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第五章 衝撃!母との再会
第十三話 復讐の壱乃
しおりを挟むその頃、ギア子と壱乃は墓参りを済ませ、幼き日によく来ていた千畳敷から海を見渡していた。
壱乃:ギア子が小さい頃によく散歩しに来てたわね。
ギア:うん、覚えてる。
壱乃は懐かしむようにたわいも無い会話をしていたがギア子は事の真相を知る為に母に問い正した。
ギア子:お母さん、いなくなったあの日、何があったのか教えて欲しい。
壱乃は遠い過去を思い出すかのように空を見上げていた。
壱乃:・・・あの日ね。実は家を出る決意をした日にグレイさんに声をかけられたの。
壱乃は仕事の帰りに見知らぬスーツを着た男性に声かけられた。
その姿は地球人離れした長髪の銀髪をまとっており、おおかみと同じ星の人だと壱乃は一瞬で悟った。
壱乃:あなたもしやアリュバス星の人?もしかして、おおかみが戻って来てるの?
男性:はじめまして。私はグレイと申します。実はあなたに真実を伝えたくてここまでやって来ました。
壱乃はおおかみがかれこれ十年年以上現れないのは何かあったに違いないと思っていた。
そこへグレイが現れた事に壱乃はおおかみの使者だと思い込み、やっと迎えに来てくれたのだと勘違いしていた。
グレイ:明日の同じ時間にそこの喫茶店でお待ちしております。
壱乃はおおかみにすぐ会えると思っていたのでグレイの言葉にガッカリした。
そして翌日に壱乃は母にギア子を任せ言われた喫茶店へと足を運んだ。
時間より早目に店内に入るとグレイはまだ来ていなかった。
コーヒーを飲みながら待っているとグレイが一人で現れた。
グレイ:少々遅れましたすみません。
壱乃:あのぉ。おおかみは来てないんですか?おおかみは元気ですか?
矢継ぎ早に質問する壱乃に対してグレイはゆっくりと説明し出した。
メサ:おおかみ・・・王はアリュバス星で元気に暮らしてます。真実というのはあなたの娘さんが誘拐された件です。
壱乃:おおかみは元気なんですね良かった。誘拐された件とは?
グレイ:実は娘さんが誘拐を命令したのはタカールという男です。ご存知ありませんか?
壱乃:そんな訳ありません!タカールさんは私とギア子を追手から逃してくれた方で命の恩人です。
タカールが誘拐の首謀者と言われ壱乃は戸惑いを隠せなかった。
グレイ:本当の事です。タカールはギア子さんをアリュバス星で育てようと誘拐を企てたのです。
壱乃:そんな筈はないわ!! おおかみがタカールさんは信用出来る人だって言ってたもの。
グレイ:王もその事を知ってたとしたら?
壱乃:・・・おおかみは誘拐犯から必死でギア子を救ってくれたのよ、あんなに傷だらけになって・・・。そんなわけない・・。
グレイ:まだ分からないのですか?
壱乃はグレイの言葉に混乱をしていた。
グレイ:王は途中で気がついたのです、アリュバス星に前の王妃の子供達が待っている事を。なのであなたにギア子さんを預けると、自分の家族の元へと帰ったという訳です。
壱乃:それって私とギア子は捨てられたって事ですか・・・。
グレイ:結果的にはそうなりますね。
壱乃:許せない・・・帰って来るとばかり思ってたのに・・・アリュバス星で前の王妃の子供達と元気にしてるだなんて・・・ギア子になんて言えば・・・。
グレイ:どうでしょう。王やタカールに一矢報いる気はないですか?あなたの気持ち次第ですがお手伝いさせて貰いますよ。
壱乃:この十数年どれだけおおかみを待ちわびた事か・・・まさか裏切られていたなんて。
壱乃は涙を浮かべながら憎悪を膨らせていた。
壱乃:どうすれば良いか教えてください。
グレイ:私に良いプランがあります。まずは、貴方一人で私のところに来て下さい。話はそこからです。
壱乃:一人で?ギア子は連れてってはダメなのですか?
グレイ:娘さんに復讐する姿を見せたいですか?
壱乃:そんなの見せられるわけ・・。分かりました。ギア子は母に預けます。
グレイ:では、決まりですね。明日またこちらでお待ちしてます。
壱乃はグレイの言う通りギア子を置いて翌日に家を出る決意をしたのであった。
つづく
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