79 / 182
スピンオフ 騎士団への道
第一話 飛ばされた浜辺
しおりを挟むあれっくすと晴はルーチェの門をくぐった瞬間に周りの景色が歪み突然地面に放り出された。
晴:いたたた・・・。
あれっくす:晴さん大丈夫? ここ・・一体どこだろ?
本来ならば満月荘の一室に戻るはずだったが周りを見ると浜辺だった。
晴:うーん、知らない場所だけど・・・地球のどこかに飛ばされたのかな・・。
砂を払い落としながら晴は立ち上がった。
あれっくす:怪我はないようだね。ほらあそこ‼︎ 誰かいるみたいだ。行ってみよ。
あれっくすが指す方を見ると漁が終わったばかりなのか船の周りに人だかりが出来ていた。
晴:とりあえず電話を借りてお兄ちゃんに迎えて来て貰わなくちゃ。
晴とあれっくすは人だかりの方へ歩き始めると周辺の景色に違和感を感じ始めた。
晴:なんかおかしくない?
あれ:ここは地球じゃないかも・・・。
人だと思っていたが近くに行くと白い毛に全身覆われていた獣達が魚の選別をしていたのだった。
獣達が晴とあれっくすに気が付き一斉に振り向いたのを見てここはアリュバス星だと再認識した。
獣:お前達・・・魚買いに来たのか?
晴:いやあ・・・魚はいらないんですけど。
あれっくす:すみません。つかぬ事をお聞きしますが・・宮殿の方に連絡する方法はありますか?
晴:出来ればすぐ戻りたいんです。
獣達はそれを聞いて笑い出した。
獣:宮殿はここからかなりの距離があるど。
晴とあれっくすはそれを聞いて戸惑った。
晴:あれさんどうしよ・・・。
獣:それなら町の中心部にいる行商のタブリンに声かけてみれくれ。
あれっくす:えっと、タブリンさんは何を売ってる方ですか?
獣:タブリンはポーションや変わった雑貨を売ってるからすぐ分かると思うど。
晴:えっと、タブリンさんがいるのはこっちですか? それともあっち?
獣:そこの坂を登ったところだ。
獣がタブリンがいる方向を指をさした。
晴:ありがとうございます。
あれっくす:晴さんタブリンさんに会って宮殿に戻れるか聞いてみよう。
晴:うん‼︎
二人は獣に言われた通り町の中心部へと歩き出した。
港から坂を登ると住宅がいくつか増え始め、段々と街並みが賑やかになり、お店がいくつも立ち並ぶのが見えた。
お店をそれぞれ見て歩いているとポーションや雑貨を売っているタブリンらしき人を見つけた晴だった。
晴:あれさん、あの人じゃない?
あれっくす:声かけてみようか。
近づくと向こうが先に気がつき声をかけてきた。
タブリン:おやおやこれはこれは。地球の方がまたどうして。ギア子様のお友達ですか?
晴:はじめまして。ギア子さんの友人で晴とあれっくすといいます。良かった話の分かる方がいて。
あれっくす:実は地球に戻ろうとしてルーチェの門をくぐったら、そこの浜辺に落とされたんです。出来たら宮殿にいる方にご連絡して貰えないでしょうか?
タブリン:途中で?・・・宮殿で何かあったのかしら。使い鳥を送って聞いてみます。とりあえず私の叔父の家に行きましょう。
タブリンは慌てるように近くにあった馬車に荷物を積み込むと晴達に荷台に乗るように言った。
二人は言われるがまま荷台に乗りタブリンの叔父の家に向かった。
家に着くと二人は居間に案内された。
タブリン:狭苦しい場所ですが適当に座って待ってて下さい。
するとタブリンはそそくさと家の外へと出て行った。
しばらくするとタブリンか戻って来たが浮かない顔だった。
タブリン:お待たせしました。荷物を整理しながら先ほど送った使い鳥を待っていたのですがまだ戻って来ないんです・・。
晴:えっと、今までそういう事ってあったんですか?
タブリン:いいえ、必ずエマ様からお返事がすぐに来るのですが・・・もしかしたら何かあってお返事が出来ないのかもしれません。とりあえず明日まで待ってみましょう。
あれっくす:分かりました。
タブリン:それと今夜は是非うちに泊まってください。宮殿とは違って大したお食事はご用意は出来ませんが、それでもよろしければ。
晴:助かります。
あれっくす:ご厚意に甘えさせて貰います。
二人は宮殿からの連絡を待つ為にタブリンの好意で泊まらせて貰う事になった。
翌朝、晴れが起きて居間に向かうとタブリンが既に起きて朝ご飯の支度をしていた。
タブリン:晴様おはようございます。
晴:おはようございます。私は王族でも何んでもない一般人ですからあれっくすと共に呼び捨てで大丈夫です。
タブリン:かしこまりました。では、晴さんとお呼びしますね。
その後ろからあくびをしながらあれっくすがやってきた。
あれっくす:おはようございます・・はう、まだ眠い。
タブリン:あれっくすさんもおはようございます。まだ連絡が来ないので念の為に私が商売してる間に馬車用の馬を一匹捕まえてきてくれませんか?
晴:え、馬を捕まえるんですか?
タブリン:はい。今は一匹しかいませんし、宮殿に向かうとなると二匹は必要かと。やり方は教えますので。
あれっくす:まあ、やってみますか。
タブリン言われたものの二人とも馬を触った事も乗った事もなかったのであった。
つづく
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
婚約者を想うのをやめました
かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。
「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」
最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。
*書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる