊はノクト様の隊と合流してましたが、ネイザン村とポルテナ村を解放すればハッシュタルトに戦力を集中する事は出来ると思うのですが。
タカ:うむ。ギア子の事は心配だがしばらく持ち堪えて貰うしかあるまい。それとこの事はサクラには黙っておいた方が良さそうだ。
トーマはサクラに対して隠し事をするようで後ろめたかった。
だが、助けに行けない現状、地球での事を伝えてもサクラにとって不安材料にしかならないと思い暫くは様子を見る事にしたのであった。
一週間後にネイザン村とポルテナ村を解放すると、ハッシュタルトを解放する為にトーマ達は会議室に集まっていた。
会議にはメルとニコラとルチカとも参加していた。
ツバキの使い鳥が寄こした情報によるとシエンが指揮を執りハッシュタルトの出口から宮殿までの道を完全に封鎖しているとの事だった。
トーマ:そういえば・・ノクトの姿が見えないが。
ニコラ:今のままでは「シエンに勝てない!」って恩師のところへ必殺技を教えて貰うって言って、私達に隊を預けて先日、旅立ちました。
タカ:仇を討ちたいのは分かるが。そんなにすぐに覚えられるものでもあるまい。
メル:となると・・・私の隊とニコラとルチカの隊がハッシュタルトに行く事になるな。
ルチカ:そうなるね・・・頑張る。
トーマ:今度は私も行こう。さすがにずっとここに隠れてる訳にも行くまい。
コーネリア:トーマ様,それは無謀ではないですかな。リョウ様も亡き今、トーマ様までがいなくなるとグレイ様の思う壺ではないでしょうか。
メル:トーマ様、宮殿までの道が出来るまでは我慢して下さい。
エマ:トーマ様が無理をなさるとサクラ様の神経も持ちません。セラ様もトーマ様に何かあったら・・・。どうかここにお留まりを。
タカ:うむ。メル達を信頼してここは待つしかない。
周りの者達に諌められトーマはハッシュタルトへの出撃を断念した。
トーマ:分かりました・・メル、ニコラ、ルチカ頼むぞ。
メル達は「お任せを」とトーマの前に跪いた。
その言葉にコーネリアとエマは胸を撫で下ろすのであった。
そして翌日にメルとニコラとルチカは宮殿を奪還する足掛かりにする為に、ハッシュタルト解放に向けて進軍を開始するのであった。
つづく
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