憧れのスローライフを異世界で？

学生編

左右対称って難しい

「うーん、ちょっと歪んでるよねー」
翌日鍛冶屋に再び顔を出し親方の作ったパウンドケーキの型を見せてもらうが左右対称に微妙になってないんだよね。

ちなみに食パンの型も蓋がやっぱり難しかったらしく型は簡単に出来たけれどもフタに苦戦中みたい。

「ひとまずこの型を使って見るけどもう少し左右対称になって欲しいからもう何個か作ってもらえる？」
「ああ、簡単そうに見えるが左右対称ってのは意外と難しいもんだな。」
熟練の親方でも苦戦するってこういう角度を付けるものって今まで存在してなかったみたいね。
そう考えるとちょっとした事でもこの世界には新しいものとなってしまうから自分のやりたいようにやるとやりすぎてしまう気がしてならないんだけど良いのかなぁ…

こうやってたまに考えてしまうことは有るんだけど答えなんて出ないし今は自分の中で程々に新しいものを産み出すことにしている。
前世の記憶とこのスキルに文字化けという名の日本語表記のスキルがあると言うことはこういう結果を望まれて居るのかもしれないと自分にとって都合の良い解釈をすることにしているんだけどね。

とにかくパウンドケーキの金型が手に入ったのでさっそく試作をしなきゃね。
ルンルン気分で工房に帰り色んなトッピングでパウンドケーキを量産しすぎて体に染み付いた甘い香りでパパにパウンドケーキの事はバレてしまい金型が量産出来次第パウンドケーキとクッキー(私のレシピだと味が違うらしい)のお店を作ることになるのだが、それはまた後日の話。

その後も試作をし、ドライフルーツや紅茶のパウンドケーキが上手に焼けるようになってきたとき、鍛冶屋の親方が工房までわざわざ金型を届けてくれたの。
たった一日で見た目分からないくらいほぼ左右対称になってるけどどうやったのかな？

と思ったら鋳造でひとまず作ってくれたらしい。
だから使っているうちに歪む可能性が高いみたいなんだって、熱伝導を考えると分厚く出来なくて衝撃には弱いそうなのでしばらくコレは大事に使わないとね。
何はともあれ明日のお茶会に間に合いそうで良かった。

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ちょっと短いですが、キリが良いので次こそお茶会編です。