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第四章 いざ!第二の故郷へ
第七話 ブレスレットの力
しおりを挟むサクラの悲鳴の大きさに巨人の方が慌てふためきどうしたものかオロオロとしていた。
サクラ:いやあ‼︎ 近寄らないで‼︎ 助けて誰か‼︎
サクラは巨人が襲って来ると勘違いし腕を振りまくって身を守っていた。
巨人の方は他に誰かいないか逆に助けて欲しそうに右往左往し始めていた。
そうこうするうちにブレスレットが反応し始め、サクラの服装が王族の装備に変化した。
巨人はサクラの装備を見て驚いた表情を見せ一歩後退ると跪いた。
そして遠巻きに見ていた妖精や小動物達もゆっくりとお辞儀をし出したのであった。
片やサクラはというと、自分に何が起きてるのか分からないでいた。
トーマ:サクラさん大丈夫ですか⁇
丁度その時、悲鳴を聞きつけトーマとマサが急いで戻って来た。
サクラ:うたた寝していたら巨人が現れてびっくりして腕を振りまくったら装備が変わっててそれでえっと。
サクラは自分でも上手く説明出来ずにしどろもどろになっていた。
マサ:何はともあれサクラ様ご無事で何より。
赤イノシシを片手に担いでいたマサが荷物を降ろしサクラの前に跪いた。
トーマ:それで一体何があったのか聞いてみてくれ。
マサが事の経緯を聞き始めると巨人はオタオタした様子で身振り手振りで説明し始めた。
マサ:巨人が言うにサクラ様の体調が悪くて倒れてるのではないのかと思ったらしく心配になって声かけようとしたらしいです。
サクラ:そうだったんですね、勘違いして叫んでお恥ずかしい。
マサ:王族の方だったとは存じあげなくて申し訳ないと謝っております。
サクラ:こちらこそごめんなさい。でも私は王族ではないです・・・。
巨人はサクラの方を見ると了解したかのように会釈をした。
トーマ:サクラさん今は王族ではないけど・・・。
トーマが突然サクラの前で跪き指輪ケースをポケットから出した。
トーマ:もし良かったら結婚を前提に付き合って頂けないだろうか。
そう言ってケースをパカっと開けリングをサクラに差し出した。
サクラは突然の出来事にどう返事をすれば良いのか分からなかった。
巨人に襲われたかと思えば、トーマに着けてもらったブレスレットが光出し、王族の鎧がサクラの体を覆い、そしてトーマの突然のプロポーズ。
数時間に色んな事が目まぐるしく起きたせいで頭が混乱し始めていた。
周りにいた森の住人達はサクラの返事を固唾を飲んで見守り始めた。
それと同時にサクラとトーマはこの短い時間に頭をフル回転させていた。
サクラ:(最高のシチュエーションのプロポーズだわ。白馬から降りて来て大きな粒のダイヤモンドにゴールドであしらわれた見事な装飾。こんな事って人生である? うううん、この先もきっとない。でも、心の準備が。)
トーマ:(唐突過ぎたかな・・セラにはゆっくり時間をかけて分かって貰えるようにする方が良いって言われてたが。でも、俺にはサクラさんしか考えられない。お願いだリングを受け取ってくれ。)
サクラ:(ああん、こんな時に限ってどうしてギア子いないのよ・・。どうするサクラ。どうするのおおお。)
自問自答を繰り返すサクラとは対照的にトーマはサクラの顔を直視出来ず地面に顔を向け祈るように目を瞑っていた。
数分間の出来事だったがサクラもトーマも時が止まったのではないかと思うくらい長く感じた。
トーマ:(やっぱりダメか・・・私は嫌われてるのかもしれない・・・)
トーマが諦めてリングを箱に戻そうとした時だった。
サクラ:私で良ければ。よろしくお願いします。
サクラは気恥ずかしそうにリングを受け取った。
トーマ:ほ、ほんとですか⁈ やったあああ‼︎
トーマはあまりの嬉しさに思わずサクラを抱きしめてしまった。
そして見守っていた妖精や小動物はサクラとトーマの周りで祝福の舞を踊り始めた。
マサ:トーマ様、サクラ様、ご婚約おめでとうございます。
二人は恥ずかしそうにマサにお礼を言った。
トーマはサクラの薬指にリングをはめると「サクラさんありがとう」と耳元で囁いたのであった。
つづく
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