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【閑話】王子の想い①
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恋愛感情、俺のはかなり歪んでいると思う。
この国の第2王子として産まれ、優秀な兄が王太子になるので比較的のびのび育てて貰ったと思う。
周りの側近候補達があの子が可愛いとかこっちは美人だとか興味も共感も出来なくて侯爵家のサウンドリンドも女嫌いでそういう話をしなくていい分気楽でよく一緒に居るようになった。
学園に入る頃には側近を内定し一緒に居るメンバーにも入れて真面目なリンは少し人の感情に疎いものの仕事や勉強はよく出来ていたので側近にするには周りから反対されなかったのだが、まさかあんなに人の感情に疎いとは思わなかったのだ。
まず違和感を覚えたのは結婚したと聞いた時だ。
式も披露宴せず妻を領地に置いて社交シーズンより随分と早く王都に戻ってきていたので本当に結婚したのか?と思ったほどだ。
聞くと病弱で結婚出来なかった伯爵令嬢で向こうも形だけでも結婚が出来るのであればという事での結婚だったので問題無いという。
そうだとしてももう少し新婚なのだからお互いを知る努力すらコイツは出来ないのかと、妻になった女性が可哀想だと思い興味本位で結婚届について調べるとマールブルク家の長女でその母親が王妃である母上の従姉妹というではないか。
母上に話を聞くと従姉妹はだいぶ前に亡くなっており、亡くなって直ぐに後妻をとり娘が病弱なのをいいことに領地に置き去りにされ義母と異母妹を溺愛しているそう。
そんな環境から私の側近の妻になったのならよかったわと言う母上にはもしかしたらそれも良くない状況に居るのかもしれないとはいえなかった。
少なくともマールブルク家での生活やリンの妻としての生活に問題が無いのか調べてからの方がいいだろう。
その後自分が動かせる『影』はそんなに居ないが、彼女の現状を調べてもらう。
婚姻後4ヶ月ほど経っていたが既に酷い。
本人は実家よりいい環境と喜んでいたが伯爵令嬢として、次期侯爵夫人としてコレはかなり酷い。
聞くとマールブルク家にいた頃はろくに食事も貰えなかったようで嫁いできた時は相当ボロボロな身なりだったそう。
何故リンはそれを見て病弱だからと素直に受け取ったのか、何故妻の住む所を別邸にしたのか。
怒りが込み上げてくる。
挙句、マールブルク家を調べながら時々様子を見に行かせていたら街でカフェを開いたという。
まぁ大人しくしていられないのは血筋なのかもしれないな。
その後母上に報告すると烈火如く怒り狂って、父上を焚き付けマールブルク家の所業を徹底的調べると色々やらかしていたのでサクッと領地取り上げになった。
その際に、従姉妹の遺品を全て回収するように母上に言われ手を回し家財一式を売り払う際に買取目録と照らし合わせて遺品などを仕分けるのに従兄弟であるシェーングレン家のクリスに頼むと強力助っ人まで連れてきてくれ、シェーングレン家で全て預かると言ってくれたりと諸々の手配をしているさ中のリンの有り得ない行動が耳に入る。
「何をやっているんだアイツは……」
彼女がやっているカフェにリンが頻繁に出入りしており、侯爵家騎士の間ではリンが恋したと噂にまでなっているというでは無いか。
彼女は髪の毛の色は染めて店に出ているそうだがそれでも妻の顔が分からずに、放置している妻に恋をしているなんて馬鹿げている。
女嫌いの男が恋するとこんなにも頭がお花畑になるものなのだと初めて知った。
本来ならば完全にマールブルク家が無くなってから彼女に接触する予定が狂ったがあと数日で完全に手続きが終わるだろうから仕方がないが急ぎの仕事を片付け彼女の元に向かうとしよう。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
リリーに会うまでの王子でした。
次回リリーに会った後の王子について書きます。
この国の第2王子として産まれ、優秀な兄が王太子になるので比較的のびのび育てて貰ったと思う。
周りの側近候補達があの子が可愛いとかこっちは美人だとか興味も共感も出来なくて侯爵家のサウンドリンドも女嫌いでそういう話をしなくていい分気楽でよく一緒に居るようになった。
学園に入る頃には側近を内定し一緒に居るメンバーにも入れて真面目なリンは少し人の感情に疎いものの仕事や勉強はよく出来ていたので側近にするには周りから反対されなかったのだが、まさかあんなに人の感情に疎いとは思わなかったのだ。
まず違和感を覚えたのは結婚したと聞いた時だ。
式も披露宴せず妻を領地に置いて社交シーズンより随分と早く王都に戻ってきていたので本当に結婚したのか?と思ったほどだ。
聞くと病弱で結婚出来なかった伯爵令嬢で向こうも形だけでも結婚が出来るのであればという事での結婚だったので問題無いという。
そうだとしてももう少し新婚なのだからお互いを知る努力すらコイツは出来ないのかと、妻になった女性が可哀想だと思い興味本位で結婚届について調べるとマールブルク家の長女でその母親が王妃である母上の従姉妹というではないか。
母上に話を聞くと従姉妹はだいぶ前に亡くなっており、亡くなって直ぐに後妻をとり娘が病弱なのをいいことに領地に置き去りにされ義母と異母妹を溺愛しているそう。
そんな環境から私の側近の妻になったのならよかったわと言う母上にはもしかしたらそれも良くない状況に居るのかもしれないとはいえなかった。
少なくともマールブルク家での生活やリンの妻としての生活に問題が無いのか調べてからの方がいいだろう。
その後自分が動かせる『影』はそんなに居ないが、彼女の現状を調べてもらう。
婚姻後4ヶ月ほど経っていたが既に酷い。
本人は実家よりいい環境と喜んでいたが伯爵令嬢として、次期侯爵夫人としてコレはかなり酷い。
聞くとマールブルク家にいた頃はろくに食事も貰えなかったようで嫁いできた時は相当ボロボロな身なりだったそう。
何故リンはそれを見て病弱だからと素直に受け取ったのか、何故妻の住む所を別邸にしたのか。
怒りが込み上げてくる。
挙句、マールブルク家を調べながら時々様子を見に行かせていたら街でカフェを開いたという。
まぁ大人しくしていられないのは血筋なのかもしれないな。
その後母上に報告すると烈火如く怒り狂って、父上を焚き付けマールブルク家の所業を徹底的調べると色々やらかしていたのでサクッと領地取り上げになった。
その際に、従姉妹の遺品を全て回収するように母上に言われ手を回し家財一式を売り払う際に買取目録と照らし合わせて遺品などを仕分けるのに従兄弟であるシェーングレン家のクリスに頼むと強力助っ人まで連れてきてくれ、シェーングレン家で全て預かると言ってくれたりと諸々の手配をしているさ中のリンの有り得ない行動が耳に入る。
「何をやっているんだアイツは……」
彼女がやっているカフェにリンが頻繁に出入りしており、侯爵家騎士の間ではリンが恋したと噂にまでなっているというでは無いか。
彼女は髪の毛の色は染めて店に出ているそうだがそれでも妻の顔が分からずに、放置している妻に恋をしているなんて馬鹿げている。
女嫌いの男が恋するとこんなにも頭がお花畑になるものなのだと初めて知った。
本来ならば完全にマールブルク家が無くなってから彼女に接触する予定が狂ったがあと数日で完全に手続きが終わるだろうから仕方がないが急ぎの仕事を片付け彼女の元に向かうとしよう。
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リリーに会うまでの王子でした。
次回リリーに会った後の王子について書きます。
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