満月に吼える狼

パピコ吉田

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スピンオフ 騎士団への道

第一話 飛ばされた浜辺

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 あれっくすと晴はルーチェの門をくぐった瞬間に周りの景色が歪み突然地面に放り出された。

晴:いたたた・・・。

あれっくす:晴さん大丈夫? ここ・・一体どこだろ?

 本来ならば満月荘の一室に戻るはずだったが周りを見ると浜辺だった。

晴:うーん、知らない場所だけど・・・地球のどこかに飛ばされたのかな・・。

 砂を払い落としながら晴は立ち上がった。

あれっくす:怪我はないようだね。ほらあそこ‼︎ 誰かいるみたいだ。行ってみよ。

 あれっくすが指す方を見ると漁が終わったばかりなのか船の周りに人だかりが出来ていた。

晴:とりあえず電話を借りてお兄ちゃんに迎えて来て貰わなくちゃ。

 晴とあれっくすは人だかりの方へ歩き始めると周辺の景色に違和感を感じ始めた。

晴:なんかおかしくない?

あれ:ここは地球じゃないかも・・・。

 人だと思っていたが近くに行くと白い毛に全身覆われていた獣達が魚の選別をしていたのだった。

 獣達が晴とあれっくすに気が付き一斉に振り向いたのを見てここはアリュバス星だと再認識した。
 
獣:お前達・・・魚買いに来たのか?

晴:いやあ・・・魚はいらないんですけど。

あれっくす:すみません。つかぬ事をお聞きしますが・・宮殿の方に連絡する方法はありますか?
 
晴:出来ればすぐ戻りたいんです。

 獣達はそれを聞いて笑い出した。

獣:宮殿はここからかなりの距離があるど。

 晴とあれっくすはそれを聞いて戸惑った。

晴:あれさんどうしよ・・・。

獣:それなら町の中心部にいる行商のタブリンに声かけてみれくれ。
 
あれっくす:えっと、タブリンさんは何を売ってる方ですか?
 
獣:タブリンはポーションや変わった雑貨を売ってるからすぐ分かると思うど。
 
晴:えっと、タブリンさんがいるのはこっちですか? それともあっち?
 
獣:そこの坂を登ったところだ。

 獣がタブリンがいる方向を指をさした。

晴:ありがとうございます。

あれっくす:晴さんタブリンさんに会って宮殿に戻れるか聞いてみよう。
 
晴:うん‼︎

 二人は獣に言われた通り町の中心部へと歩き出した。

 港から坂を登ると住宅がいくつか増え始め、段々と街並みが賑やかになり、お店がいくつも立ち並ぶのが見えた。
 
 お店をそれぞれ見て歩いているとポーションや雑貨を売っているタブリンらしき人を見つけた晴だった。

晴:あれさん、あの人じゃない?

あれっくす:声かけてみようか。

 近づくと向こうが先に気がつき声をかけてきた。

タブリン:おやおやこれはこれは。地球の方がまたどうして。ギア子様のお友達ですか?

晴:はじめまして。ギア子さんの友人で晴とあれっくすといいます。良かった話の分かる方がいて。

あれっくす:実は地球に戻ろうとしてルーチェの門をくぐったら、そこの浜辺に落とされたんです。出来たら宮殿にいる方にご連絡して貰えないでしょうか?

タブリン:途中で?・・・宮殿で何かあったのかしら。使い鳥を送って聞いてみます。とりあえず私の叔父の家に行きましょう。

 タブリンは慌てるように近くにあった馬車に荷物を積み込むと晴達に荷台に乗るように言った。

 二人は言われるがまま荷台に乗りタブリンの叔父の家に向かった。

 家に着くと二人は居間に案内された。
 
タブリン:狭苦しい場所ですが適当に座って待ってて下さい。
 
 するとタブリンはそそくさと家の外へと出て行った。
 
 しばらくするとタブリンか戻って来たが浮かない顔だった。

タブリン:お待たせしました。荷物を整理しながら先ほど送った使い鳥を待っていたのですがまだ戻って来ないんです・・。

晴:えっと、今までそういう事ってあったんですか?

タブリン:いいえ、必ずエマ様からお返事がすぐに来るのですが・・・もしかしたら何かあってお返事が出来ないのかもしれません。とりあえず明日まで待ってみましょう。
 
あれっくす:分かりました。
 
タブリン:それと今夜は是非うちに泊まってください。宮殿とは違って大したお食事はご用意は出来ませんが、それでもよろしければ。
 
晴:助かります。
 
あれっくす:ご厚意に甘えさせて貰います。

 二人は宮殿からの連絡を待つ為にタブリンの好意で泊まらせて貰う事になった。

 翌朝、晴れが起きて居間に向かうとタブリンが既に起きて朝ご飯の支度をしていた。

タブリン:晴様おはようございます。

晴:おはようございます。私は王族でも何んでもない一般人ですからあれっくすと共に呼び捨てで大丈夫です。
 
タブリン:かしこまりました。では、晴さんとお呼びしますね。

 その後ろからあくびをしながらあれっくすがやってきた。

あれっくす:おはようございます・・はう、まだ眠い。

タブリン:あれっくすさんもおはようございます。まだ連絡が来ないので念の為に私が商売してる間に馬車用の馬を一匹捕まえてきてくれませんか?
 
晴:え、馬を捕まえるんですか?
 
タブリン:はい。今は一匹しかいませんし、宮殿に向かうとなると二匹は必要かと。やり方は教えますので。
 
あれっくす:まあ、やってみますか。
 
 タブリン言われたものの二人とも馬を触った事も乗った事もなかったのであった。

つづく
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