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第五章 衝撃!母との再会
第七話 深夜の埠頭
しおりを挟むバンから降りたものの時間は深夜だった事もあり、人の気配は全く見受けられなかった。
ギア:本当にここが待ち合わせ場所なんですか?
朱美:先輩から送られて来た場所はここなんですが・・。
瑳呂紋:まったく人気がない場所だなあ・・・。
メガ男:さすがに何か落ち着かないですよね。
ぺん:一兄どうなってるだすか?!
一兄:もう少し待ってみよ。
ギア子達は暗がりの中で不安な気持ちでいっぱいだった。
五分くらいすると遠くから車の音が聞こえて来た。
一兄:そろそろお出ましかな?
よく見ると何台ものパトカーが入って来てあっという間にギア子達は警官に囲まれる形になった。
瑳呂紋:なんだか物騒な雰囲気になって来たな。
最後に到着した黒塗りのセダンの車から偉そうな雰囲気な男性が降りて来て一兄の前までゆっくりとした足取りでやって来た。
すると朱美が一歩前に出た。
朱美:落宮警視総監お疲れ様です。出根部署の朱美です。澄玲刑事課長の伝言通り、全員こちらにお連れしました。
落宮:うむ、ご苦労。
報告が終わると朱美は一兄の後ろへと下がった。
一兄:こんな夜更けに警視総監がわざわざ来るとは只事では無さそうですな。
落宮:これはこれは防衛大臣わざわざご足労ありがとうございます。いやいや、テロリストがいるとなればこちらもそれなりに対応するしかないでしょう。
ぺん:わ、わだす達のどこかテロリストに見えるんだすか!!!
テロリストというワードにギア子達は憤慨していた。
一兄:・・・・。そこまで言うならば根拠があるんですか?
落宮は口の端をくっと上げると勝ち誇ったような顔した。
落宮:タブレットを渡してやれ。
落宮の背後で待機してる警官が持っていたタブレットを一兄に手渡した。
一兄がタブレットを受け取り画面を見ると瑳呂紋達がビルから出てきてバンに乗り込む様子が写っていた。
一兄:これはバンに乗り込むところだけの動画を切り取ってるだけですよね?容疑者扱いにするには捜査が杜撰過ぎませんか?
落宮:ですが、他の方達は全員石化しています。どうしてその人達だけ逃げられたんでしょうね?
落宮は嫌味たっぷりに言い放つとギア子達へと視線を注いだ。
ぺん:どうせ説明しても分からないだすよ。
ぺんちゃんが落宮に食いかかるように一歩前に出た。
落宮:説明が出来ないという事はこちらの見解が合ってるんじゃないですか?
ギア:ぺんちゃん、とりあえず私達の話も聞いて貰おうよ。
瑳呂紋:そうだね。このまま容疑者にされるのはさすがに一方的過ぎる。
一兄:ここは私に免じて後で報告をあげるという形ではいけませんか?誰も逃げるわけではないですし。
朱美:私もついてますので警視総監どうでしょうか?
落宮は少し考えるとわざとらしく一つ咳をし、ある提案をして来た。
落宮:ここは交換条件といこうじゃないですか。素直に私達に容疑者を渡して貰えれば手荒な真似は致しません。
メガ男:もし、拒否したらどうなるんですか?
落宮:これだけの警官に囲まれてる状態で無罪放免で帰れるとでも?
ぺん:だーかーら! わだす達は何もしてないだすよ。
落宮:釈明するなら一緒に来いと言ってるのが分からないのか。ったく。
ギア子達の言葉にまったく聞く耳を持たない落宮に対し押し問答が始まった。
すると後方から「やれやれ、ここまで包囲していて捕まえられないとは警視総監って肩書きも大した事ないですねえ」と、ため息まじりにグレイが現れた。
突然現れたグレイの姿を見た落宮は慌てふためいていた。
落宮:き、君は来ない筈だったのでは。
グレイ:来ない予定でしたよ。でも、約束した時間になっても何も音沙汰が無しじゃさすがに来るしかないでしょう。
グレイは苛立ちを隠せない様子で落宮を睨みつけていた。
一兄:落宮さんグレイさんと何か関わりがあるんですか?
落宮は一兄の質問に答えられず言葉に詰まっていた。
グレイ:しょうがないですね。私からお願いしましょう。ギア子さんをこちらにお渡し頂けませんか?
メガ男:お前の目的はギア子だったのか!ギア子は渡さない!
ぺん:そうだす!なんでギアっちを!
落宮:これだけの警官に囲まれてもまだそんな事言えるのか!
落宮は警視総監としての威厳を保ちたいのか警官達に構えの合図を出した。
するとホルスターから銃を抜く音が次々と聞こえ警官達がギア子達へと向け始めた。
グレイ:また物騒な。ギア子さんを安全に受け渡して欲しくてあなたに頼んだのにこれじゃ意味がないじゃないですか。困りましたね。
グレイは誰かに合図を送るようにすっと手を挙げた。
つづく
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