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第四章 いざ!第二の故郷へ
第三話 ポックルムック
しおりを挟む部屋に入ると長細い横長の大きなテーブルが三つあり、コの字型に並んでいた。
正面のテーブルには中央にトーマがおり、その脇にセラとリョウが座っていた。
ギア子はセラの横を案内されると、メガ男はギア子の横に座るように促された。
ギア子達のテーブルの両脇にも同じようなテーブルがあり、右側にはサクラ、越褌、朱美、ゆき、美奈子、晴、あれっくすが案内されていた。
左側にはタカールやエマや宮殿で仕えている人達が着席し、頼電はミミの隣にちょこんと座った。
トーマ:みんな揃ったようだな。では歓迎会をはじめようじゃないか。タカール様お願いします。
タカ:ギア子、メガ男よく来てくれた。そして地球人の方々も。今日はアリュバス星の美味しい食事を是非堪能して欲しい。では乾杯。
目の前にたっぷりと注がれていたグラスをみんな持つと、タカールの乾杯の合図でお互いグラスを掲げた。
リョウ:堅苦しいのはここまで!今日は私が釣ったポックルムックの料理を出す予定だから楽しみにして欲しいな。
サクラ:ポックルムックってどんな魚かしら。
ゆき:焼き魚ですかね?
あれっくす:料理教室で使えそうなレシピだと良いな。
離れて楽しそうに歓談してるサクラをトーマは気になるようでチラチラ見ていた。
セラ:兄さん、サクラさん誘ってみれば?明日は兄さんが好きなあの場所に。
トーマ:う・・・うん。
ギア:私達も協力しますよ。
メガ:サクラは良い子ですからね、ほっといたらすぐ他の人に取られちゃいますよ。
トーマ:そ、それは困る。これが終わったら誘ってみる。
ギア子:兄さん、がんば。
トーマはみんなの言葉に後押しされたのか鼻息を荒くしていた。
食事も後半となり全員がほぼ満腹な様子だったが、リョウは釣って来た魚をみんなに食べて欲しかったようでデザートを持って来るようにエマに指示した。
リョウ:エマ、あの料理頼む。
エマ:承知しました。マサ例のものを。
するとマサが大皿を肩で担ぎながら料理を運んで来た。
そのお皿は今まで見た事がない大きさで、皿の上に乗っていたのは大きなホールケーキのように見えた。
リョウ:今日は大漁でいっぱい釣れたんだ。どうぞ召し上がれ。
よく見てみると「こんにちわ」と言わんばかりにいくつものポックルムックがケーキから顔を出していた。
ゆきと美奈子がそれを見た瞬間に顔を青ざめた。
あれっくす:まあ、食べてみないと分からないよ。
サクラ:あれっくすさんってチャレンジャーだわ。
切り分けられてる間に「本当に大丈夫なのかな?」とメガ男はギア子に囁くのであった。
セラ:見た目はちょっと悪いかもだけど凄く美味しいんですよ。
一匹ずつポックルムックの頭が乗ったケーキをそれぞれのテーブルに運ばれても地球から来た一行はなかなか手をつける事が出来ずにいた。
ケーキにまず先に手を出したのは好奇心旺盛の大家の越褌だった。
越褌:眺めてて仕方ない!わしが先人を行く!もぐもぐ・・・うーん・・これは。
食べた瞬間に椅子から転げ落ちた大家を見て隣にいた朱美が食あたりでもしたのかと慌てふためいていた。
朱美:大家さん大丈夫ですか?!
そんな朱美の心配をよそに大家はあっけらかんと「こりゃ美味い」と椅子に座りなおしてパクパクとケーキを頬張りだした。
それを見ていたギア子達は半信半疑で一口食べてみた。
ギア:魚臭くない。これどっちかというと葡萄の味に似てる。
セラ:アリュバス星の魚は地球の果物に近い味なのよ。
ゆき:ほんとフルーティなケーキで美味しい!
美奈子:うんうん、これなら何個でも食べれそう。
全員満腹だったはずだったが思いの外さっぱりとした味で全員ペロリとたいらげていた。
リョウ:みなさんのお口に合って良かった。
そして歓迎会が終わるとみんな満足したのか笑顔で各自部屋へと戻って行った。
サクラが部屋に戻る際にトーマは勇気を振り絞って声をかけた。
それを見ていたギア子達は邪魔してはいけないと察し、サクラ達を置いて自室へと足を運ぶのであった。
つづく
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