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第二章 迫る!ダンデリオンの影
第十九話 光に包まれながら
しおりを挟むセラはステージを降り、泣き崩れるぺんちゃんを抱きかかえギア子の横に立った。
ぺん:ひっくひっく。セラちゃん・・・。
セラ:兄さんこんな事は間違ってる。
セラは悲しい顔をしてステージ上にいる兄を見上げた。
トーマ:セラ・・・。
セラ:ギア子、その弓でこの地球を救うのよ。
ギア子:この弓で? どうやって?
セラ:その弓を兄に向けて引けば分かるわ。
ギア子は半信半疑で弓をぐいっと引いてみると、弓本体から光の球体が現れると徐々にギア子の周りを覆うように光のバリアが現れた。
トーマ:させるか‼︎
トーマは杖を大きく振り翳すと気が狂ったのようにギア子に向けて羽を連射し始めた。
だが、ギア子の周りに出来たバリアによって羽は突き刺さる事なく手前で弾き飛ばされていた。
その脇でヘリコプターの前で一兄は無線で誰かとやり取りをしているようだった。
あれっくす:そろそろ太陽フレアが最高潮に達する。
一兄:おい、遮断パネルはまだか‼︎
晴: お兄ちゃんあれを見て‼︎
晴が上空を指した。
澄玲:ふう、間一髪ですね。
朱美:ちょっと遅れたようですが大気圏内でドローンが整列を始めてます。
一兄:何とか間に合いそうだな。
幾つもの反射パネルを搭載したドローンが地球を覆うように並び始めていた。
すると、ドローンが綺麗に地球をお覆い切ると会場一体は光を遮断され暗くなり始めた。
一兄:無事成功のようだな。
一兄がほっと胸を撫で下ろしているとステージ上にいるトーマが腹を抱えながら大きな声で嘲笑い出した。
あれっくす:何を笑ってんだあいつ。
澄玲:とうとう気が触れたか・・。
トーマ:あははは。あれが見えないのか。あれで成功とは片腹痛いわ。
一兄:なんだと⁉︎
再度上空に目をやると覆っていたドローンが赤く光ったかと思うと、連鎖反応するかのように次々と焼け落ち徐々に辺りが明るくなり始めた。
太陽は予想より接近していて太陽フレアの温度に耐えきれないパネルが溶けているようだった。
それを見た一兄達はその場に呆然と立ち尽くした。
澄玲:防衛大臣、しっかりして下さい。ここは一先ずこのヘリに乗って退避して下さい。
一兄:あ、ああ。
晴:お兄ちゃん早く‼︎
あれっくす:でも、ぺんちゃんやギア子さん達が。
澄玲:無理です。私達だけでも。
太陽フレアの影響なのか会場内は焦げ臭くなり観客席がところどころ燃え始めていた。
朱美:早くヘリを出して‼︎
一兄達がヘリに乗り込み離陸をし始めると、少し上昇した辺りでプロペラが太陽フレアの熱で溶け始めた。
制御不能になったヘリは燃え盛る観客席にぶつかるとエンジンに引火したのか一兄達を乗せたまま爆発してしまった。
ぺん:いやあああ。
それを見ていたぺんちゃんが悲痛な叫びをあげた。
セラ:ギア子、今よ。もう時間がないわ。
ギア子は悲しみが頂点に達し体の中から力が更に湧き上がった。
ギア子は力の限り弓を引くと光の矢が現れた。
トーマ:そ、そんな馬鹿な。矢が現れるのは王位継承者の印。
トーマはギア子の力に慄き危険を察知したのか背中から白い翼を出し空めがけて飛び出した。
セラ:ギア子、矢を放つのよ。
セラの合図でギア子が「うおおおおお!」と叫びながら矢を放った。
矢はトーマに向かって一気に飛び出し、ギア子を覆っていたバリアもどんどん広がり始めた。
トーマ:や、やめろおおおお!
必死に逃げ惑うトーマだったが光の速度で飛び出した矢には逃げきれず、上空で弾き飛ばされるようにそのまま大気圏外へと消えていった。
そして太陽の光とギア子が作った光のバリアがぶつかった衝撃でギア子とその隣にいたセラとぺんちゃんが地面に叩きつけられた。
その真後ろで一部始終を見ていたサクラは光のバリアに包まれながら意識を失うのであった。
第二章 完
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