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スピンオフ 騎士団への道
第十話 晴の恋
しおりを挟む晴は食後にやる事もなく城内から見える庭園のベンチでぼーっとしていた。
テル:なあなあ。あれっくすとメルって良い雰囲気だよな。まだ喋ってるぜ?
テルが隣に来てベラベラと勝手に喋り出した。
晴:地球人が珍しいんじゃないのかな、たぶん。
テル:ふーん。暢気だなおまえ。俺は知らないぜ。
晴:何の話?
テル:晴もわかってるだろ? 俺は騎士団の人に稽古つけて貰いに行くわ、じゃなあ。
テルは鼻歌混じりで稽古場所へと消えていった。
テルが言いたい事は晴には重々分かっていた。
確かに告白するなら出発前がちょうど良い。
出発までにまだ時間はあるし二人きりになろうと思えばなれる。
テルに言われて告白するのも癪だったがこれがチャンスだと思い決行する事にした。
あれっくす:晴さん話って何?
晴は夕食後に夜の庭園にあれっくすを呼び出した。
晴:えっと・・・何か私でもやれる事ないかなと思って。
いきなり告白する勇気がない晴は軽く世間話から始めてしまった。
あれっくす:みんながやってくれてるから大丈夫だよ。もしかして何か不安な事でもある?
晴:まあ、少しは・・。
あれっくす:ルートも決まったし、後は突き進むだけだよ。メルさんからも色々話は聞いたけど不安な気持ちは僕も同じだよ。
あれっくすの口からメルの話題が出ると晴はテルの言葉を思い出した。
『あれっくすとメルって良い雰囲気だよな』
その言葉が脳裏に嫌に張り付いていて勇気を出して言うなら今だと自分を奮い立たせた。
晴:あれさん・・・あの、突然ごめんね。私の事どう思ってますか!
言った瞬間に晴は顔から火が吹くかと思うくらい一気に体温が上がった。
あれっくす:まいったな・・・晴さんの事は可愛いし好きだよ。
晴:ほ、ほんとに⁈
晴はそれを聞いて心が一瞬躍ったが、あれっくすの表情を見ると困った様子だった。
あれっくす:うん、でもそれは妹としてなんだ。
晴:妹ですか・・・。
あれっくすに妹のように大事には思っているが、恋愛対象としては考えられないと言われた晴はショックを隠しきれなかった。
あまりにも落ち込んでいる晴にあれっくすは優しくしてくれたが、それが逆に晴にとっても辛くて涙が止まらなかった。
少し落ち着いてからあれっくすに一緒に部屋に戻ろうと言われたが少ししたら戻ると言って庭園のベンチで佇んでいた。
すると隣にテルが来て黙って座った。
晴:な、何よ。笑いに来たんでしょ・・・どうせ。振られてざまあみろって。
テル:笑ったりしねえよ。俺が告白させるように仕向けたのもあったしな。
晴:いつかは告白しようと思ってたからテルのせいじゃないよ。
テル:そうだったんだ・・。早く分かって良かったんじゃねえの。それにこれからもっと良い男が現れるかもしれねーしな‼︎
晴:そんな人どこにいるのよ。
テル:例えば俺とか。
テルは少し照れ臭そうに自分を指をさした。
晴:ちょっと笑わせないでよ。
テル:晴は笑ってる顔の方が可愛いぜ。
晴:え? ありがとう。
晴はテルの言葉が素直に嬉しくて微笑んだ。
テル:じゃ俺寝るわ。おやすみ‼︎
晴の笑顔があまりの可愛くてテルは顔がニヤけてるのを隠すようにダッシュで走って行ってしまった。
つづく
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